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ガーディアンゲーマーズRPG  作者: 野々原 三月
6/10

チュートリアル6 フレンド

セントラル中央通りの混雑が嘘のように

ここセントラル展望地区は、ゆっくりとした時間が流れている


眼下にはセントラル市街

幾重にも続く均整の取れた街路

その先にはまるで巨人から街をまるごと護るべく作られたかの様な外壁がグルリと取り囲み

その中をいくつもの点となったプレイヤー達がまるで砂時計の砂の様にザワザワと流れている


眼前には余りにも広い大地

緑生い茂るトーザトゥルーフィールド

左右に目を向ければ

薄暗いコントラストに包まれたファーレイフィールド

砂と赤みがかった土色の荒野広がるサザーランドフィールド


我々がいるこの一点のみではおおよそ全てを見渡す事すら不可能な世界がそこには広がっている


後方には天を突き抜ける世界樹の幹の様に圧倒的な存在感を放つ塔がそびえ立つ

相変わらずその頂上は雲に隠れうかがい知る事は出来ない


余りの大きさに縮尺を司る脳の部位は仕事を放棄し、ただただ天高く悠々と空を駆ける鳥達がこの塔の巨大さをイメージとして伝えてくれる


ゲーム開始当初は、この場所は憩いの場とは言えない程の人々が集まり

ただただ世界の広さと自分は世界のほんの一部だという認識を得、立ち尽くす人、涙する人、無駄にテンションが上がって柵に飛び乗りセントラル警備兵にめちゃくちゃ怒られる俺みたいな人が多発していた


しかし、人は適応する生き物


次第にこの壮大な景色も日常化する

徐々に人の波も止み、今の様な落ち着きを取り戻し、当初、運営側が予定していたであろう憩いの場として少数の人々の集会の場になっていた


ただ初見の新規プレイヤーにあっては、

この限りでは無い


そう、アイの様に


ただただ立ち尽くす

歓喜すら置き去りにしこの世界に見惚れる


ポンと、セリカがアイの頭を軽く優しく叩く


「どうだアイ、これがこれから私達が冒険する世界だ」


「うん…」


言葉にならない…と言ったところだろうか

素っ気ない返事とは裏腹にアイの瞳はキラキラと遥かな先を見渡している


「さて、と」


この騒がしい2人とダラダラとするのも良い気分転換になりそうだが、そうも言ってはいられない

依頼の時間は、もうすぐそこまで迫ってきているからだ


「そろそろ俺も依頼人と合流しないといかんからそろそろ…かな」


「あっ、ワンコさん?」


「おお、用事ってヤツに行くのか犬?」


「犬言うなや!!」


セリカは少しむくれながらメニュー画面を開きコチラへと歩いて来た


「ほら、手ー出せ犬」


「?」


言われるがまま手のひらを前に出すとセリカが力一杯に手を打ち付けてきた

バチィィィンと心地よい程の音を鳴らす

コレがリアルだったら手がビリビリと痛むだろうほどの勢いだ


セリカさんからフレンド申請が来ています


システムメニューにそう表示された


「約束だからなフレ登録」


「おまえ忘れてなかったんだなw」


「当たり前だ!!!ってか、役に立たなかったら逃げてやろうと思ってたがモンスター相手だと流石にタンク…おまえでも役に立ったからな」


やっぱり逃げる気だったのか…

しかも、おまえでも…は余計だろ…こいつ…


「ま、ここで会ったのも何かの縁…ってやつだな」


俺はYESをタップする


「あわわわ!ワンコさん私も私も!!!」


アイがあたふたしながら手を前に突き出す


「はいよ、アイもいつでも呼んでくれよ」


お互いの手をペチリと合わせフレンド登録を完了した


「で、俺はギャザリングのヘルプに行くんだが、お前らはセントラルまで来て何すんだ?」


アイが勢いよく手を挙げた


「クラフターやります!」


「え?」


クラフターとは素材を使って物を作る、

要はサブジョブの1つである訳だが…


「クラフターっつても、栽培系な」


アイの説明ではいささか的を射ないのを察したのかセリカが説明を入れる


「ファームか?」


「そ、それです!」


「栽培に必要な種や肥料を採取しに来たのさ、ついでに畑付きのレンタルハウスも借りてる」


レンタルハウスとは、俗に言う宿屋である

マイハウスとは違い日払いで宿賃を払わなくてはいけないが、部屋には倉庫もあり手持ちアイテムがいっぱいになった時には重宝する


ただ、部屋の装飾等が出来ないので初心者のうちだけ利用し、資金が増え始めるとマイハウスへ引っ越すという流れが主流である


そして畑とはそのまま畑の意味である

せっかく栽培系のサブジョブを手に入れても畑が無ければ意味がない

その救済策として唯一、栽培系のサブジョブがある我が国の宿屋には特例として畑付きのレンタルハウスが存在する


「なるほど、セカンドライフ寄りの生活するんだな」


「ま、アイは戦闘もまんざらでもない感じになってきたっぽいけどな」


セリカはニンマリと笑みを浮かべてアイを見た


「私はこのゲーム全部をセカンドライフに頑張ります!」


「じゃあ私等も行くわ!また何かあったら頼むからよろしくな」


セリカは背を向けて小さく手を振り

アイはぺこぺこと頭を下げてセリカの元へ走り寄りそのまま展望台からゆっくりと見えなくなってしまった


騒がしい奴等だったが、また呼ばれてこき使われる予感がするわ…

依頼のギャザリング中にでもギルドメンバーにもアレ等の話ししとくかな


さて長引いたせいで少し時間に余裕もなくなってきた…こりゃ依頼終える頃には現実世界じゃ0時過ぎそうだな

ちょっと急ぐか。

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