表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ルークのカレンダー

作者: enishi

なろうラジオ大賞6参加作品となります。

 古本屋の店内でOLの由奈はある物を見つけた。


「え!1975年のカレンダー?なにこれ」


 価格は2000円で未開封の新品である。ビニール包装で

 丸めてありシールにマジックで


「1975年、俳優カレンダー。2000円」

 とだけ書いてある。


 誰にも相手にされず50年近く売れ残った品に哀愁を感じる。

 バカバカしいと感じながら、なぜか惹かれて購入してしまった。


 自宅に帰り早速50年の時を越えて開封。


「おっ、イケメン!」


 カレンダーの表紙の写真を見た由奈の第一声だ。

 名前はヨハン・C・ルーク。

 ジェームズ・ディーン風のルックスでアメリカの俳優らしい。


 カレンダーを捲っていくと椅子に座り煙草を吹かすカットや

 アメ車との2ショット。バキバキボディの水着ショットなど

 12枚。

 イケメンは時代が変わっても映えるものだ。


 この俳優をネット検索するとミステリーから恋愛、コメディー作品まで幅広く出演。今も存命でおじいちゃん俳優として

 舞台などで活躍中らしい。


 当時の人気はまずまずあったようだが、しかし映画監督と大喧嘩をしたり、私生活ではスキャンダルやギャンブル好きなどが原因で人気が急降下して今に至るらしい。


 次は映画のサブスクでルークの出演映画を観る。


 20代前半の若々しい彼が映る。劇中で笑ったり、喧嘩したり、泣いたり。

 なぜだろう?この俳優はちょい悪で不器用で手がかかりそうなんだけれど放っておけない由奈のどこかに引っかかる魅力があった。



 なんとレコードまで出していたらしい。


 次の休日にレコードショップで2時間程かけて隅々まで隈なく探して1枚のルークのレコードを見つけ出した。

 まるで宝物を探し当てたような満面の笑顔になる由奈。



 自宅ではカレンダーを部屋の壁の一番中央に飾りなおした。

 部屋にいるときは必ず目に入る位置である。


 スマホの待ち受けはルークにした。


 入浴中の湯船でもいつの間にかルークの曲を口ずさむ。

 英語の歌詞も丸暗記してしまった。



 ある日、地元の母親から電話が鳴る。


「由奈、お見合いの話進めてもいいよね?竹中さんとてもいい人だから」


「お母さんごめんなさい。お見合いはできそうにないんだ。私好きな人がいるんだ」


「好きな人?どんな人なの?仕事は何をしているの?」


「ルークっていうんだ。50年昔の俳優だけどね」


「はあ?」


 時を越えて出逢った2人。こんな形で女性のハートを掴むとは恐ろしい程の魅力を持つ俳優だ。

 一冊の古いカレンダーから始まったこんな推し活話。

一冊のカレンダーから始まった由奈の推し活ストーリーです。ユニークな作品となりました。読んでいただきありがとうございました。気に入って頂けたらリアクションや評価で応援お願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ