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My way  作者: H-show
5/5

Chapter5 「ぼくの走る道」

登場人物


冬野ふゆの 雪斗ゆきと (17) ♂

本作の主人公。心優しく、とても明るい性格。

高校生にして二人の妹の面倒をみており、

なんとか3人で暮らしている。

中学、高1までは頭が良かった彼も、暮らしが変わり

2年では成績はいつも下位で、まわりから馬鹿にされ続けているが

本人はいつも笑っている。


神川かみかわ 千歳ちとせ (17) ♀

夏休み前にりんご町に引っ越してきた女の子。

元気いっぱいで、ひと思い。困っている人を放っておけず

いつも明るく優しい子。

両親が肉屋をやっており、店員として両親を手伝っている。

新学期、雪斗のクラスに転校生としてやってくるが…?


住江すみのえ 夏樹なつき (17) ♂

雪斗と小さなころからつるんでいる男。

面倒見がよく、義理人情に厚いといった性格で

雪斗を誰よりも友として大切に思っている。

雪斗とは大の遅刻仲間である。


織田おりた 優音ゆね (17) ♀

千歳の斜め前の席の女の子。

明るく楽観的な性格。

転校生の千歳に良くしてくれる様で

積極的に話しかけてくるようだ。


峯原みねはら 真琴まこと (17) ♂

気が弱く、細い。

1年の時に同じクラスだった夏樹と仲が良く

その後雪斗と知り合った感じだ。

理系クラスで進路志望は大学。


吉良きら 拓真たくま (17) ♂

八重桜高校の新しい生徒会長。

有無を言わさない性格で、

風紀の取り締まりにも厳しく

進学校であるのもあり、

頭の良くない生徒をとことん嫌う。


東雲しののめ 風太ふうた (16) ♂

りんご町の不良で知らぬものは居ない、不良グループ

暴律駆ホリックの下っ端。総長がだった

吉良の脱退を未だに認めることができずにいる。

暴律駆はそもそも不良グループと言っても

市民にとって害のある集団ではなくむしろ基本正義。


冬野ふゆの みぞれ (10) ♀

雪斗の妹で、つららとは双子の姉。

兄である雪斗を慕っており、暮らしが苦しくても

いつも明るく笑っている。勉強はどちらかというと好きではなく

いつもつららにやらないといけないと注意されている。

絵をかくのが大好き。


冬野ふゆの つらら (10) ♀

雪斗の妹で、つららとは双子の妹。

真面目な性格でいつもみぞれに振り回されている。

本を読むのが好きで、いつも同じ本を読んでいるが

本人は飽きないらしく、雪斗が買ってくれたものだからと

お気に入りで大切にしている様だ。


源田げんだ 哲也てつや (19) ♂

慧南慈威エナジーの総長。

暴律駆の前総長との戦いの結果に納得がいっておらず

もう一度暴律駆と戦いたいと思っている。

歪んだ形で再びぶつかることになる。



『』は心の声です



ユキト ♂:

チトセ ♀:

ナツキ ♂:

マコト/テツヤ ♂:

ユネ  ♀:

タクマ ♂:

フウタ/不良A ♂:

つらら/みぞれ ♀:


----------------

ユネ  「うんうん! あとは本番で失敗さえしなきゃ完璧だね!」


ナツキ 「ここまで上手くなれるもんか。あと6日で本番だぜ!」


マコト 「うん…! ほんと…上達速度がみんな早いよ…!」


チトセ 「冬野君の歌もどんどん良くなってるよ! ……冬野君?」


ユキト 「えっ? あ…あぁ…。ごめん、うん…なんだっけ?」


ナツキ 「お前の歌が良くなってるって話だろ、どうした?」


ユキト 「いや…うん。大丈夫、なんでもないよ」


ユネ  「なにか考え事…?」


ユキト 「ほ、本当に大丈夫! さ、さぁ。練習しよう!」



(陰から練習を見ており)

タクマ 「……フン」


マコト 「あれ…?」


チトセ 「どうかしたの…?」


マコト 「ううん…いま…そこに誰かいたような気がしただけ…」


ナツキ 「おーら、再開再開!」



(練習が終わって)

チトセ 「ふふ、ぐっすり寝てるね」


ユキト 「悪いな夏樹。つらら、おんぶさせちまって」


ナツキ 「気にすんなよ、遅くまで練習してたんだ。寝ちまうのも無理ねえって」


ユネ  「本当、2人とも可愛いよね」


マコト 「うん、そっくりだし」


ユキト 「ははっ…髪下ろしたらどっちがどっちかわからなくなる時があったぐらいだからね。……東雲ッ!」


ナツキ 「おーい、寝てるんだからデカい声出すなよ…って…おい…どした!?」


(ぼろぼろ)

フウタ 「…げほっ…げほっ…! スンません……」


チトセ 「だ…誰…? どうしてこんなにボロボロなの…!」


ユキト 「…誰にやられたんだ!?」


フウタ 「慧南慈威エナジーのやつらに…やられました…」


ナツキ 「慧南慈威…!? なんだ…それ…」


ユキト 「…暴律駆ホリックの総長とやりあった暴走族だ…」


フウタ 「ど…どうして…それを…」


ユネ  「ぼ、暴走族…? あ、危ないことに巻き込まれたりしてないよね…!? 冬野君、住江君…」


フウタ 「まだ終わっちゃいない…今の総長はどこだ…って…出せって…げほっ! …いないって言ったんですけど…そしたら…このザマッス…」


ナツキ 「今の総長って……まさか…」


フウタ 「吉良ッスよ……だけど…っ……もうあの人は総長でもなんでもないッス……」


ユキト 「それで…どうするんだ…?」


フウタ 「6日以内に総長を出さなきゃ…暴律駆を潰すって…」


マコト 「そ…それって文化祭の日…」


ナツキ 「拓真が動くにしても無理じゃねぇか!」


フウタ 「だ…だから吉良はもういいんス…俺達で…なんとかするッス…」


ユキト 「あぁっ…おい!」


フウタ 「大丈夫ッス……スンません…」


(自宅)

つらら 「すぅ…すぅ…」

(電話)

ユキト 「拓真」


タクマ 「なんだ、こんな時間に」


ユキト 「…東雲が慧南慈威に襲われた話、聞いたか? 大怪我って程でもないだろうけど…ボコボコにはやられてた」


タクマ 「! ……だからどうした」


ユキト 「お前…だからどうしたって言い方無いだろ」


タクマ 「…俺にはもう関係ない、昼間そう言っただろう」


ユキト 「仕返ししろなんて意味じゃない…だけど…仲間がやられて…その反応は無いだろ、そう言いたいんだ」


タクマ 「君に何の関係がある」


ユキト 「関係がどうとかそんな話じゃないだろって言ってるんだよ!!」


みぞれ 「んっ…お兄ちゃん…? どうして怒ってるの…?」


ユキト 「…ごめんな…起こして悪かった……とにかく…東雲に連絡してやれよ、暴律駆絡みの話みたいなんだ」


タクマ 「何度言わせる、俺にはもう関係ない」


ユキト 「…いい加減にし-」(ぶつっ)


つらら 「ゆき兄大丈夫…?」


ユキト 「ああ……ちっ………寝るか…」



(文化祭当日)

つらら 「学校お休みしていいの?」


ユキト 「あぁ、今日はうちの高校で文化祭だからな。本当はだめだけど…今日ぐらい休んでもばちは当たらないさ」


みぞれ 「文化祭! たのしみ!」


ユキト 「だろ? 兄ちゃん、この前から練習してたバンドで出るからな!」


つらら 「あれ…ゆき兄」


ユキト 「ん?」


つらら 「お弁当いらないの?」


ユキト 「あぁ。文化祭なんだ、学校の模擬店でご飯は食べればいい。さ、行くぞ」


みぞれ 「ほんと! はやく! はやく!」




ナツキ 「よっ、おはよ。つららちゃんみぞれちゃんも、おはよーさん」


つらら 「おはよう!」


ユキト 「文化祭連れて行くっていったらこの調子でさ…」


みぞれ 「はやくいこ!」


ナツキ 「ははっ、元気だな。そういや…今日だろ、東雲が言ってた日って」


ユキト 「…うん。拓真…話くらい聞いてやったのかな」


ナツキ 「……まぁ、俺達にどうにかできる話でもねぇ。今はバンドの事を考えようぜ」


つらら 「…難しいおはなし?」


ナツキ 「あ、悪かったな。さ、2人とも行くぞぉ~」


みぞれ 「うん!」




(学校)

マコト 「おはよう。みんな」


みぞれ 「真琴君おはよう!」


チトセ 「連れてきたんだ、つららちゃん達」


ユキト 「うん…。いつも退屈な思いさせてるからさ…たまには学校休んで…少しでも楽しく過ごしてくれたらなって」


ユネ  「全員そろったね! 須藤先生が居ないのは寂しいけど…頑張ろう!」


ナツキ 「リハーサルだな! ビシッと決めようぜ!」


つらら 「ゆき兄が出るのはいつ?」


ユキト 「有志発表だから…2時くらいか? よっしゃ、それまで見て回るか! みぞれ、つらら!」


マコト 「そうだね…僕も2時までは出し物の手伝いに回ってくるよ!」


チトセ 「冬野君、ちょっと!」



ユネ  「まこっちのクラスの出し物って何だっけ…?」


マコト 「にーはお! 中華を意識した料理店だよ!」


ナツキ 「神川、雪斗。行って来いよ、1時間交代で俺と信長で店手伝っとくぜ」


ユネ  「住江君勝手に進めちゃって~…うん、そうしよう!」


マコト 「じゃ、僕行くね! また!」



ユキト 「よっし、行こう!」


つらら 「うんっ!」


チトセ 「みぞれちゃんも!」


みぞれ 「いこう、いこーう!」




ナツキ 「なあ織田」


ユネ  「信長って言わないんだ」


ナツキ 「本気で呼んでるわけじゃないんだからよ」


ユネ  「ふふっ、少し安心したかも」


ナツキ 「何がだよ?」


ユネ  「べっつにー」


ナツキ 「なら…いいけどよ。俺…実は、前から思ってたんだけどさ」


ユネ  「な…何? 改まって…」


ナツキ 「外部の人間をウェルカムな文化祭って現実世界で本当にあったんだな、アニメ漫画の話だと思ってたぜ」


ユネ  「う…うーん……そ…そうだね……」




チトセ 「つららちゃん、どうしたの?」


つらら 「ゆき兄」


ユキト 「…どした?」


つらら 「たぴおか、ってなに?」


ユキト 「…何って言われると…難しいな…た……たべもの…かな?」


みぞれ 「自信ないの…?」


チトセ 「気になるなら、買ってあげようか…? つららちゃん」


つらら 「ほ…ほんと!」


ユキト 「あぁっ、いいよ神川さん。悪いよ…」


チトセ 「いいの、みぞれちゃんもいる?」


みぞれ 「…うん!」


チトセ 「気にしないで、私が好きでこうしてるんだから」


ユキト 「……ごめんね、本当」




マコト 「あ……あれ……? なんだ…?」



タクマ 「!?」


(学校の敷地にぞろぞろと暴走族が入ってきて)

ユネ  「…す、住江君!」


ナツキ 「まさか……あいつら!」


ユネ  「住江君! どこ行くの!? まさかあそこに行くつもり!?」


ナツキ 「あぁ!? えっと…えっと…トイレだ!」


ユネ  「……ほんとに…?」


ナツキ 「……えっと……嘘だ、すまん!」




フウタ 「げほッ……くそっ……」


テツヤ 「ここだな? 暴律駆の頭がいるのは」


フウタ 「おい…待てッ…くそっ!」


テツヤ 「しつけぇんだよ、失せろ」


フウタ 「俺達暴律駆に頭はいねぇ!」


テツヤ 「てめぇが頭と出会ってたことはもうわかってる。10分やる、はやく頭を出せ」



ユキト 「ほい、つらら、みぞれ」


つらら 「ありがとうゆき兄」


みぞれ 「ふるーつぽんち…」


チトセ 「こんなに賑わう文化祭、私初めて…」


ユキト 「神川さんの学校はどんな文化祭だ-」



ナツキ 「雪斗!!」


ユキト 「夏樹。どうしたの? そんなに慌てて」


ナツキ 「昇降口に暴走族が来てる…!」


チトセ 「ぼっ…暴走族!?」


みぞれ 「暴走族ってなに?」


つらら 「うーん…しらない」


ユキト 「拓真が絡んでるのか…?」


ナツキ 「わからねぇ…遠くて見えなかったけど、多分東雲も一緒だった」


ユキト 「…まさか…! 拓真の場所を吐かせられたってこと?」


ナツキ 「考えられるな、行くぞ!」


ユキト 「…うん!」


チトセ 「ちょ、ちょっと待って! 行くって何処に!? 暴走族がなんとかって…この前も言ってたけど…」


ナツキ 「昇降口だろ」


チトセ 「危ないよ! 警察の人を呼べば…」


ユキト 「危ないのはわかってる、でも。放っておけないからね。神川さん、つららとみぞれをお願い」


つらら 「怪我しないでね…」


みぞれ 「早く戻ってきてね!」




テツヤ 「時間切れだ。お前ら、行け」



ナツキ 「待て!」


ユキト 「東雲! 大丈夫!」


フウタ 「っ…住江サン…冬野サン…」


テツヤ 「なんだ? お前ら」


フウタ 「これは…暴律駆と慧南慈威の問題ッス…迷惑かけられないッスよ…」


ナツキ 「こうなっちまった以上…暴れるつもりなんだろ…?」


フウタ 「…そりゃあ…ハイ…八重桜高校サンのせっかくの文化祭ッス…俺達の為なんかに台無しにしたくねぇッス…!」


ユキト 「自分たちの文化祭を自分たちで守らずしてどうすんだって話だよ」


ナツキ 「東雲。いや、風太、俺達も暴律駆に混ぜてくれよ? バイクはねぇけど…自転車ならある。英語にしちまえばバイクだ! な?」


フウタ 「住江サン…冬野サン…!」


ユキト 「俺も腹決めたよ、喧嘩は弱いけど…ね!」


テツヤ 「そーかそーか…なら…本気で潰すぞ……!!」




タクマ 「なぜ…あいつらがうちに! くそっ!」


ユネ  「拓真君!?」


タクマ 「! 住江達は!」


ユネ  「しょ…昇降口に…」


タクマ 「何故…わかった!」


マコト 「吉良君? 昇降口で何か…」


タクマ 「わかってる! 峯原は警察に連絡してくれ!」


マコト 「…うん! わかった…!」


ユネ  「まこっち!」


マコト 「織田さん!」


ユネ  「あの人たち…次々校舎に入ってきてる…」


マコト 「まずいね…住江君たちが言ってた暴走族ってこれのことだったんだ…!」




つらら 「…こ、こわいよ…千歳ちゃん」


みぞれ 「来ないで…」


チトセ 「大丈夫…私がついてるよ…つららちゃん、みぞれちゃん…!」


不良A 「ぶっ潰しに来ましたぁ。暴律駆の頭はどこナリ~?」


チトセ 「…!」


不良A 「けっへっへ、答えるつもりが無いなら吐かせてやるナリ」


タクマ 「邪魔だッ!」(殴り飛ばして)


不良A 「!? ごぉぁっ!?」


つらら 「ゆ…ゆき兄のお友達…」


チトセ 「き…吉良君…!」


タクマ 「早く逃げろ。くそっ!」


チトセ 「吉良君! どこに行くの!」




テツヤ 「思ったより粘るな?」


フウタ 「げほっ! ごほっ! たった76人…だが…どいつもこいつも頭を失ったのにもかかわらず逃げねぇ根性座った奴しかいねぇのが暴律駆だ…吉良さんのこれからを邪魔させねぇぞ!」


テツヤ 「頭がいねぇとか言いつつ頭だった吉良を肯定するんだな」


ユキト 「うぉっ! 危ない…そらッ!!」


ナツキ 「進学校だからって喧嘩弱ぇと思ったら大間違いだぜ…らァァ!! 俺みたいなバカも一部いるんだ」



タクマ 「風太…住江…冬野…暴律駆あいつらまで…」



フウタ 「確かに吉良さんは…逃げたかもしれねぇ…だけど…俺は今気づいた…あの人が居なくなってからもうちは誰も頭にならなかった…あの人が本物の大将の器だったから…あの人みたいな器に誰もなれねぇからだ!」


テツヤ 「こうして元仲間の奴がやられて出てこれない根性なしがか?」


フウタ 「あぁ、そうだ! 吉良さんが暴律駆を拒んでも…暴律駆は吉良さんを拒まねぇ! 暴律駆は皆兄弟…今の暴律駆を作ったのはあの人だからな!」


ナツキ 「ははっ、暑苦しいぜ…ったくよ」


テツヤ 「拒むもくそもねぇ、ここで暴律駆は終わりだ」


ユキト 「………そうでも無さそうだ」


フウタ 「……! アンタ……」


ナツキ 「……ああ、みたいだな」



タクマ 「待たせたな」



テツヤ 「…吉良…!」


タクマ 「風太」


フウタ 「あんたは根性無しッス……」


タクマ 「ああ、そうだな…俺は兄弟すら信用できないようなクソ野郎だ。だが…兄弟やられて黙ってるクソ野郎にだけはなった覚えは無い!! 源田ァァァァッ!!!」


テツヤ 「……やっと出てきたな……!! 吉良ァァァァッ!」


ナツキ 「良かったな、風太…頭が戻って来たぜ」


ユキト 「俺達もバンドまで時間ないよ、夏樹」


ナツキ 「おぉい、こんな大事件なのにバンドの事なんて考えてたのか?」


ユキト 「ははっ、うん。バンドの為に頑張って来たんだから…当然だ!」


フウタ 「吉良さん……俺達こそ兄弟なのに突き放すような事言ってスンマせん…どんだけ何言っても…やっぱ吉良さんじゃないとダメッス。柚香さんの為にもここで白黒つけて…暴律駆を…いや…俺達が吉良さんから卒業するッス」


タクマ 「…あぁ。ありがとう」


フウタ 「これを」


タクマ 「特攻服?」


フウタ 「吉良さんが暴律駆を抜けた時から誰も羽織ってないッス、吉良さん!」


タクマ 「……フッ……。兄弟も学校も俺が護る。全員まとめてかかって来いやァァァァァァァァァァッ!!!」




マコト 「えっ…あれ…先頭で喧嘩してるのって…」


チトセ 「吉良君…だよね…」


ユネ  「う…うそ……どうして…拓真君が…」


つらら 「なに…? なに?」


みぞれ 「わかんない…いつ帰ってくるのかな…?」


つらら 「多分…そのうち」


みぞれ 「そのうちっていつ?」


つらら 「……もうちょっとしたら…」


みぞれ 「もうちょっとってどれくらい…?」


つらら 「うー……しらないもん!」




テツヤ 「くっ…そ…」


タクマ 「数居ればいいってわけじゃない」


テツヤ 「あぁ!? まだだ…クソがっ!」


タクマ 「ふんっ!!」


テツヤ 「…ぅぉぁっ!?」


タクマ 「…ぐ……っ」


ユキト 「はぁっ…はぁっ……ぅぅ……もうダメ……」


ナツキ 「だぁぁぁぁぁもう……無理だぜェ……」


タクマ 「源田…俺は今日で暴律駆の頭を降りる」


テツヤ 「…何……?」


タクマ 「慧南慈威が攻めてきたって聞いてまさかとは思っていた。うちの前総長が事故で亡くなって…慧南慈威の勝ちで終わったのが納得いかなかったんだろう」


フウタ 「えっ?」


タクマ 「ちゃんと大将同士戦って勝敗を決めたかったんだ、違うか?」


テツヤ 「……不戦勝みたいな勝ち方が嫌だった…それだけだ…だからこんなにも暴律駆の頭とやりたくて仕方なかったんだろうな…強ェな…暴律駆は」


タクマ 「風太、次はお前が総長だ」


フウタ 「…えっ? えぇぇぇっ!? 俺がッスか?」


タクマ 「みんなも異論は無いだろう? …………だ、そうだ」


フウタ 「本当に…俺が…?」


テツヤ 「東雲、今回は暴律駆の勝ちを認めてやる…だが…次は知らんぞ」


タクマ 「風太…そして、お前ら。今まで、ありがとう」


フウタ 「…吉良さん……! ありがとうございました…!」




チトセ 「うわっ!? 二人ともボロボロにドロドロ!? 大丈夫…!?」


つらら 「ゆき兄、大丈夫? 大丈夫?」


ユキト 「うん…痛でででででっ!」


マコト 「染みる…? ごめん、我慢してね」


ユネ  「まさか本当に暴走族と殴りっこしてたなんて…」


ナツキ 「あっ」


みぞれ 「夏樹お兄ちゃんどうかしたの?」


ナツキ 「有志発表どうなったんだ?」


チトセ 「あ」


マコト 「あ」


ユキト 「そうだった…」


ユネ  「警察の人が来て、先生たちと話してたんだけど…文化祭は中止だって…」


チトセ 「そ…そっか……」


ユキト 「……」


タクマ 「帰っていなかったのか、君達」


ユキト 「拓真…」


タクマ 「今回の事件の原因は俺だ。すまない」


ナツキ 「お前が謝ることはねぇ」


マコト 「あの…さ……吉良君…会長を辞めるって本当…?」


タクマ 「…誰か話したのか?」


マコト 「うん…さっき生徒会室を通った時にそんな話が聞こえて…」


タクマ 「…あぁ……俺の話はいい。明日は文化祭2日目の予定だったが、全校集会に変わったということを忘れないように登校してくれ」


チトセ 「ちょ、ちょっと待って! 会長を辞めるって…」


ユキト 「事件の原因だったからか? お、おい!」




ユキト 「ごめんな、せっかく文化祭だって連れ出してやったのに」


つらら 「ううん…それでも楽しかった」


みぞれ 「うんっ! たぴおか、美味しかった!」


ユキト 「そっか……はぁ…」


チトセ 「バンド…だよね」


ナツキ 「表向きああは言ったけどそりゃショックだよな」


ユネ  「ここまで頑張って来たのにね……」


マコト 「……そうだね……ショック…だね……」


(翌日)

ユキト 「全校集会って言ってたけど……何なんだろう?」


ナツキ 「さぁな…昨日のこと絡みだろ」


ユキト 「あ…拓真がステージに上がって来た…」




タクマ 「昨日、本校が暴走族グループに襲撃されるという事件が起きました。怪我人は3名。文化祭の最中であるというのにもかかわらずこのような事態を招いたのは私、吉良拓真が原因です。話が広まり、おそらく本校の生徒で知らない方はいないとおもいます。私は、もともと暴走族グループに入っていました」


チトセ 「そんな…知ってる人がほとんどかもしれないけど…自分から言う事なんて…」


ユネ  「うん…会長を辞めるって…こういう事だったんだ…」


(体育館中の生徒が野次を飛ばし始めて)


マコト 「ちょ、ちょっとやめなよ! 痛ッ」


ナツキ 「なにやってんだこいつら…! お、おい雪斗! どこ行くんだ!」


チトセ 「あ、あれ?」


マコト 「冬野君!」


タクマ 「退学を覚悟で先生方に相談した結果、会長を辞任するという結論に至りました。会長を辞任することで許されるわけではありません。私の中で最大の償いと考え-ちょっ! 何をするんだ、冬野!」


(体育館の野次はピークに)


ユキト 「うるせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」


タクマ 「ふ…冬野?」


ユキト 「あんたら……何を知ってるんだよ、怪我人3名ってのは俺と…拓真と、そこに立ってる夏樹の事だ。俺達3人は昇降口で暴走族と喧嘩してたんだ、怪我して当たり前だよ! 何が言いたいかって、校舎内に居たあんたらは無傷だったんだろ!! 誰のおかげだよ!!」


ナツキ 「雪斗…!」


ユキト 「校舎内に入ってきた暴走族の奴ら…みんなを襲ってきた奴もいたかもしれない…だけど…守ってくれた奴もいたはずだ! それは…拓真の…仲間だぞ…! 上手く言葉が…出てこない…けど……今そうやってヤイヤイヤイヤイ言えるのは学校を守ってくれた拓真たちのおかげだ!! それを暴走族グループに居たからなんとかってみんなで叩くのか!」


タクマ 「冬野…」


ユキト 「拓真は表向き冷たい事言ってるかもしれないけど……誰よりも学校の事を大切に思ってるんだ! 何がクソ野郎だ、俺から言わせてみれば正しい事をした、守ってくれた奴にごちゃごちゃ言うあんたらのほうがよっぽどクソ野郎だ!」


ナツキ 「……その通りだなぁおい! あいつが退学になるなら俺も退学でかまわねぇ! おら、文句言うなら目の前に出てこい! 拓真に関してごちゃごちゃ言う奴は土星までぶっ飛ばすぞ! 拓真が会長を辞めることに異議がある奴は全員拍手だ!!」


マコト 「冬野君、住江君…ほんと…あの二人はすごいな…」


チトセ 「異議ありー! ふふっ!」


ユネ  「そうだね、異議だらけ!」


(体育館が拍手に包まれ)


タクマ 「自分たちがしたことを、わかっているのか」


ナツキ 「さぁな?」


ユキト 「友達が好き勝手言われて黙ってられないよ」


チトセ 「かっこよかったよ、冬野君」


ユキト 「そう…? 俺は思ったことを言いたかっただけ」


ユネ  「うん、そうだね! よかったよかった!」


マコト 「学年集会なんだったらそこでバンドでもさせてもらえたらよかったのにね!」


タクマ 「そう、それなんだが」


ユネ  「?」


タクマ 「土曜に有志発表を行える機会をもう一度作ってもらった。文化祭ほど人が集まるとは思えないが…」


ナツキ 「サンキュー、タクマ」


タクマ 「フン、借を作っておくのは嫌なだけだ」


ユキト 「土曜ならつららたちも休まずにこれるな!」


マコト 「よし、帰りに練習して帰ろう!


(土曜日)


フウタ 「俺まで呼んでもらってよかったんスか?」


タクマ 「あぁ。せっかくだから楽しんでいけ」


フウタ 「オッス」


つらら 「み、見えない」


みぞれ 「人おおいよぉ…」


タクマ 「肩車してやろうか?」


つらら 「ゆき兄のお友達…」


タクマ 「名前をいい加減憶えてくれ、吉良拓真だ」


みぞれ 「拓真君!」


タクマ 「拓真君って…はぁ…まあいい。よいしょっと…」


つらら 「よくみえる! ありがとう!」


みぞれ 「あー…つららばっかりずるいずるい!」


フウタ 「みぞれちゃんは俺がしてあげるッス。ほいっ」


みぞれ 「わ、たかーい!」


タクマ 「土曜だというのに殆どの生徒が登校するとはな」


フウタ 「お、出てきたッスよ」


つらら 「ゆき兄ー!」


みぞれ 「お兄ちゃーん!」



チトセ 「この時のために頑張って来たんだもんね…! 頑張れー! 冬野君! 住江君! 峯原君!」


ユネ  「うんうんうん! 盛り上がってきたぁー!!」



ユキト 「ううっ…緊張してきた…」


マコト 「練習通りやれば大丈夫!」


ナツキ 「失敗なんてどうでもいい、楽しんでやろうぜ」



ユネ  「My bandの…」


チトセ 「ぼくの走る道」



マコト 「行くよッ!」


ナツキ 「おっしゃ!」


ユキト 「ふぅ………ぼくの走る道ッ!!!」




Chapter5

「ぼくの走る道」

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