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あだばな  作者: 藤泉都理
10/11

おれ






 俺は俺を殺す事なんてできやしない。

 そう、思っていたのに。

 俺は、俺を殺した人間に転生して、俺の殺害を防ぐはず、だったのに。


 なあ、おまえ。うちのこになるか?


 俺の言葉が、誘因になったのか。

 どの感情を、誘発したのか。

 どの感情もない、殺意だけだったのか。

 それとも、殺意すら、なかったのか。

 逃れられようのない。

 一気に爆発した。

 一気に染発した。






 俺は、俺ではなかったのか。

 結局、転生した人間でしかなかったのか。

 結局、俺を殺した人間でしかなかったのか。

 記憶も感情も朧気でしかなかったのに。

 日記でしか言葉を得る事はできなかったのに。

 拒んだのだから当然か。

 咀嚼から拒んだのか。

 嚥下から拒んだのか。

 口に入れる事すら拒んだのか。

 言葉と記憶と感情を一つにまとめる事を、一つにする事を、一つにしては落とし込む事を拒んだのに。


 俺は、俺ではなかったのだ。




 俺は、俺ではなかったから、俺を喰らって、俺になろうとしたのか。

 俺は、俺ではなかったから、俺を喰らって、俺になろうとしたのか。






 俺を人間にしてくれ。

 この緊願は、











(2024.6.1)




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