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ボッチの金髪美少女

 

 クラスボッチ、なんか良い語呂だな……まあ僕のいつものアダ名ですけど……


 新学期が始まり1週間、そろそろクラスではグループが出来、休み時間ともなると各々が集まり各集団を形成する。


 いつも端から見てるので、そのグループがどんな集まりなのか思わず見てしまう。


 このクラスはカースト上位グループ、イケメングループ、ギャルグループ、オタクグループとよくあるグループが形成されていた。


 もし僕がこのトラウマを抱えていなかったらどこのグループに入るんだろう?

 なんて悲しい事を考えながら、おにぎりを食べつつボーッと教室内を観察していると気になる娘が目に止まった。


 金髪の女子が一人でお弁当を食べている。


「彼女は確か……萬田さんだっけ?」

  萬田 叶(まんだ かなえ)、彼女の髪は光輝く金髪ロング、少し低めの身長だけど、綺麗で整ったプロポーション、顔立ちもハーフなのか日本人離れしている。


 クラスでもかなり目立つ存在だ。そして僕は1年の時彼女の噂を耳にしていた。

 まあ僕は友達がいないので、そういう噂には疎いんだけど、それでも1年の時、クラスで一時期大騒ぎに成る程の存在だった。


 でも……それ以降彼女の話は聞かない……廊下でたまにすれ違うので、転校したわけではないのは知っていた。


 新学期初日、彼女の周りには人がちらほらいた。まああれだけ目立つのだから当たり前なんだけど……それから1週間、みるみる周りから人がいなくなり遂には誰も彼女に近寄らなくなった。


 学校のアイドルになりうる美貌を兼ね備えているのに、誰も寄り付かない……性格に難でもあるのか?


 それとも僕と同じトラウマでも抱えているのか? 僕は物凄く気になっていた。

 しかし……僕はこの病気がある。何でも正直に言ってしまう。嘘がつけない……

 自分が恥ずかしいなら、自分の事ならまだ良い。でもこの病気は困った事に相手を傷つけてしまう。


 例えば彼女が出来たとしよう。その彼女を顔じゃなく性格で好きになったとしても、やっぱり好みって僕にもある。

 そんな彼女が謙遜で、「私可愛く無いから」って言ったら恐らく僕は「そうだね、僕の好みでは無いね」って言ってしまう……即破局である。


 もちろん友人も出来ない、例えば待ち合わせに遅刻して来たとしよう。

「ごめん、ちょっと電車が遅れて、待った?」

 と謝ったとして、普通我慢したり、少し怒ったりして、でも自分の気持ちを圧し殺して、まあ良いよって言うよね。

 でも僕は、「いや待ったよ、当たり前でしょ? 本当もっと早く出たら? そもそもネットで調べたけど、どの電車も遅れてなんか無いよ? 僕は20分前に到着してるし、約束より20分も過ぎてるよね? 40分も待ったよ?」って言ってしまう。当然怒って帰るよね……そもそも僕が早く来た事は言う必要無いし……


 だから僕は遠くで見つめるだけ、彼女には近づかない……


 でも……その思いは直ぐに終わった。


 僕からは近づかない……でも彼女が僕に近づいて来たら、そんな想定外の事が起こった。


「ねえ……貴方さっきから私を見てるけど、何か用?」

 しまった見すぎたか……そして僕にそんな事を聞いて来るとは、ああ、終わった……完全に終わった……


「えっと……君が、萬田さんがボッチで僕と同士な気がして気になっていたん。その綺麗な金髪の髪も可愛い顔も、綺麗なスタイルも何か気になっていたんだ。ごめん見つめちゃって、キモいよね、僕もそう思う」


「……あ、あれ?」


「え?」


「嘘じゃない……え? なに? どういう事?」


「え? 何が」


「あのね……私の事をそういう人は必ず何か嘘をつくの、髪の毛綺麗って言ってるけど金髪に染めてこいつビッチなんだろ? とか 好きだって言ってるけど、結局身体が目当てだとか、人は必ず言葉の中に嘘を含ませるの……特に初対面の時は……でも……貴方からそんな事は感じなかった……な、何で?」


「いや、何でと言われても、僕は嘘がつけないだけなんで」


「嘘が……つけない?」


「うん……僕は嘘がつけないんだ」


「嘘! 何で?」


「えっと……昔……妹を……僕の嘘で大怪我をさせてしまったんだ。それ以来怖くて嘘がつけなくなったんだ……トラウマなんだよ、自業自得なんだけどね」


「そ、そんな……そんな人って…………えっと……確か……七瀬君だったよね」


「うん」


「放課後空いてる?!」


「え! えっと今日は今のところ大丈夫だけど……やっぱり何か気にさわった?」


「ううん、違うの……七瀬君と、もっと話がしたいんだけど、良いかな?」


「良いけど……」


「そう! じゃあ放課後ね」

 萬田さんはそう言って席に戻っていった……

 え? 何? どういう事?

 僕のこの話を聞いてもっと話したいって……なんだろう?


 でももっと話すって……よく考えたら怖いよ、彼女を萬田さんを傷つけなければ良いんだけど。

 僕は不安になりながらも自分にも嘘はつけず、再び彼女を見つめてしまった。


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