オレのかわいい妹
「お兄〜ちゃん」
ニコニコしながらかわいい妹のミクがやっ
てきた。
「おー、どうした〜。ミク〜」
かわいいミクを優しくくすぐった。
「キャーくすぐったいよ〜」
ミクがキャッキャキャッキャ笑った。
そんなかわいいミク…。
しかし…十年後。
それが今じゃばっちりメイクの女子高生。
「藤也兄‼︎早く洗面所貸して‼︎」
なんて言ってくる始末。
オシャレの気合いの入れ方が半端ない…。
「待っとけよ〜…今終わるからさー」
「藤也兄は、オシャレしないで‼︎」
「なんでだよ…ってか、オシャレじゃなくて
身だしなみ整えてるだけだし」
「でも、ダメ‼︎ボサボサで行きなよ」
「はぁ〜?無理だろ〜。」
「むぅ〜…」
「なんだよ…。」
むくれるミクの頭をポンポンした。
すると恥ずかしそうにミクは、うつむいて
自分の髪の毛に手をやった。
「ミクこそオシャレしすぎ」
「ミクはいいの!」
「ダメだろ。ミクに彼氏できたらお兄ちゃん
かなしいなー」
「じゃ、ミク彼氏作んない!だからお兄ちゃ
んも絶対彼女作んないでね!」
「う…うん。わかったよ。じゃ先行くな」
「うん。行ってらっしゃーい」
ミクはオレの事どう思ってるんだろう…。
そもそもうちの両親は、再婚したのだけれ
ど、ミクはその事を知らない。
オレはもう大きかったからわかっているの
だけど、ミクはあの頃まだ幼かったから何
も知らないのだ。
もし…本当の兄貴じゃないって分かったら、
きっとショック受けるだろうな…。
こんなになついてくれてさ。
夜
オレの仕事が早い時はたいがいミクはオレ
の部屋に来てくつろいでいる。
ベッドで二人して転がって本をそれぞれ読
んだり、携帯をみたりしている。
それもきっと本当の兄貴だと思って安心し
てるんだろうなぁ。
たまに、お兄ちゃんだーいすきって言いな
がら抱きついて来たりもする。
なんか心苦しいぞ…。
「藤也兄、みて!ここのパフェ美味しそう」
「あ、本当だ。美味そうだな。今度友達と一
緒に行ってきたら?」
「うん…それがここカップル限定なの。」
そっか。
困ったな…。
「男友達とカップルのフリしていっちゃおっ
かな⁉︎」
「うーん。それもアリだけど明日休みだし、
オレと行くか?」
「えっ、お兄ちゃんと久々のデートだ。わぁ
い」
喜ぶミク。
そんなに喜んでくれてありがとうよ。ミク。
でも、オレは本当の兄貴じゃないんだ…
ごめんな。
オレは心の中でミクに謝った。
それにオレさ…
オレはミクを…
朝
まだ、やっと日がのぼりはじめたばっかり
の早朝。
「藤也兄〜。おーきて」
ミクが寝てるオレにムギュ〜って抱きつい
てきた。
寝ていて無防備だったとはいえ、いきなり
そんな大胆に上に乗っかってきてハグとか
…
そんなんいいのかよ⁈
ってか、もう兄妹ごっこ楽しんじゃうか⁉︎
「ミク〜。おはよー。」
オレは思いっきりミクを抱きしめてやった。
ムギュ〜。
「あ〜、癒し〜」
ミクがオレに抱きしめられてそんな事を言
いだした。
「ミク…癒されちゃってんの?」
ミクをハグしたまま聞いてみた。
「うん。お兄ちゃんのハグ大好き!」
ミクがお返しにオレにムギュ〜ってしてき
た。
もうこれ以上は、無理だ‼︎
ガバッ。
ミクを布団にゴロンとおいて立ち上がった。
危なかったぜ…。
「…ってか、ミク起こしに来んの早すぎ」
「てへっ。だって〜、デート嬉しくて〜」
身体をクネクネするミク。
「ミク…、オレなんかでごめん。」
「えっ、なんで?」
「だってさ、兄貴とデートで喜ぶなんてやば
いだろ。お年ごろなんだし、彼氏作んなよ。
な?この前は、彼氏できたらさみしいとか
言っちゃったけど訂正するわ」
「お兄ちゃん…お兄ちゃんはミクが嫌い?」
「嫌いなわけないだろ。」
「じゃあ、好き?」
「うん。好きだよ。かわいい妹だし。」
「そっか。」
ミク…。
なんだ?
そのなんとも言えない表情は、なんなんだ
⁈
わからない…。
「ねー、私先に洗面所使っていい?」
「うん。いいよ」
ミクは、洗面所に向かった。
好きって言っちゃまずかったのか⁇
わからない…。
よくわからないまま支度が終了した。
そしてカップル限定パフェを無事堪能する
事ができた。
それからしばらくミクは、オレの部屋に寄
りつこうとしなかった。
?なんだろう…。
コンコン
「ミクー。」
「ん?」
ミクの部屋にお邪魔した。
「何?」
「何って、、最近オレの部屋に来ないからさ、
オレなんかしちゃったかなって…」
「あー…藤也兄が悪いわけじゃないの。私が
勝手にさ、勝手に…」
「勝手に?」
「うん…お兄ちゃんは、私の事ただの妹だと
思ってるんでしょ?」
「えっ?どう言う意味?」
「私は、お兄ちゃんのこと…お兄ちゃんだと
思ってない。」
ん?
兄貴失格⁇
「あっ…変態兄貴って事⁉︎」
「そうじゃなくって…私本当は、お兄ちゃん
が好きなの。ずっと一人の男性として…」
「えっ、いつから?」
「小学生の頃からかな。お母さんにお兄ちゃ
んが好きって言ったらいいんじゃない?っ
て言われてそこで真実を聞いちゃったの」
「ミク知ってたのかよ⁈」
「うん。」
「マジかー…」
「お兄ちゃん私に気使っていっつも優しくし
てくれてたんでしょ?でも、もういいよ。
お兄ちゃん疲れちゃうから。」
「うん。じゃあもうオレお兄ちゃんやめよっ
かな。」
「えっ、どういうこと⁈お兄ちゃんやめるっ
て何⁈」
「こういうこと」
ミクを優しく包み込んでキスをした。
「お兄ちゃん?」
「オレもずっとミクが好きだったんだ。」
「本当?嬉しい!」
ミクがぎゅっと抱きついてきた。
それに応えるかのようにオレも抱きしめた。
やっと…。
やっと心からのハグをすることができた。
しばらくずっと抱きしめあった。
今までの時間をうめるかのように。
ムギュ〜。
ギュ〜〜♡
おしまい