比較級と最上級と受動態と 〜前編〜
だめだ、気を取り直して大問六を全部解いたけど、美原先生の年齢のせいでほとんど記憶に残ってない。テスト問題で先生の名前が出てくるのはよくあることだが、個人情報を出すのは前代未聞だ。これ多分事実だよ、ガチで。……気を取り直して次の問題行こう。私は問題用紙をめくった。さーてどんな問題かな?
大問七 次の( )内の単語を適切な形に変えなさい。
わー。カッコ内ってなんとなく稚内に響きが似ているよねー。あと蹴ってないとかも響き似ているよねー。カッコ内♪稚内♪けってーなーい♪
……………………とまあこんなに現実逃避しまくるのにもちゃんとした理由がある。
時系列をさかのぼのること一週間半前、私は不名誉なことに受動態の小テストで〇点を取ってしまった。しかも全て同じパターンで。例を挙げて見よう。こんな問題があったとする。
ex)トムの車は毎日洗われています。
Tom’s car (wash)everyday.
そして私はwashed と答えた。不正解だった。ちなみに正しい答えはis washed だった。
毎日洗われるトムの車もどうかと思うが、問題の出し方もどうかと思う。少し冷たくないか? 問題文の最後に(ただし一語とは限りません。)とか入れるべきでは? さらに言うなら下に波線引いたり太字にするべきでは? と、返された小テストを見てずっとそんなことを思っていた。
余談ではあるが、その紙屑は、家に帰ってから速攻でビリビリに破いてやった。そしてライターの火をつけて跡形もなく燃やした。
これで成績がどうこうっということは一切ない。だが私の心がスッキリした。それだけだ。あともう一つ言うとこれが人生初ライターだった。ちなみに今まではチャッカマンしか使ったことがなかった。
そんな回想をしている場合ではない。時系列を今に戻そう。私はもう二度と引っかからないよう細心の注意を払いながら問題文を読んだ。
(1)ケンはクラスで一番強いです。
Ken is (strong )in his class.
え、何が強いの? 喧嘩? ではないか。今時そんなに荒れてる学校ってないしね。じゃあ何が強いんだろう。ジャンケンとかかな? でもジャンケンは運なのでは……。ならば腕相撲とか百人一首かかそっち系が強いのかなぁ?
それはともかくもう今回は引っかからないぞ。この文は最上級だから形容詞の後にはestをつける、そしてその前にtheが必要となる。よって答えは、 “the strongest ”
となる。
(2)江笠先生は妃崎先生よりも重いです。
Ms Egasa is (heavy )than Mr Kizaki .
先生は本当にデリカシーがない。どうして他の先生の体重知ってるの? しかも女の先生のはやばいよ。江笠先生は本気で怒るとかなりやばいよ。先生、ご愁傷様です。
えーっとこれは、比較級だな。だからerを付けないといけないけど、最後が子音字(この場合はv)+yだからyをiに変えて、
“heavier ”
これでどうだ。
さあどんどん行こう。
(3)スペイン語はスペインで話されています。
Spanish(speak )in Spain .
当たりめーだろ‼︎ スペインなんだから‼︎ ほかの国とかならまだしも、流石にこれはそのまんま過ぎるだろ。もうネタがなくなったんなら普通の文章にしろよ‼︎ 先生は関西人だからボケなければとか考えてるのか? いやテストにユーモアとかネタとか要らないから、マジで。
これは受動態で、しかもspeak は過去分詞形だから、
“spoken ”じゃない“is spoken ”だ。
危なかった、あの小テスト本の二の舞になるところだった。
(4)犬より猫の方が良いです。
Cats are (good )dogs .
本気で大丈夫か? この英語教師。今度は犬派を敵に回しやがったぞ。この先生もうそろそろ転勤気がしてきた。私はどちらかというと……そうだな、トカゲかな? 選択肢にはないけど。
突っ込みはこれくらいにして解答に移ろう。はい、出ました、不規則変化。絶対来ると思ってたよ。good の不規則変化、この場合は比較級だから、
“better than ”
だ。てかこれ熟語じゃなかったっけ?
そうだった気がするけど……ま、いっか。
(5)私の鞄は彼のよりも大きいです。
My bag (big )than his.
そうそう、こう言う普通の問題を出して欲しかったんだよ。見るだけでものすごくほっとする。で、答えは
“bigger ”
だ。
この問題のポイントはgを二回書くことだ。あとこれと同じタイプはhot とかがある。
(6)この本はたくさんの人々に読まれています。
This book (read)by many people .
これは過去分詞形だな。答えはズバリ
“read ”
……え、分からなかったからそのまま書いたんじゃねーかって? 分かってねーな、これは過去分詞形になっても綴りが変わらないんだよ。でも発音は“リード”から“レッド”に変わるらしいけど。
(7)その歌手はあの歌手より有名でした。
The singer (famous )than that one .
その歌手に何があったのだろうか。気にはなるが今は無視しよう。時代は変わるものだしね。この問題は過去形だからbe動詞をいじって、
“was more famous ”
これで大丈夫のはずだ。
(8)弟は私と同じくらい背が高いです。
My brother is as (tall )as me.
これって弟の背が高いのだろうか? それとも兄もしくは姉の背が低いのだろうか? 地味に気になる。
この文は同等比較の文だから、何も変えないのが正解。
問題はまだまだあるが時間も大丈夫そうだ。焦らずじっくりとといていこう。
(5)と(6)はうっかり気を抜いてしまったのか、be動詞が抜けています。
次回は後編です。