翼の少女
本日は雨がすごいですがインドア派な私には関係ないので今日も元気に投稿です!
翼の少女
目が覚めると同時に後頭部に何か柔らかいものを感じた。
「ッ!?」
徐々に見え始める視界には少女が写ったが、そこにいたのはただの少女ではなかった。
「天使!」
少年は咄嗟に少女から距離を取ると剣を構える。
「落ち着いて!」
「天使を前に落ち着けるか!」
少年は少女の翼を見て違和感を感じる。
「なぜ、お前の翼は黒いんだ…」
少年が感じた違和感は少女の翼の色にあった。
「私は…」
少女は躊躇うと少しずつ話し始める。
「私は元々あいつらと同じ天使だった…」
「私はこの世に産まれた時から翼の色が違った、そしてみんなとはまた違う思考を持っていた…」
少女の顔には憎しみのような感情が現れていた。
「十二天儀翼会は元々十三天儀翼会だった?」
「えぇ、まだ天使たちが人間たちと共存して人類が繁栄していた時、私は初めて地上の村に降りた」
少女は慣れてきたのかハッキリと喋るようになってきた、そして少し悲しげな表情を浮かべ語り続ける。
「私だけ翼の色が違うからとその村の人達から堕天使と呼ばれた」
「堕天使か…」
「その村に私が降りた頃から、全てがおかしくなり始めた」
「おかしく?」
「そう、おかしく」
少女は少し間を置くと再び話し始めた。
「私が堕天使と呼ばれていることを知った他の天使たちは、それを人類の反抗と捉えた」
「そして天使たちの行動は次第に人間を助けることから、人間を滅ぼすことへと変わっていった」
「その結果がこれか」
少年が荒れ果てた大地に視線を送ると、少女は無言で頷いた。
「そして、こんなことになったのは私が産まれたからと思った他の天使たちは次第に敵対心を私に向けてきた」
そして少女は俯きながらも続けた。
「私が、こんな世界に産まれたから?翼なんかなかったら、こんなことにはなってなかったのかな?私は産まれてくるべきじゃなかったのかな?」
少女の方を見ると雫が数滴、ポツポツと滴っていた。
「こんな私でも、信じてくれた、認めてくれた人は今まで生きてきた中で数え切れないほどいた」
「でもそんな人達は全員あいつら達に殺された」
「だから私はいるはずもない私を信じ、認めてくれて、ずっと一緒にいれる人を探して歩き続けてきた、そんな時あなたにであった…」
少女は全て言い終わると黙ったまま塞ぎ込んだ。
ここにはある音は一人の少女の嗚咽しか無かった…
次の投稿日は月曜日です!