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14~パスティヤージュの守護者たち~・2

 九頭竜の路を抜けてすぐ闘技場都市サラマンドルで準備を整えた一行は、名物の闘技場に興味を引かれながらも街道沿いに北上し、神子姫の都パスティヤージュへ。

 道中で遭遇した魔物は中央大陸のものとは違い、過酷な環境に適応した砂漠の魔物が多かった。


「魔物の生態はあんま変わってないな。まだまだ本調子じゃないが、どうにかやれそうだ」


 以前にも訪れたことがあるらしいブオルは、襲ってきた魔物を片付け一息つくと斧を握る己の手に視線を落とした。

 時空の精霊であるランシッドの力なしに時を越えたせいかは明確ではないが彼の能力には多くの枷がかけられており、戦うことでそれを少しずつ解いている。


「おっさん、少しは力戻って来たのかよ? あんまわかんねーけど」

「それはお前さん達も一緒に強くなってきてるからだな。自分では実感もちゃんとあるよ」


 あれだけだれていたカカオも多少は暑さに慣れたらしく、片手で戦鎚を担ぐとブオルの方を見た。


「やっぱ若者の成長はめざましいな。見ていて気持ちがいいもんだ」

「へへっ、まぁな!」

「あっ、見えてきたよ! パスティヤージュってあれじゃない?」


 二人の爽やかなやりとりをよそにモカが示した先には、確かに人里らしき影が揺らめいていた。


『間違いないね。ここまで来ればあと少しだ』

「わーい、アンに会えるー!」


 遠方の友人に会える喜びで、モカの足取りは大きな箱を背負っているとは思えないくらい軽く弾むのだった。




……そして、パスティヤージュに到着した一行。


「うわぁ、セクシーな格好のお姉さんがいっぱいだぁ……」


 モカは目の前の光景にまず、そんな感想を抱いた。


 もともと東大陸の人々の服装は中央のそれとは違い、さらっとした肌触りの布を巻き付けた、風通しの良さそうなものが多かった。

 そして未来を予知するという神子姫が住むこの里では、露出度の高い衣装に薄く透けるヴェールやケープ、煌めくアクセサリーを身につけた特徴的な姿の女性が目立つ。


「綺麗……動くとキラキラふわふわしてる……」

『神子姫は儀式で舞いを踊ったりするから、動きが映えるようなそういう衣装なんだよ』


 彼女達の格好に目を輝かせるメリーゼの肩の上で、ランシッドはいつもの手乗り毛玉姿でそう説明した。


 すると、そこに。


「その声はランシッドさん!」


 優しげで可愛らしい、女性の声。


 カカオ達がそちらを向くと、やはり神子姫の衣装に身を包んだ、他と比べるとスレンダーな人物が。

 大きく澄んだターコイズの目、少女の面影を残しつつ大人の女性らしくなった輪郭。

 長く伸ばしたゴールデンイエローの髪が歩くたびふわりと揺れ、やわらかな印象を与える。


 それは勝ち気そうで艶やかなマンジュの長イシェルナとはまた違ったタイプの美しさだった。


『フィノ、久し振り』

「お久し振りです。そのお姿は……?」


 フィノと呼ばれた女性はぺこりとお辞儀すると、灰桜色の飛び跳ねる小さな毛玉をじっと見た。


『ちょっとまあ、彼らと同行するのにこっちの方が都合が良くてね。最近、何か変わったことは……』

「かわいいっ!」


 言葉を遮られてわっしと掴まれ、頬擦りされたランシッドは一瞬遅れて『ぐぇ』と声を発した。


「ランシッドさんそんな可愛い姿にもなれるんですね! ああ~肌触りがもふもふもふもふもふもふもふもふ……」

『ぎゃあぁぁ忘れてた! フィノはこういうのに弱いんだったぁぁぁ!』


 怒濤のもふもふ責めに潰されるランシッド。


 一同が唖然とする中でモカは「これがアンのママかぁ……」とぼんやりそれを眺めていた。

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