モゲ2
「ふえー、変な夢を見ちゃったよー」
草治が目を覚まし、周囲を見渡してから、大きな独り言を呟いた。
部屋はいつもの綺麗な状態で、黒いドラム缶も、見知らぬ女性達も居ない。
下半身にはちゃんとジーンズも履いている。
「ちょっと疲れてたのかな…」
そう呟いた草治の頬には、二人の女性のパイオツが刻んだ十字の赤い跡がクッキリと浮かんでいた。
「さて。今日のお天気はどんなんかなー」
そう言いながら、草治はベランダに繋がる窓のカーテンを開けた。
いつもなら、そこには目黒区の整然とした街並みが見える。
だが、しかし、窓の外には一面に広がる暗黒と、遠くに輝く青い星があった。
「ふえぇぇっ?? こ、ここ何ー? う、宇宙うぅー? てゆか、月の上ええぇぇー???」
窓の下にはクレーターだらけの褐色の大地が広がっている。
草治は、この光景に見覚えがあった。
それは、以前テレビで見た『月から見た地球』の光景そのものだった。
「え、えと…。目の前にある青い星はきっと地球だよね…。何となくだけどアメリカ大陸ぽい陸地も見えますよ…。ええと、ハローアメリカー。ハローキティちゃん。キティキティぃぃ…」
目覚めたら月面と言う、余りにも斬新な寝起きドッキリに草治の思考は乱れていた。
いつまでも草治がキティキティ呟いていると、急にリビングの扉がバーンと開いた。
「おはようございます、バッソ。どうじゃ体力の方は回復したか? 疲れ過ぎると出るもんも出んらしいからのお。6時間12分32秒もぐっすり眠って、もはや貴様の股間は草原を駆ける荒馬のごとく猛り狂っておるじゃろおー!」
草治の前には、モンローのコスをした人が立っていた。
後ろには、煌びやかな十二単を着た大和撫子と、真紅の髪のエキゾチックな女性もいる。
あれは、やっぱり夢じゃなかったんだ…
現実に戻ってきた草治の顔が、一瞬で青褪める。
「さて。どうやらパイオツ派でなかった貴様には、今度はおケツを存分に味あわせてやるからのお」
モンローがそう言った瞬間、三人の衣服の腰から下が真上に立ち上がった。
まるで見えない糸に引っ張られるように、スカートや着物の裾が垂直に立ち上がって揺れている。
草治の目の前には、ヘソから下が丸出しになったトリプルパンモロがあった。
モンローのそれは、まるで妖精の羽だ。
二枚の薄い羽が、中身の秘密を半分ほど見せながら、ひらひらと舞っている。
ただ中心部の羽だけが、そっと重なって大切な妖精の森を侵入者の眼から守っていた。
大和撫子のそれは、もうほとんど紐であった。
繊細なレースで編まれた紫色の紐が、まるで彼女の一部であるかのようにピッタリと貼り付いている。
ただ、その前面部だけが僅かに三角に広がって、大切な撫子の秘密だけはかろうじて隠されていた。
エキゾチックのそれは黄金色に輝く扇子だ。
中央に達筆で大きく『王将』と書かれた黄金の扇子が、キラキラと輝いている。
扇子からは将棋の駒を繋いだような紐が出ていて、守るべき王将だけはしっかりと隠されていた。
「ふえぇぇー??」
宇宙な光景に度肝を抜かれていた草治が、更なる驚きの声を上げた。
目の前の3人のスカートが、まるで魔法のように上に向かって揺れている。
もう、何が何だか分からない状況だったが、それでも尋ねておかなければならない疑問があった。
「あ、あの、こ、ここは、何処ですか?」
「うん? 見ての通り、貴様の部屋じゃろうが。病気を発生させる恐れのある細菌類などは除去してあるが、それ以外は分子レベルで完全に貴様の部屋を再現しとるぞ」
「へ? あ、あぁ、そう言えば、ぼ、僕の部屋ですね…」
確かに、窓の外の光景以外は、間違いなく草治の部屋である。
分子レベルで部屋を再現? 何だか気になるフレーズもあったが、しかし、そんな事よりも遥かに重大な疑問があった。
「こ、ここは月の上ですよね? ど、どうして僕を、こんな所に連れて来たんですか?」
草治の必死な問いに、肩を上げて手の平を見せる『やれやれのポーズ』をしながらモンローが答える。
「ふむ。貴様が奇妙な大声を出したお蔭でな、お隣さんが『ウルサイーっ』て怒鳴り込んできよってのお。それで仕方なく、騒音を気にする必要のない宇宙船内でオペレーションを続行することにしたのじゃ」
「い、今、宇宙船って言ったよねえぇぇーっ!!」
窓の外の景色から薄々分かっていたことだが、それでも宇宙船と言う単語をハッキリと聞いた草治の衝撃は大きかった。
キャトられて宇宙船。それは流されて無人島をも遥かに超えた過酷な事態と言えるだろう。
急激に込み上げて来る不安。
だが草治は、それでも何とか必死に口を開く。
「あ、あの、僕は解剖されて、な、何か埋め込みですか?」
「うん? そんなことをする予定はないぞ。貴様はただ気持ち良く大放出さえすれば良いのじゃ」
大放出? とか言う意味の分からない部分もあったが、どうやら改造目的ではないのだと草治は理解した。
ほんの少しだけ安堵しながら、草治はさらに湧き上がる疑問をぶつけた。
「あ、あなた達は、宇宙人なんですよね?」
「宇宙人じゃと? 貴様、聖典エロマゲドンでも人気No.1を誇るこのわしを知らんのか? バイブルも読まんような不信心者は、死んだ後の魂がブラックホールに吸い込まれて、無限永劫の苦痛を味わうことになるんじゃぞー!!」
そう言い放ったモンローの顔は真剣そのものだった。
どうやら彼女にとって『バイブル』と言うものの存在価値は、声を荒げるほど重要であるようだ。
「まあ知らんもんは仕方がないのお。改めて自己紹介してやるから、良ーく聞け。わしは、その溢れ出すお色気で世界の悪と戦うスーパーセクシー戦隊『あんあん姫』を率いる部隊長のチョイマリリン・モンロミナじゃ。貴様らの流儀に従ってチョイミナと呼ぶが良い」
草治には、この女性の言っていることがサッパリ分からなかった。
スーパーセクシー戦隊? 部隊長? チョイマリリン?
話を聞けば聞くほど疑問が増えていく。
もはや草治の思考は嵐が丘のごとく千々に乱れた。
そこに、モンロー改めチョイミナの奥に立っていた大和撫子がススッと一歩前に出る。
「おほほ。では、徒然にわらわも自己紹介しておくどすえ。東に困った人あれば、駆けつけて乳に挟み、西に暴れる者あれば、優しく乳に挟む。老若男女の全てをその乳で包み込み、良い子ちゃんへと変えてしまう。巨乳無双流の使い手の超絶ボイン女房こと、わらわが大紫・房式部。貴様らの流儀に従ってサキブーと呼びやがれどすえ」
やはり、目の前の大和撫子が言っていることが、草治にはサッパリ分からなかった。
巨乳無双流? ボイン女房? サキブー?
更に草治の思考が嵐が丘していると、お次は真紅の髪のエキゾチックな美女がススッと前に出る。
「あっはん。それじゃ、お姉さんもジコショしちゃうわね~。その溢れる色香で世界最大の帝国すら思いのままに操った史上最強のセクシーセレブ。その姿を見たスフィンクスですら股間にピラミッドをおっ勃てて宙に浮いたと語り継がれるエロエロえっさいむ。しかしてその正体は、聖典エロマゲドンの大人気四コマでお馴染みの名探偵、キンクレオ・パトライチよ~ん。気軽にレオトラって呼ぶとイイわ~。うっふん」
分からない! 心の底から分からない!!
草治は今にも叫び出しそうだったが、とにかく目の前の宇宙人を怒らせるのが怖かったので、その顔には引き攣った愛想笑いを浮かべている。
小心者スキル『笑って許して』が発動したのだ。
「さて、これで自己紹介も無事に済んだのお。それでは、総員配置に着け。オペレーション『シリーゴーラウンド』を開始する!」
「はーいー」
「うっふん」
腰から下の衣服がシュオンシュオン言いながら逆立っている、パンツ丸出しのシキブーとレオトラが勢い良く駆け出した。
そして草治を左右から掴んで、軽々とベッドまで運んでいく。
草治は硬直したまま、愛想笑いを続けるのみだ。
シキブーとレオトラは、草治を仰向けにベッドの上に置く。
「ラッセーラ! ラッセーラ!」
「そいや、そいや」
「そいや、そいや」
威勢の良い掛け声と共に、横たわる草治の目の前に、三方向からおケツが突き出された。
草治の視界の全てが、おケツに埋め尽くされるほどの近距離だ。
チャラ・ラ・ララーラン~♪
直後、天井から軽快な弦楽器の音色が響き渡る。
手品をする時などに良く使われる名曲『オリーブの首飾り』である。
その軽快なサウンドに乗せて、三人は脚を真っ直ぐ上に揚げて、大きく開いた。
見事なV字開脚を披露する3人のおケツが、草治の顔のすぐ上で宙に浮いていた。
「ラッセーラーァッ! ラッセーラーッァ!」
「そいや、そいや」
「そいや、そいや」
掛け声と共に、三人が回転を始める。
ゆったりと、優雅に回転しながら、『ラッセーラ』の掛け声でおケツを突き出し、草治の顔を3方向から撫で回す。
続く『そいや、そいや』で宙に戻ると、愛らしい感じでおケツを左右に振った。
それは、もはや全てのおケツ好きを魅了して止まない夢とおケツの王国。
尻雪姫のファンタ尻アとでも言うべき魅惑の円舞であった。
「ラッセーラーァッ! ラッセーラーッァ!」
「そいや、そいや」
「そいや、そいや」
魔法? いや、宇宙テクノロジー?
V字開脚をした3つのおケツが宙に浮いて回転している。
草治はそこに何か仕掛けがないかを確かめるため、そっと手を伸ばした。
「ふぁいやっ」
「どすえぇー」
「ないるっ」
おケツへの不意の接触に、3人が奇妙な声を上げた。
その悲鳴を聞いて、草治は我に返った。
お、女の人のお尻を触って、悲鳴を上げられたよ…。
こ、これって、もしや痴漢行為なのでは…。
「す、すいません!」
草治は咄嗟に謝罪した。
気絶させられ、月面に連れてこられ、無理矢理ベッドに寝かせられた上に、視界のほとんどがおケツである状況にも関わらず、草治は、勝手に女性に触って悲鳴を上げられた事に動揺していた。
「ぐっふっふっ。わしらの溢れるお色気に耐え切れず、ついに手を出しよったか!」
「バッソの脈拍が160、血圧が200を超えやがったどすえ」
「よーし、下準備は万全じゃ。バキューム隊、突入しろぉぉー!」
チョイミナの叫びと同時に、リビングの扉がバーンと開く。
現れたのは、例の青いツナギに白いマスクとほっかむりをした掃除婦姿の三人組である。
一人は巨大なドラム缶を乗せた台車を押し、一人はそこから延びたホースを握り、一人はグリコのポーズでフリーランニングだ。
「量子状態保存機を起動。エビイタ、鍛え抜かれた貴様のピストニングのテクを見せてやれー!!」
「ははっ」
台車を押していた女がスイッチを押すと、黒い巨大なドラム缶に無数の赤いラインが輝く。
それと同時に、グリコのポーズが草治のジーンズとパンツをイリュージョンのごとく一気に脱がせた。
すかさず、エビイタと呼ばれた女の握ったノズルが、草治の股間に差し込まれる。
ぎゅぼっぼっぼっぼっぼっぼっぼっー。
「い、痛っ、たったったっ、たぁー」
柔らかい肉がリズミカルに吸引される小気味良い音が、草治の悲鳴と共に室内に響く。
細かく上下するエビイタのノズルは、一切の迷いを感じさせなかった。
掃除婦の残り二人は、草治の手足を掴んで動かないように固定している。
ぎゅぼ~~おおぉんっ
「痛あぁ~~ああぁんっ」
草治の股間を軸にして、ノズルが大きく回転した。
それは、単調なピストン運動に円の動きを加える、熟練の職人のようなテクである。
今も宙に浮いて回転している世界三大美女は、一心にノズルの挙動を見詰めていた。
エビイタのノズルは、またもや規則正しい上下動へと移り、そのテンポを徐々に上げながら、前後に激しく揺れた。
ぎゅぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼおおぉぉーっ
「今こそ銀河の至宝を我らの手にー!!」
チョイミナが、右手の拳を高く突き上げながら叫んだ。
草治は、その吸引力と激しい上下動で、もはや千切れそうである。
痛みと恐怖から様々なモノを垂れ流しつつ、草治は心の底から叫んだ。
「もっ、モゲますっ、モゲましーっ、モゲましゅわるっつぇねいいぃーぐわあああぁぁぁーっ!!」
そんな草治のターミネーターモゲ三段活用が、暗黒の宇宙空間に吸い込まれていった。