表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

第一の相談:女騎士団長の悩み(解決編)



そして数週間後のある昼時……



「失礼するっ!、ルート殿はいるかっ!?」



「…騒がしいな…」



いきなり店内…



いや、店内と呼べるかわからない…テントみたいな簡易小屋だし…





…いや、まぁ…店内は店内か。



女騎士団長ことマリーナが慌ただしい様子で入ってきた。



「ルート殿っ!上手くいったぞっ!!、貴殿のおかげだっ!!」



「…上手くいったようで何より…てか別に報告にこんでも…」



「何を言ってるんだっ、貴殿のおかげではないかっ!。報告をするのは当然と言えよう!!」



相変わらず元気なことで……



…だがまぁ…上手くいったのは何よりだ。



俺から案があると言っておいて、上手く行きませんでしたは寝覚が悪いからな。



…俺がマリーナに提案したのは、“貴族のアホ息子どものヤバさを周りに周知する”…ただそれだけだ。



「まさかここまで上手くいくとはっ…貴殿のことを過小評価しすぎていたみたいだっ!」



「…褒めすぎじゃね?」



「そんなわけなかろうっ、これでも足らないくらいだっ!!」



興奮冷めやらぬといった感じ…



まぁ…頭を悩ませていた案件が片付いたのだから、気持ちはわからんではないが…



「…いや、褒めすぎだって……」



「正当な評価だと思うのだが…しかし、よく考えついたものだ…平民出身と貴族出身の者同士で戦わせるとは…」



思い出すかのように話すマリーナ。



…正直なところ、貴族のアホ息子達について、ただ抗議するだけでは何も変わらないと考えていた。



なぜなら、王城内には、貴族連中がそこら中にいるからだ。



もちろん、真面目な貴族もいるだろうが…



相手にされず潰されるのがオチだろう。



財政部分を担当する奴が面倒だと聞いていたし…妨害してくるのは目に見えてる。



また、王自身に直談判したとしても、そう簡単に改善にもつながらないだろうしな…



それだけ、金のつながりってのは厄介だからな…



…だからこそ、俺はこう提案した。



“懸念点として取り上げてみればどうか”と…



ただ単に、駄目だというのは向こうも首を縦に振らないだろうし、そもそも首を縦に振る積もりはないだろう。



それに、あまりしつこく迫れば反感を買うのは必須だ。



ならどうするか…



答えは簡単。



そいつらより上の立場の人間に理解させればいい。



つまり、王だ。





…ん……さっき王に言っても意味がないって言ったって?



あぁ、その通りだ。



ただ単に駄目というだけではな…



だが、王に理解させ、早急に改善しないといけないと認識させるならば話は別だ。



いくら複雑な関係があるとしても、国の重要な守り手である騎士団が簡単に打ち破れるような存在だと知れば、いくらなんでも立ち上がらないわけにはいかない。



国防力とは一種の外交だ。



それを蔑ろにするわけにはいかない…他国に対しての牽制にも関わってくるしな…



で、問題はここ…どうやって無能である事をアピールするか…



正直、こんなのは簡単だ。



自分より劣っていると思っている存在にボロ負けさせればいい。



「くくっ…しかしまぁ……馬鹿な王でなくてよかったよ」



「…流石に不敬として捕まえるべきだろうか…」



「いやいや、正直なところ最大のネックはそこだったんだぞ?。もし、何も知らないとか考えない王だったりすれば、この提案は崩れ去るしな」



「ん…それは…そうだが…」



そう、これはまともに取り合う相手であることが絶対条件だったのだ。



「まぁ、ハッピーエンドで終わってよかったじゃねーか。新聞にも大々的に記載されているしな」



と、俺は側にあった新聞をマリーナの前に投げた。



そこには、“期待の新星っ現るっ!!”と大々的に記載されていた。



「…やはり記者たちは早いな…」



「それが彼らの商売だからなぁ…しかしまぁ…概ね事実なんだろ?、特に“貴族側大敗”ってのは」



「大敗ではなく、勝負にすらならなかったのだがな…」



はぁ…と深いため息を吐くマリーナ。



彼女なりに、ある程度は戦えると思っていたんだろうか…



まぁ…普通は思いたいよな…



だが、蓋を開けてみれば散々な結果…



これは同情の余地しかないわ…



「…しかし、ルート殿は一体何者なのだ…?」



「ん…何が?」



「…その頭脳もそうだが……国王陛下と話がつけられるなんて…」



「いやいや…それは偶然知り合いに知人がいたからだ…別に俺の力でもなんでもねーよ」



「…普通はそんなツテは持っていないものだと思うのだが…」



「まぁ…運が良かったって話なだけだ」



そう、運が良かった。



王に対して、真剣に話を聞いてほしいと言える知り合いが俺にはいた。



これは本当に幸運だったな…



そのおかげで、マリーナは特に苦労することもなく、王に進言したいことがあると切り出すことができたわけだが…



そして、自分が“懸念に思っている事”を王に話す。



懸念とはつまり、貴族の我儘坊ちゃん達の事だ。



…ここは“あくまでそういう風に考えているんですが…判断に困る“って感じでな。



いくら、あらゆるところに貴族達がいるとはいえ、王に直接話して仕舞えば止めようがない。



しかも、“問題ないように思えるが…しかし…”といった、不安を煽るように言えばそれは周りの事も考えながら忠義を示すための行為と捉えられてもおかしくはない。



それに、そんな存在の発言を全て否定することも容易ではない。



もし全て否定でもしようとすれば、逆に自分たちが問い詰められる可能性があるからだ。



とはいえ、向こうも簡単には折れないだろう。



だからこそ、“平民側と貴族側で別れ、模擬戦するという提案をさせた”。



平民だろうが貴族だろうが、強いやつは強い…だが、平民達は自分たちより劣っている、自分たちは優秀だ…



そう思い込んでいる馬鹿な貴族達は少なからずいる。



今回の問題に関して、ただ格下の連中を倒すだけで問題なくなるのならばやらない理由はないと考えると踏んでいた。



…ほんと、面白いほど簡単に引っかかってくれたよなぁ…



こんなんが国政に携わってるとか…悪い悪夢だわ…うん…



「勝負の結果、現状の問題の大きさを痛感した王は騎士団のあり方を見直すことに決めた…言葉優しく書いてあるが、要は貴族連中の選別とかそんなんだろ?」



「…あぁ……今回のことで、貴族側の評価はかなり下がった…加えて醜態とも言える様を晒したからな……」



「あー…不正だって騒いだんだっけ?」



「あぁ、完全に実力負けしていた…まぁ…私たちにそんな嘘が通じるはずもないんだが……騎士団としての質の低下に加え、貴族側の見苦しい言い訳が合わさって貴族側に関してはい色々と調査が入っているようだ」



「…自業自得ってのはこの事だな…まともな貴族だけが残ることを期待するよ」



「……私もそう願っているよ……しかし…よく勝てると思ったな……騎士団の新人達を見てもいなかったのだろう?」



「いや何……あんたをみれば十分だろ?」



「……え?」



「十分な腕前を持ってるみたいだし…後輩に対して真剣に考えてた……まともに訓練したやつなら、十分な実力…少なくとも、サボってる奴より強いと思ったんだよ」



「……」



「ん…どした?」



惚けているマリーナに対して声をかけると…



“ガシッ!!”



「っ!?」



いきなり両手で掴まれた!?



えッなんでッ!?



「…ま…マリーナ…さん?」



「…惚れたっ」



「…え?」



「惚れたのだッルート殿ッ、貴殿の慧眼に加えその底知れぬ能力ッ…是非とも私と婚約してほしい!///」



「はっ…はぁぁ!?」



「そして、新しくなった騎士団のメンバーとなってもらいたい!///」



「いやいやッ、話が飛躍しすぎだっ。てか離れろ!!」



「とりあえず、この後親睦を深めるために食事でもッ!!。ぜひっ、ルート殿には私の事を知ってもらいたくッ…もっ…もちろんっ、ルート殿の事は私も知りたくッ///」



あぁぁもうッ…!!



なんかへんなのに絡まれちゃったよ!!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ