星降る世界.156
それは、魔法学院から離れた場所にある深い森の中。
僕たちは、その入り口に集められている。
「はーい、みなさん。これから始まる課外授業はとても危険ですので、普段仲の悪い生徒も、仲良く協力するように~」
「「「は~い!」」」
みんなの気のない返事。いきなり手を繋げと言われても無理だろう。
特に、あのカースラ。人を小馬鹿にしてくるあいつは無視してるからどうでもよかった。
しかし、あいつの放つ黒くて禍々しい魔力はあいつだ。
僕の家族を……いや、星を破壊した悪しき存在。
今すぐ、滅してやりたいとこだけど今の僕の力では無理だろう。
もし今、リアの家で読ませてもらってる魔法の中に使えそうな魔法があればいいんだけどね。
行きは、鍛練のために歩いて森に入る。険しい場所にある薬草を採取するのが目的だ。
「おい」
どうすればいい。つい気にして、少し前を歩くカースラを睨んでしまう。
「おいってば!」
肩を掴まれてハッとする。ディだ。なんか怒ってるか?
「……どうしたんだ?この魔獣の森のことを教えてくれるのか?」
「どうしたもこうしたもあるか!と……どうして誘わないんだ?」
声が大きいことに気づいたディは、途中で声を落としてしゃべる。周りが訝しむが構わないようだ。
「……誘う?なんのことだい?」
「リアのことに決まってんだろ?この前のダンジョンのことで、譲ったろ?」
「誰を誘うかとか、どうかどうでもいい。
僕にはしなきゃ行けないことがある……!?」
思いっきりグーで殴られる。頬に衝撃が残る。なんで僕が殴られた?
「……お前のそう言うとこ、ムカつくぜ。自分の気持ちに気がつかなくて……」
ディが、言いかけて歩いてくるリアたちに気づく。
「ちょっと、ディ!なにやってるの!?」
「ふん。なんでもねーよ」
草を掻き分け行ってしまう。リアか支えてくれる。
「大丈夫?」
「……ああ」
「酷いね、ディッパーたら」
「モテて調子に乗ってるのかしら」
同じクラスの女子たちが文句を言っている。
僕は、服についた枯れ葉を払いながら呟く。
「……悪口は、こそこそ言わない方が言い」
「んな!?」
「ちょっと、あなたのために言ってるのに!」
きゃーきゃー、小猿みたいだなと思ったけど、そんなこと話したら怒られそうだ。
「誰も、そんなこと頼んでないよ。それに、言いたいことをコソコソ話すのは僕は嫌いだ」
これ以上なにかを言われるより、落ち葉を踏みしめて歩く。
箒が、使えないのだ。体力を温存させないといけない。
「コニー、リュカ。落ち着いて」
「でも、リア~」
「あの性格だから、前までいつも一人だったのよ」
その後ろから聞こえる声にため息を着きながら、大きめな植物を掻き分ける。
大きな木の根っこに薬草が生えている。慎重に近づくと後ろからバタバタ近づいて僕を押しのけるのは、おに……いや、コニーだったか。
「どいて!な~んだ、ただの薬草じゃない!」
ただの薬草でも、必要な人はいると思うのだがな。
コニーは、しゃがんで見ていたが立ち上がり、振り返ろうとして視界から消えた。
「きゃあああああああああああああ!?」
「コニー!?」
「魔物か」
「魔物か……じゃないわよ!早く助けてよ!」
リュカが、吠える。よくリアは普通に接しているな。
ともかく、モモンガみたいな魔物の腕が伸びてコニーの足を掴んでる。
しようがない。クラスメイトに死なれては、寝覚めが悪い。
「助けてやる。だから、癇癪起こすなよ……風よ。静かな吐息……エアライン」
密度の風が線のように伸びて、モモンガ魔物の腕がを切り裂く。
ドサッとして、落ちてくるコニーをリアが魔法でクッションを作って受け止める。
「きゃきゃきゃきゃきゃ!」
モモンガ魔物が怒って襲って来たのでリュカを見るが、まるでなってない。氷の魔法が外れまくっている。
「エアカッター」
今度は、幅広い風の刃で切り裂く。戦いの音を聞きつけたのか、魔物たちが来る。
「……リア。その子、動ける?」
「ええ。大丈夫」
「僕が、殿をつとめる」
「分かったわ。リュカ。コニーを頼むわ」
先頭に立って、リアは声をかける。
「え、ええ。立てる、リュカ?」
「う、うん。大丈夫」
魔物を撃退しつつ、森の奥へ進んで行く。
やれやれ。無事に帰れるのだろうか。
つづく




