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不死

最近は暑い日も多いですね、暑さに負けず投稿していきます!

不死

少年は静かに着地すると一直線にグローリアの元へと走る。


「チッ、気付いたか」


少年が近づいてくることに気付いたグローリアは少年に向かい走り始めた。


「はぁ!」


少年はグローリアの足元までたどり着くと動きを鈍らせようと足首のアキレス腱に当たる部分を傷付けるが、グローリアは何事も無かったかのように少年の方を向く。


「ッ!はや…」


次の攻撃に移ろうとした少年は振り返ると同時に死を直感する、先程までただ振り返っていたはずのグローリアの巨大な拳が目の前にあった。


そしてドンっと言う鈍い音と血肉が飛び散る音だけがその場に響き確実に少年の上半身を潰した。


「ッ!?」


されど少年の上半身はまるで時間が巻き戻ったかのように元に戻っていた。


「何が…」


しかし何が起きたか分からず困惑している少年にも容赦なく追撃を続けるグローリア。


「また…」


グローリアの拳が当たる度に少年の身体はバラバラになり、無惨に潰され、上半身のみが空を舞う、しかし少年は依然として生き返る。


「一体なんなんだ…」


少年は思考をめぐらせるが答えは出ない。


「もういや…」


「死にたく…」


やがて少年の思考は死への恐怖に支配されて行った。


「痛い…」


「嫌だ…」


「もう死に…」


少年が一言発する度に血肉は宙を舞った。


「………」


少年はもはや思考を保てないほどに疲弊した。


(死にたくない…)


(どうすれば生き残る?)


(戦う)


(無理)


(なら死)


少年は途切れ途切れの思考のなか、ひとつの結論にたどり着いた。


(戦わなければ死、戦っても死)


(でも戦えば生き残れるかも…)


僅かな希望が少年の体を動かした。


「こんなところで、足踏みしてる場合じゃないんだよ!!」


少年は思い切り叫ぶと、振り下ろされる拳をかわし、地面にめり込んだ手に斬撃を放つ。


「死ね!死ね!死ね!死ねぇ!」


少年は必死に抗った。


身体がバラバラになろうと死ねない、死なない、少年は今までつちかってきた己の全てを剣にのせ、とにかく抗った。


「どっちが先に膝を着くか、勝負だぁぁ!」


そして少年は幾度となく死んだ、しかし何度も身体は巻きもどる。


「あいつを殺すまで、止まれないんだ!!」


少年は渾身の力を込め、最後の一太刀を振るった。


「終わった…」


先に膝を着いたのはグローリアの方であった。


少年は屍の上に立ち尽くし、呟いた。


「打倒天義までの第一歩だな」


少年はその場に倒れそうになった…

次の投稿は木曜日の予定です

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