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ガーディアンゲーマーズRPG  作者: 野々原 三月
3/10

チュートリアル3 戦争報酬

南門は常時開放されており出入りは自由

流石は国の玄関、何が通るんだと言わんばかりの巨大さである

高さは10m近くあるだろうか?

その重厚な分厚い扉は城下町を守るに相応しい安心感を与えてくれる


この重厚な門を抜けるとそこは緑生い茂る大草原

草原の鮮やかな緑と澄み切った空の青が遥か彼方まで続く


「うおぉぉぉーーーーー!!!」


初のフィールドに興奮したのだろうか

アイはピョンピョン跳ねる様に駆け出した


「アイーー! あんまり走ったら危ないぞーーーー!!」


セリカも嬉しそうにアイを追いかける


このツンツン娘も、こんな優しい顔が出来るモノなのか?

まるで妹を見守る姉の様に優しげな瞳で跳ねるアイを見ている


ただし、さっきの熊をも殺す様なあの目…あの目が嘘の様だとキチンと付け加えておこう


アイはアイで、まるでマンガかアニメに出てくる初めて外の世界を知ったお姫様かお嬢様かというくらいのはしゃぎっぷりだ


草むらを駆け回り花を愛でていたアイは空を流れる雲に目をやり不意に、あのあからさまに目立つ建物を指差した


「アレが…真理の塔…?

どんな願いも叶えてくれる…女神様に会える塔?」


それは青く澄み渡った空に一筋の光の柱が天から降りて来た様に一本の線を引いている

その塔は薄青く光り輝き何処までも高く

その先は雲の合間に隠れさらに続いている


…って…演出はわかるが100階でこの高さはないだろ

しかし、そんな1人だけ冷めた意見も言えない


何せ、ツンツン娘も何やら感慨深く塔の先を見つめている…まず、そんなリアルツッコミなんてしたら怒られるに決まってるしね


「まあ、どんな願いもとまではいけないけど、噂じゃリアルにまで影響を与える願いすら叶えてくれるらしいぞ」


「凄いじゃないですか!?」


「あー私も聞いたな…なんでもゲーム内でならほぼ完全になんでも叶えてくれるらしいけど…」


「けど?」


セリカは腕を組み塔の見えない天辺をみながら意味深な表情でアイに言う


「それ以上に凄げーのが運営のGmax社は、この願いってやつに資産の3%を使う用意がある…って噂があるんだよな…」


「そうだなセリカの説明を補完すると、

世界2億5000万人以上が利用するこのゲームの元にあたるGmax ideaって仮想世界

その運営元のGmax社の資産と言ったら桁は俺たち庶民の想像の枠を遥かに超える金額って事だわな〜

その3%って言ったら億単位の金になるって事は確実だし

セリカが言った様に現実世界でもほぼ叶えれない願いは無いんじゃないかな?」


「へ〜…なんか壮大だね〜

あ!でもでも!!!」


アイは不思議そうに空にタップしスワイプする

どうやらメニューウインドから何やら検索している様だ

今どきマニュアルをきちんと読むとは

アイ…えらいぞ!


「あった!これこれ!」


画面をこちらに見える様に向ける

マニュアル画面の様だが…なるほどこの項目か


「この階層クリアすると敵が出なくなるって話なんだけど、これだと全部の国に共通になるじゃないですか?」


「まあそうなるな、塔自体が共通だから」


「だったらですよ!

これって頑張って階層クリアして来た国の人がたまたま負けた週に他所の国に先を越される事もあるって話しですよね?」


「ああ…そうなんだよな…」


アイの言いたい事はこうである。

毎月、勝利国の冒険者がコツコツと階層をクリアして今やっと99階へたどり着いた訳だが


もし、今月、ウチの様なまったく勝てない国がたまたま運良く勝ってしまうとする


すると、ウチは労せずして99階までバトル無しでたどり着いてしまうと言う事になる

あまつさえこれでクリアしてしまったら今まで頑張っていた他国の冒険者は獲物を横取りされてしまう


これはあまりにも理不尽って話しだ


「こればっかりは運営のミスだろう?

マニュアルにも載っけちまって、こんな資産3%の話しまで広まった挙句に世界中で祭りになっちまったから今更、訂正も出来ないんじゃねーか?」


セリカがシラけた顔で答えた

正直、俺もセリカの意見と同じだ


「なんか複雑ですね〜」


「ま、私らには縁遠い話しだ

途中参加の私達じゃ今更トッププレイヤーには追いつけないし

私らは冒険を楽しもーぜ!!

私はアイと一緒に色んな所を旅して周りたいしな」


「そだね!セリちゃんと色んなとこ冒険したい!」


2人はキャッキャウフフな感じで手を取り合って俺の前をズンズン歩いて行く


これで(仮)でもなく本当に女子ならば姉妹か?……そうじゃなかったらコイツら百合だよな…


スキップしながら進んでいたセリカが不意に立ち止まりこちらに振り向く


「あ……そうだ…私も気になった事がある」


セリカがコチラをジト目で見ながらにじり寄って来た


「な、なんだよ…?」


何か見た事も無いものを観察する猫の様に俺の周りをグルリと一周回り腑に落ちないといった仕草を見せる


「MAO…ってのは、おまえが居るから有名なのか?」


「え?あ?…ああ…なるほど、俺の素晴らしさに気づいたかね?」


ドガっ!!!


わざわざ背後に回って背中に背負った盾を蹴り上げられた痛いし!


「アホか! ちげーわ! 希少種の盾持ちのおまえが居るから有名なのかって意味だアホが!!」


蹴られた挙句にアホを2度も強調して言われた

クッソ小娘め…マジで中身が性別女性以外なら絶対に泣かす!泣かしてやるからな…


「どう言う事?」


アイがキョトンとした目でセリカ同様に俺の周りをグルリと回ってみせた


「さっきの奴等がMAOってギルド名を知ってたろ?

普通は、よほど強いとか何かに特化でもしてないとギルド名なんて誰でもが知ってるもんでも無いんだよ」


アイも理解したのかセリカの説明になるほどと頷く


「そうだよね、確かにこれだけ人も居たらギルドもいっぱいあるだろうし

皆んなが皆んなギルド名なんて覚えれないよね」


そう言うとアイもセリカの真似なのか俺の周りを興味深そうに回って観察を始めた


やれやれ…女子は好きだが

女子達…の視線ってのは苦手だ


「確かに盾持ちの俺が居るから余計に目立ってるが、MAO自体は、傭兵として多少は有名だが」


「傭兵か…なら腕はそれなりって感じか?」


「弱小ギルドだけど腕は確かだと自負してるぞ」


ふむふむと何やら考えながらセリカは続ける


「じゃあPvPは?」


このゲームでPvPと盾持ちの俺の話しを持ち出すって事は、このセリカってヒラは、多少は予習している様だ


「同レベル帯でウチのギルメンのフルパなら負けはないだろうな」


「……。」


セリカは静かな瞳でコチラを見て一言

誰に言うでも無く呟いた


「ロールプレイの破綻した…この世界で…か…?」


俺にはセリカが何を思うかわからない

だが、少し寂しそうな…それでいて冷めた風にもみえた


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