1-1 始まりの瞬間
初投稿になります。拙い文章ですが世界観を楽しんでくれると嬉しいです。
誤字脱字、違和感のある文章がありましたらお知らせください。
――――――現実のような夢を見た。
黒い闇を背景に青く輝いて見える球体が目の前にある。
見た瞬間に思い浮かんだのは地球だ。
宇宙にいるなら体に異常は?と思うが、感覚が無いことが分かった。
俺の体は自分の意思とは別に徐々にその惑星に近づいていく。
視界がその惑星でいっぱいになり気付いた。現実ではありえない地形....海が圧倒的に少ない。さらに、俺と同じ高度まで伸びている大樹や、空中に浮遊している大陸がいくつもあることだ。
これで地球に似た惑星は完全に空想世界ならぬ、空想惑星になってしまったということだ。
我ながら突飛な夢を見るものだと笑ってしまった。
しかしながら、有り得ない景色に目を奪われ見入っていたら、いつの間にか地上が迫ってきた。着地しそうな場所は、辺り一面が草原になっており動物などは見当たらない。
見た限り障害物は、ところどころにある小さなビル程の大木である。あの高軌道エレベーターのような大樹を見た後ではあまり大きく感じられない。
(もし、夢じゃなかったらミンチになるな。)と、考えている間にもう足が地面に着きそうだ。
俺の足が地面に着いた瞬間....
――――――意識が吹っ飛んだ。
◇◇◇◇
(なんだか、変な夢を見ていた気がする....が内容が思い出せない)
見慣れた自室に安心を覚えつつも、寝汗でぐしょっり濡れた長袖のシャツを脱ぎながらシャワーを浴びに風呂場へ急ぐ。
服を脱いだ俺はあまりスタイルの良い方ではない。中肉中背で撫で肩猫背、基本実家兼自宅から出ないので肌は結構白い。髪は基本的に染めずにかなり短くしている。
理由は周囲の人から服次第で女に見えるとよく言われるからだ。
よく、「何で、髪の毛染めないの?」「何で、短髪にしてるの?」と聞かれるが理由は簡単。
「俺は綺麗好きで、女に間違われるのが嫌なだけ!!!!」
と答えている。
「何故声を出したかって?独りになるとたまに声を出して喋りたくなるからだ」
と、独りで喋って返してをしながら嫌な汗を流す。
友達が少ないのは自覚しているし、間違いのないように言うが、決してニートでも引きこもりでも無い。
二十歳で実家住まいだが、一応社会人なのだ。オンラインでデザイナーの仕事をして稼いでいる。
俺の家族は両親と兄弟の四人家族でよくいる家族だと思っている。仕事で家を出ないので色々言われたが、両親からは「納得してないが理解はした。成人したから基本的に関与しない」とも言われている。
弟とは昔から仲が悪いので「クソ兄貴は楽して金稼いでいる」など言いたい放題だ。親に構って貰えるからって調子に乗っているのだろう。
弟とは元からかなり仲が悪いので今更だろう。何事においても真逆なのだ。容姿も性格も。あいつは細マッチョでチャラチャラした格好をするし、独りよりもみんなでワイワイする派。アクティブで家にいる時間が少ないのだ。
家族のことはこれくらいにして、俺は気分転換にマイカーでドライブに出かけることにした。もやもやしたり、嫌なことがあるときは趣味に限る。
◇◇◇◇
取り敢えず、海に向かって運転していたら意外とすぐに海に着いた。特に目的があって来た訳でもないので、水平線を眺め夕日を拝んでから帰ることにした。これくらいの距離なら九時頃には帰れそうだ。夕食は偶然近くにあったハンバーガーショップで済ませてまた運転し始める。
しばらく運転して見慣れた家の門がが見えてくる。車から降りて、玄関の前でたまたま表札が目に付いた。
「葉月って珍しい姓名だよな。名前になっている人はたまにいるけど....」
「おい、クソ兄貴。外出なんて珍しいじゃん。どこ行っていたんだよ」
....嫌な奴の声が聞こえた気がするが無視しよう。弟とは関わりたくないし何より暑苦しいのだ。
「何無視してんだよ。ちょっとくらい話そうぜ、たまにはいいだろ?な?」
「....そこまで言うなら構わないが....手短にしろよ」
「分かってるって。なんかさ、今日変な夢見なかったか?もやもやする感じのさ。嫌な感覚とか起きた時にあったとかさ」
そう言えば、今朝の目覚めは最悪だったし、まさか....こいつも変な感じがして目が覚めたのか?しかし、こいつと同じなのは癪だな。適当に返そう。
「さあな、なんでそんなことを聞くんだ?布団に地図でも描いたか?」
「....あ”!?やんのか?....いや、それより陽の奴が、悪夢を見たとかで体調を崩したって親御さんに聞いてな。俺も今朝は悪夢で目が覚めたもんだから。何となくだ、気にすんな」
「そうか、まあお前らがどうなろうと関係ないしな。特に俺にはな」
陽とは俺と弟の幼馴染のことだ。俺が一番上で順々に陽に弟と年齢がずれている。確か、陽と弟は付き合っていたはずだ。
「みーなみ」「翔くーん」などと阿保みたいに語尾にハートが付きそうな甘ったるい声で呼び合っているから気色悪いものだ。
「よくもまあ、そんなこと言えんなクソ兄貴。幼馴染だろ、気ぐらい使ってやれよ」
「生憎、自分のことで精一杯なんだ。ほっといてくれ」
「そうかよ....余裕のない人生なんだな」
「言ってろ、被扶養者。コンスタントに稼げるようになってから言え」
そう言い捨てて、俺は家に入る。
しかし、三人が同じような起き方で悪夢を見た感じのことが同時に起きるものなのか....何とも言えないが、偶然で起きるとはとても思えない。
自室に戻り風呂に行く途中、弟に睨まれたが無視した。壁際から覗くように睨むとか女か、あいつは....
ゆっくり湯舟に浸かって疲れをとり、リビングでゆっくりしてから、明日の仕事を確認するため、部屋の見慣れた扉を開け入った瞬間。
――――――俺の体に加わる浮遊感。風を切る音。体に当たる痛いほどに冷たい大気....
何かがフラッシュバックして見えた。どこかで見たはずの記憶....
現実では有り得ない光景....海が圧倒的に少なく。俺と同じ高度まで伸びている大樹が何本も....さらには、空中に浮遊する大陸....完全に思い出した。
「これは....夢で見たのと同じ景色だ。夢じゃないのか?意識もはっきりしているし体の感覚もある」
頭を下にして落下していたが、出来る限り時間を稼ごうと体を広げてみた。途中であまり意味がないことに気が付き地面に対して垂直になり加速する。
俺の直感がそうしろと言っているのだ。どちらにしろ潰れて死ぬ、最期くらいは直感を信じてみよう。
「....この速度なら地面まではあと少しか。死ぬしかないみたいだな。俺の直感も当てにならないし....」
一周回って諦めがついた。目を瞑り痛みに備える....ふわっとした感覚に包まれる。
足が地面に着き、再び目を開けた時俺の眼前にあったのは....夢で見た場所と同じ草原。小さなビルくらいの大木も同じように点在している。
――――――夢と全く同じ光景。
「今度は弾け飛ばなかった....前回とは違うって訳か。体の感覚もはっきりしている。それに意識も........あれ、絶望的だ」
周囲は草原。家屋も見当たらなければ車もない。道具も無ければ食料も無い、持ち物は今着ている服だけ。
あんまりな状況に、脱力感で膝をつき同時に怒りが湧き上がってくる。
「どうしろってんだよ!!!!」
どうしようもない理不尽に、やりどころのない怒りを向けた矛先は地面。
血が出そうなくらいに強く握った拳を地面に叩きつけた次の瞬間....
俺の周りが半球状に繰り抜かれ、宙にいた俺はそのままの体勢で受け身も取らずに落ちた。
「は?....いきなりクレーターが出来た....どうゆうことだ、これ。俺がやったのか?」
何が起こったのか理解できず、呆然と自分の両手を見ていると突然何かが飛び出てきた。反射的に仰け反ったが害のあるものではないようだ。よく見ると何か書いてある。
名前:葉月 満
年齢:二十歳
性別:男
職業:不詳
スキル:《爆縮》《直感》
「実に分かり易くて結構。そういう世界なのか....」
電気ガス水道もなし、住居すら奪われた。追い打ちに、職業が不詳というこの扱い....現代社会に慣れた俺には非常にストレスでショックだ。
「取り敢えず、自室に戻りたい....」
こうして俺は異世界へデビューした。
小説を書くのって難しいですね。
上手くなるように努力します。
ステータスは両手を本を開くように広げると出てくる仕様にしました。