表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/17

明るい世界


 彼の事がどんどん好きになる。私の理想の彼……嘘をつかないってとても素敵な事だと思う。


 それだけでも私にとっては十分過ぎるくらい魅力的……でもそれだけじゃない。彼の魅力はそれだけじゃなかった。


 彼は人の痛みを知っている。人の優しさを知っている。凄い魅力だ、今私は彼の嘘をつかないという魅力よりもこっちの魅力に惹かれている。


 それは人によっては少し頼りないと感じるかも知れない……私もたまにはもっと強引に引っ張って欲しいと思う事もある。でも……それを凌駕する程に、私は彼のその優しさに思いやりに魅了されている。


 彼は嘘がつけない、つけば私はわかる。だからこそわかる、わかりすぎてしまう、対価のない彼の優しさや思いやりが……

 


 そしてそれは彼の苦しみでもある。


 彼は今でも悩み苦しんでいる。


 昔妹を傷付けた、でもそれは意図的にしたことではない、ましてや未必の故意でも無い、偶然に起きてしまった出来事。


 妹さんも分かっていると思う、だから彼を責めない、あの事は誰も悪くないと皆が思っている。


 でも……彼は自分の事を責めている責め続けている……それが彼のトラウマとなり今の彼を作っている。


 誰にでも過ちや後悔ってあると思う。それは仕方の無い事、最近ネットで罪を犯した人を皆で責めている、でもあれっておかしいと思うの、責めて良いのは被害者やその家族、そして罪を犯した当人だけ……


 彼は自分の事をこれ以上無いくらい責めた、そして十分に反省し、十分に償った。


 彼を縛っている物から私は解き放ってあげたいと思っている。

 もしそれが出来た時、彼の魅力は半減するだろう、でもそれでも良いと思っている。それでも彼を愛せる自信があるから……

 彼が変わるとき、私も変わる、変われると思う。

 

「ねえ叶ちゃん、僕と一緒にいて楽しい?」

 最近彼の口癖、どうしても思っている事を聞いてしまう。彼の唯一の弱点は人が信じられない事……付き合い始めた頃はもっと酷かった、自分に自信がない、私の事も周りの事も誰も信じられないでいた。


「楽しいよ~~」

 前は色々言ってあげた、どう楽しいのかと、でも最近はこう言うだけ、これだけで十分だから。


「そか」

 彼の顔が笑顔に変わる。これだけで十分、彼は少しづつだけど心を開いて来ている、私にだけ心を許し始めている。

 始めは親を亡くし怯えた子犬の様だった。優しさに触れる事の出来ない子犬……隅っこの方で一人で震えていた。

 始めて見た時その純真な瞳に私は魅了された。可愛い私の子犬……


 最近野原をゆっくりと駆け始めた。明るい野原をはしゃぐ様に走り始めた。


 薄暗い所から私はおいでおいでと呼び掛けた、ただそれだけ、何もしていない。

 明るい所ではしゃぐ彼、でも彼はまだ完全にあの薄暗い所から出てはいない。

 私が目を離すとすぐに戻ろうとする。外に出ても常に後ろ振り向く、暗い場所から目を離さないでいる。

 

 そこにはもう一匹いる。可愛い子犬がもう一匹。

 私が呼んでも出てこない、誰が呼んでも出てこない子犬が一匹。


 その子犬が明るい場所に出てくる方法は一つ、彼が呼ぶしかない。

 でもまだ彼もこの明るい場所を信じきってはいない……


 明るい場所は当然敵にも狙われやすい、彼は何度もここで、この明るい場所で傷け傷ついた。 

 そんな場所に一度傷付けた人を呼ぶなんて出来ないだろう。


 だから私が彼を守る、そしてもう二度とあの暗い世界に帰ろうって思わせない様にする。

 そうすれば、いつか彼は妹をこの世界に、こっちの明るい世界に呼ぶだろう。

 一緒に行こうと言うだろう。


 その時が彼のトラウマ、彼の呪いが解かれる時、彼が彼自身が罪を償ったと思える時。

 

 その時は私が二人を迎えよう、私が二人を抱き締めよう、おめでとう、ありがとう、全ての感謝の言葉を二人に贈ろう。

 

 そしてそれは近い将来来る、私は今そんな予感がしている。



 




いつも読んで頂きありがとうございます。

この話し、現実恋愛から純文か文芸ヒューマンに変えようと思っているんですが

どうでしょうか?

感想欄に書くのが面倒な方、ツイッターに投票があるのでそちらをクリックしてください。

よろしくお願いします。

引き続きブクマ、評価もお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ