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15~乱入者~・1

 空間を抉じ開け、時を越えて現れた“総てに餓えし者”の眷属に襲われた神子姫の里は、フィノとワッフルの夫婦によって守られた。


 これでようやく平穏が戻った、とワッフルが自ら造り出した土人形に「ありがとうな」と堅く乾いた肌を撫でてやった、その時だった。


「待って、まだ何か出てくるよ!」


 閉じきっていなかった門から、さらにぼたりぼたりと新手が現れる。

 あまりの不気味さに青ざめる里の者達を「家の中に逃げ込め!」と避難させるワッフル。


「このまま魔物が現れ続けたら……」

「お父様、あの穴は閉じられないのですか!?」


 娘にそう言われ、時空の精霊である父は静かに姿を小さな毛玉から長身の青年……彼の前世、ランシッド王のそれに変えた。


『……やむを得ないか。出入り口を塞がないと、いくら君達でも限界は来るよね』


 ランシッドが両手をかざし、意識を集中させる。

 すると、空間の穴がゆっくりと、時おりまた拡がろうとしながら閉じていくが……


『ぐっ……くうっ!』

「お父様!」

『……結構キツいんだよ、これ……契約者も傍にいない、新米精霊の俺にはさ……』


 頬を引きつらせ、歯を食い縛りながら耐えるランシッドに、メリーゼの胸がぎゅう、と締めつけられた。


『これでっ……終わりだ!』


 どうにか全ての門を閉じ、再び開く気配もなくなると脱力して両膝をついたランシッドの体が光となって霧散する。


「お父様ぁッ!」

『だ、大丈夫……けど、少し休ませて貰うよ……』


いくつも散った光の粒はメリーゼの腰にある短剣の柄を飾る石……霊晶石の中に吸い込まれていった。


「わたしの、せい……?」

『それは違うよ。あの場ではああするしかなくて、その結果こうなることも全てわかっていた。その上で実行したのよ、あーたのお父さんはね。それより……』


 月光の女神は新たに来てしまった魔物に視線を送り『難しいことはやることやってからにしましょう』とメリーゼに促した。


「住民の避難は終わった。あとは魔物を……」

「あ、あれ、あそこにまだ誰かいる!」


 ワッフルの言葉を遮ってモカが示した先……里の入り口には二人の人影。

 黒髪の青年と金髪の女性の姿を見て、不思議に思ったのはフィノだった。


(彼女の格好、神子姫の……? けど里にあんなひとは……)


 はちきれんばかりのプロポーションを露出の多い神子姫の衣装で包んだ、色香溢れる二十代後半くらいの女性。

 ワッフルと同じ髪、そしてフィノと同じ目の色をした彼女は、フィノの視線に気付くとにっこりと微笑んだ。

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