第六席
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第六席
しばらく少女は俯いたままであったが、突如近づいてくる強大な気配に気付き立ち上がる。
「この気配は、第六席!」
「第六席?」
少年が少女に問いかけた時すでに強大な気配の持ち主は少年の後ろに立っていた。
「やっと…」
少年の後ろにある姿は、背中からは対をなす二枚の翼があった。
「天…」
少年が言いかけた時、少年の視界は通常ではありえない状態になっていた。
「見つけたぁ」
少年の上半身を切り飛ばした第六席「慈愛の天使」はニタリと不気味な笑みを浮かべた。
「あんたに関係のある人間はどこにいようとさっきの男みたいに全員殺すよ」
「誰を殺すって?」
「は?」
慈愛の天使は何が起きたか分からない様子で声のした方向を向くと、そこには無傷の少年が立っていた。
「第六席、だったか、殺されるのはお前の方だ」
少年がそう言うとゆっくりとその場から進み出し、慈愛の天使へと近づいていく。
「慈愛の天使は救いを求める人たちを徐々に洗脳して行って、最後にはグローリアに変えてしまう、今まで何人が犠牲になった分からない、今こそここで蹴りをつける!」
少年と少女に挟まれる形となった慈愛の天使はニタリと不気味な笑みを浮かべると、彼女の手に光が集まり始める。
「なっ!」
光はやがて剣の形を取り具現化した。
「ッ!」
少女はそれを知っていたのかギリギリで防御したが、少年は片腕を切り飛ばされていた。
「片腕を失ったあんたに何が出来る?」
下卑た笑いを浮かべながらゆっくりと近づいてくる彼女は、少年の手から剣を奪い少年の脳天に突き刺した。
「今度こそ殺したよ」
剣を少年に突き刺したまま持ち上げ、見せしめるかのように少女の前へ投げ捨てた。
「次はあんただよ!」
彼女は二枚の翼を羽ばたかせ少女へと急接近していく。
「チッ!しぶといね!」
少女は彼女が零距離で放った魔法を瞬時に魔力を壁状に変化させた魔法壁を展開することにより何とか防いだ。
「はぁ!」
少女に気を取られていた彼女は後ろから近づいてくる殺気には気付かなかった。
「なんで!!」
彼女がそう叫んだ瞬間、少年の振り下ろした剣が彼女の片腕を切り飛ばした。
「お返しだ」
少年はそう言うと先程の見せしめをそのまま返すかのように、切り飛ばした片腕を力を込め踏み潰した。
「よくも、私の腕を!!」
原型をとどめずに血肉とかした自分の腕をみた彼女は冷静さを失い一直線に少年へと向かい羽ばたいた…
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