モゲ1
女の子と間違われてナンパされた事もある可愛らしい見た目。
模試では常に志望校である早精出大学にA+++の成績を取っている。
小諸原草治。19才。浪人生。
ただ、余りにもメンタルが弱くて、肝心の入学試験では結果が出せなかった。
現在は、その小心さを克服するために、親元を離れて一人暮らしをしている。
「あー、遅くなっちゃたよー」
そんな草治が、予備校から帰ってきた。
ちょっとアニメ○トに寄って、外で夕食を済ませたので、21時を過ぎた遅い帰宅だった。
パスワードを入力してエントランスを抜け、エレベーターに乗る。
四階の自室の鍵を開けて中に入る。
六畳のダイニングキッチンを過ぎて、八畳ロフト付きのリビングに繋がる扉を開けると、何故かそこには見知らぬ女性が3人座っていた。
女性達は、草治のお気に入りの大きな卓袱台を囲んで、黙々と何かを食べている。
食べる事に夢中になり過ぎて、草治の帰宅にも気付いていない。
泥棒や強盗には見えなかった。
不法侵入して、ひたすら食事している泥棒などちょっと考えられなかった。
…もしかしたらママンのお友達かな?
心配性の草治の母・小鳥は、たまに彼の様子を見に来る事がある。
きっと、たまたま出会ったお友達を、この部屋に招待したのだろう。
そう考えた草治は、見知らぬ女性に話しかけることに少しドキドキしながら、か細い声を発した。
「あ、あの、こんばんわー。お、お母さんのお友達の方ですよね?」
この言葉を受けて、草治の対面に座っていた金髪の女性がスッと立ち上がる。
「おお。やっと帰還したかバッソ。わしは貴様のお母さんのお友達などではないが、とりあえずカバンを置いてベッドに横になれ」
「…ふえぇぇー??」
余りにも意外な返事に、草治は素っ頓狂な声を上げた。
目の前の女性は、スカートから繋がる二本の薄いスカーフで胸を包んだ、とてもセクシーな白いドレスを着ている。
と言うか、その髪型とドレスは、誰もが見た瞬間にマリリンと思うほどモンローであった。
「さあ、バッソ。これから貴様を極楽に導いてやるからのお、さっさとベッドに横になるんじゃ」
目の前のモンローさんは、とにかく草治をベッドに横にさせたいようだった。
状況が全く分からなかったが、草治はふと思い付いた。
きっと、これはコスをして何かをプレイするお仕事の人が、部屋を間違えたのだ。
「あ、あの、僕はバッソさんと言う人ではありませんよ。ち、ちなみに、ここは403号室です」
「何を言っておる。貴様の小諸原草治と言うフルチンネームを、この星の流儀に従って呼べばバッソになるだろうが」
「…え? えーと、そ、そうなんですか…」
どうやら部屋を間違えたのではなさそうだ。
しかも、見知らぬモンローさんは僕のフルチンネームを知っていた。
いや、そもそもフルチンネームって何ですか?
様々な疑問が草治の脳裏を駆け巡る。
が、とにかく、相手の意図を尋ねてみるしかない。
「あ、あの、皆さんは、ぼ、僕の部屋で何をしてるんですか?」
「ふむ。見ての通りの芋煮会じゃ」
「い、いもにかい…」
言われて見れば、草治の卓袱台には大きな鍋が置かれていた。
中には大小様々なサイズの芋が入っている。
それは正に、芋煮会の真っ只中と言うべき状況であった。
もちろん、草治には更に大きな疑問がわき上がる。
「ど、どうして、皆さんは僕の部屋で、い、芋煮会をしているんですか?」
「うむ。携行軍事食には飽き飽きしとったからのお。そこにある『おいちんぼ』と言う糧食加工資料に記載されておった『究極の芋煮会』とやらを再現してみたのじゃ。このアミノ酸の汁が染み込んだ地下茎型植物は大したおいちんぼじゃったぞ!」
室内なのにハイヒールを履いて、両手を腰に当てた堂々たる立ち姿のモンローの足下には1冊の本があった。
それは草治が3日前に買った、お気に入りのグルメ漫画だった。
あの『至極の芋煮会』を再現したのには驚いたが、しかし、疑問は全く解決されていない。
むしろ、アミノサンノシル、チカケイガタショクブツと言った聞き慣れない言葉が、更に疑問を深くしただけだった。
何をどう質問すれば良いのか草治が必死に悩んでいると、モンローが突然、大きな声を張り上げた。
「さて、腹ごしらえも済んだことじゃし、オペレーション・パイオツストリームアタックを開始する!」
「はーいー」
「あっはん~」
そして、草治に背を向けて座っていた2人の女性が立ち上がった。
1人は腰まで届く長い黒髪に、切れ長の瞳とおちょぼ口。幾重にも重なる豪華絢爛な着物姿は、まるで古の絵巻物から抜け出した大和撫子のようであった。
もう1人は燃えるような真紅の縦ロールの髪に、金糸銀糸で縁取られた漆黒のドレス。蕩けるような表情と、大きく開いた胸元に輝く真紅のブラジャーが悩ましいほど色っぽいエキゾチックな美少女である。
3人は、草治の1メートルほど前に並んで立った。
「パイオツオープン!」
モンローがそう叫ぶと、3人の着ている服が肩から前後にパカッと開いた。
まるで貝が口を開くかのように、服の上半身が前後に割れ、そのヘソから上が一瞬にして晒された。
「何ですとおおぉぉーっ!!」
草治は思わず叫んだ。
満員電車以外でまともに女性と接触した事のない生粋のDTである彼にとって、この人生初の生パイ・コンタクトはそれだけ衝撃的だったのだ。
モンローの胸は、降り積もった新雪の頂点にピンクのルビーが輝く、全ての登山家を魅了してやまない正に魔の山であった。
その右には、どうやって着物の中に納まっていたのか不思議に思われるほどの、圧倒的な質量が時空を歪めつつ揺れている。
そして左には、まるで朝の築地市場のように活気に溢れた、獲れたてピチピチとでも言うべきエキゾチックな健康美が輝く。
「総員、配置に付け!」
「はーいー」
「うっふん~」
モンローの号令に、大和撫子とエキゾチックが動く。
2人は草治が肩から掛けていた参考書の詰まった鞄を素早く外すと、左右から彼の背中と膝の裏に手を添え、ヒョイッと持ち上げた。
「きゃあぁぁーっ!!」
見知らぬ半裸の女性2人に抱き上げられた草治が悲鳴を上げる。
彼の顔のすぐ左右には、圧倒的な質量と獲れたてピチピチが揺れている。
緊張して全身を硬直させた草治は、されるがまま部屋の隅のベッドに降ろされる。
「総員、パイルオンー!」
草治の股間の上に、モンローがマウントを取った。
薄く透けるような純白のパンツが丸出しの、見事なM字開脚である。
そしてモンローは草治の手首を強く掴むと、自らの魔の山へと導いた。
「おほほ。左翼パイオツ、配置完了どすえ」
「あっはん。右翼パイオツ、配置オケよ~ん」
残りの二人が草治に沿う形で横になった。
草治の左に大和撫子が、右にはエキゾチックが、その胸をピッタリと草治の頬に押し付ける。
「な、何ですかー? 何するんですかああぁぁー!!」
訳の分からない状況に、草治がパニックを起こしたような悲鳴を上げる。
しかし、そんな草治の事など全くお構いなしに、モンローが気合いの入った声で叫ぶ。
「ラッセーラーァッ! ラッセーラーッァ!」
「そいや! そいや!」
「そいや! そいや!」
左右の2人が、すかさずそれに応える。
モンローは掛け声と共に腰を前後に振った。
草治の股間とモンローの股間とが、激しく擦れ合う振り子のような動きだ。
と同時に、草治の手の平を力ずくで、自らの魔の山に押し付ける。
一方、左右に並んで横になっている2人は、最初の『そいや、そいや』で縦に、続く『そいや、そいや』で横へと身体を揺らせた。
草治の頬を、巨大質量と獲れたてピチピチが十文字に擦り上げる。
「や、止めてーっ!! ほんとに止めまっしゃああぁぁー!!」
「ラッセーラーァッ! ラッセーラーッァ!」
「そいや、そいや」
「そいや、そいや」
予備校から帰って僅か数分で乳まみれである。
この状況に、草治の繊細な心は耐えられなかった。
彼はただ無心に天井を見詰めている。
完全に現実から逃避する小心者スキル、チキンフィールドが発動したのだ。
「ラッセーラーァッ! ラッセーラーッァ!」
「そいや、そいや」
「そいや、そいや」
6房のブルンブルンの舞は、徐々に激しさを増した。
今や草治は、両頬をパイオツに圧迫されて極端なアヒル唇であったが、それでも彼の五感は切り離されたままであった。
いつの間にか、大和撫子の巨大さが、草治の呼吸器を塞いでいく。
「ラッセーラーァッ! ラッセーラーッァ!」
「そいや、そいや」
「そいや、そいや」
「もっ…や、やめ……し、しんで……ぶばう……」
もはや草治の呼吸器官は、大和撫子の巨大質量に完全に圧迫されていた。
性的興奮では決して無い息苦しさに、草治の表情が赤黒く染まっている。
それはボクシングの試合なら、レフリーが駆け寄って即刻試合の中止を言い渡すようなグロッキー状態であった。
すると、突然、大和撫子の左手に巻かれた腕時計のような機器から『ピンポーン』と小さな電子音が響く。
彼女は機器を確認すると、総員に静かに告げた。
「バッソの奴の脈拍が180、血圧が220をオーバーしよったどすえ。大放出の時いざ鎌倉。さあ、バキューム隊、突入しておくれやすどすえー」
草治のリビングの扉がバーンと開く。
そして、黒い大きなドラム缶を乗せた台車が猛スピードで入ってくる。
それは、青いツナギを着て白いほっかむりとマスクをした掃除のおばちゃんスタイルの三人組だった。
一人は台車を猛スピードで押している。
もう一人はドラム缶から延びた黒いホースを両手に握っている。
さらにもう一人は、両手をV字に真っ直ぐ伸ばしたグリコのポーズでフリーランニングだ。
「直ちに量子状態保存装置を起動! 最速で吸引開始じゃあー!」
「ラジャー!」
命令を出しながら、モンローは華麗に横回転を決めて草治の上から離れた。
すかさずグリコのポーズが草治の元へと駆け寄り、イリュージョンのような神技で、彼のジーンズとパンツを一気に脱がせた。
起動した黒いドラム缶には、全体に真っ赤な幾何学模様が浮かび上がる。
そして、そこから延びた掃除機のホースのような物を握った掃除婦が、剥き出しになった草治の股間にノズルを差し込む。
ぎゅぼぼぼぼーぎぃやああぁぁーぼぼぼおぉぉー!!
柔らかい肉が吸われる吸引音と、草治の甲高い悲鳴が室内に同時に響き渡った。
『そいや、そいや』を止めた大和撫子とエキゾチックが、身を起こして草治の股間を一心に見詰めている。
あわや乳窒息の死地から逃れた草治であったが、今やそれに変わる新たな危機が股間を襲っていた。
量子状態保存装置と呼ばれたそのドラム缶は、草治の股間を根元からモギ取りそうなほどの凄まじい吸引力で、ぎゅぼぉぉーしていたのだ。
「「「今こそ銀河の至宝を我らの手にー!!!」」」
モンロー、大和撫子、エキゾチックの3人が、右手の拳を高く突き上げながら叫んだ。
もう、何が何だか分からない草治は、小刻みな痙攣を繰り返しながら、もはや断末魔とでも言うべき叫びを上げた。
「あああぁぁーっ! も、もう、モゲますううぅー! モゲましいいぃぃーっ! モゲましゃらぽわああぁぁーーっ!!」
そんな、コートの妖精モゲ三段活用を叫びながら、草治は気絶したのであった。