使徒
今日はスーパームーンで月が大きいらしいですが、やはりインドア派な私は窓から覗く程度です!ということで本日も投稿です!
使徒
夜遅く、少年と少女が焚き火の周りで寝静まった頃に暗闇に蠢く一つの影があった。
「よくも、我が主人を…」
そう口にした人物の拳は怒りによって握りしめられ血が滴っていた。
「ここで仇をうってやる!」
影の主は少年達を起こさないようにゆっくりと近づく。
「まずはお前からだ」
影の主の彼は腰から剣を引き抜くと少年に狙いを定め振り下ろす。
「危ない!」
「なッ!」
確かに寝ていたはずの少女が叫んだことにより、彼の注意が少女へと向く。
「どこを見ているんだ」
背後から冷たい声が聞こえる。
「いつの間に!」
後ろを振り向くとそこには抜剣した剣を持つ少年がいた。
「武器を捨てろ」
少年は再び彼の後ろに回ると今度は剣を首に突きつけ命令する。
「お前はなんだ?」
彼が武器を捨てたことを確認すると少年は質問を始める。
「ッ!俺は慈愛の天使直属の使徒だ!」
「使徒、天使の仲間、敵だ」
彼の口から天使直属の使徒という言葉を聞いた瞬間少年は使徒の首をはねるため剣を握る腕に力を入れる。
「甘い!」
使徒は懐から短剣を取り出しそれをギリギリで防御する。
「貴様がいなければ!」
使徒は少年から離れると同時に足元に捨てた剣を拾いその場で回転、遠心力を使った一撃を少年に放つ。
「天使に関わるものは人間であろうとなんであろうと殺す!」
少年は握りしめた剣で使徒の剣を受け流し、使徒の腹を蹴る。
「グッ!」
腹部を押さえ時使徒は下を向いたが使徒が再び顔をあげるとそこに少年の姿はなかった。
「どこへ…」
「ここだ」
使徒が呟いた瞬間声が聞こえた、しかし声が聞こえた方向は横や後ろではなく上だった。
「こんなとこで死ぬかぁぁ!」
使徒の頭上から渾身の力で斬撃を放つ少年は防ごうとする使徒の剣ごと叩きおり金属のぶつかり合った甲高い音とボトッと言う鈍い音が静かな平原に響き渡った。
「大丈夫?」
「ああ、問題ない」
少年は自分の体を軽く見回し外傷がないことを確認するとその問いに応じる。
「それより、助かった」
「え?」
少年の感謝になんの事だか分からない少女は疑問を浮かべる。
「あんまり言わせんな、お前のおかげで死なずに済んだ」
「どういたしまして、でもあなた死んでも死なないじゃない」
少女は少年をからかうように微笑んだ…
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