僕はトラウマを抱える。
いつも読んで頂きありがとうございます。
ちょっと変な、今までの自分の作品とはひと味違う恋愛作品です。
読んで頂ければ幸いです。
高校2年の新学期、また憂鬱な季節が始まる。
ボッチにとっては苦痛な数週間だ。
ああ、ボッチと言っても僕は別にコミュ障ってわけじゃない、多分ね?
それでも僕はいつもボッチになる。いや、なってしまう。
それはなぜか? 僕はある種の病気を持っている。まあ、病気と言っても身体はいたって健康だ。
厳密に言うと病気ではないのかも知れない、病院には行ってないからそう判断された事はない。
心の病気……僕は大きなトラウマを抱えている。でも誰かに何かをされたわけではない、虐められた事も……多分ない。
自分の愚かな行為によってそのトラウマを抱えてしまった。自業自得なのである。
僕はそのトラウマのせいで、今の今まで恋人はおろか友逹さえも作れなくなってしまった。
高校2年、思春期真っ只中、そんなトラウマは、もう呪いと言っても良いのかも知れない。
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「えっと……七瀬君、今日親睦会があるんだけど、来ない?」
早速来た……新学期恒例行事、クラスメイトの親睦会……あ、七瀬って言うのは僕の名字だ。七瀬 遊馬が僕の名前。
「あ、ごめん今日妹の買い物を頼まれていて」
「え? あ、でも、買い物なら……ちょっと顔出すだけでも駄目かな?」
まあそうなるよね、そして僕はその答えを言わなきゃならない……しかもよりによって、クラスの女子に……
「いや、本当ごめん妹が待ってるんだ」
「あ、そうなんだ、何か急ぎの買い物?」
ああ、言われてしまった……僕はまた……このクラスでもボッチ確定だな……
「うん、ナプキン」
「え?」
「生理用ナプキンを頼まれていて、妹は今お尻にタオルを引いているらしいから、急いで買って帰らないと行けないんだ」
「へーー…………、じゃ、じゃあしょうがないね…………」
「うん、ごめんね」
ドン引きしているのが目に見えてわかった。彼女は僕から離れ女子の輪の中に入る……そして僕を皆一斉に見る。
まあ……そうなるよね……今回は早かったな……昼までしか持たなかったか……
でも……いずれこうなるんなら早い方がいい……僕はそう思う事にした。
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授業が終わり席を立つ、クラスの女子はもう誰も僕を相手にはしてくれない、男子は女子の顔色を伺い誰も話しかけて来ない。
まあ、仕方ない、いつもの事いつもの事……
僕は親睦会で集まっているクラスメイトの横をすり抜け、そそくさと教室を後にした。
帰り道、妹に言われた通りドラッグストアに寄りそして生理用品コーナーに来る。
「えーーーどれ?」
使った事も買った事もない……どれを買っていいかわからない……
何かほんのりと良い匂いが漂う生理用品のコーナーで僕は考え込んでしまう。
妹にラインを送るも返事は無い……仕方ない。
「すみません妹が生理なんですがどれを買えば良いんですか?」
通りすがりの店員(男性)に聞くが、すみませんと謝られ他の店員(女性)を呼ん来ると言ってその場を後に、まあそうだよね、でも女の人だと色々問題が起きるんだけど……
そう思いながら暫く待つと女性店員さんが来てくれる。
「えっと……妹さんの……ですか……年はおいくつですか?」
「中学2年ですね」
「そうですか……運動とかされるんでしたらこちらですが、後は寝る時とか量とかで選ぶんですけど……」
若くて綺麗な店員さん、若干怪訝な顔だがキチンと対応してもらえ少し安心する。
「ああ、そうなんですか……運動はしないですね、不登校で引きこもりなので、あ、そういえば、なんか○○○が、かぶれるって言ってました」
「お、お客様!」
「あ、すみません」
「……か、かぶれにくいのはこの辺です!」
「すみません、それ……買って帰ります」
「あまり変な事言ってると……警察呼びますから……」
店員さんはそう言いながらバックルームへ足早に去って言った……ああ、またか……でも呼ばれないで良かった。
そう……これが僕の病気……僕は嘘がつけない、本当の事をそのまま言ってしまう。
このトラウマのせいで……僕は、この病気のせいで嘘がつけない。このせいでいつもトラブル。
そしてこのせいで、僕はこのトラウマ、この病気を患っているせいで、いつも一人でいた。
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