二曲目
私たちはとあるファーストフード店に来ていた。
「やっぱ、チーズバーガーセットだな。」
ケイは右手にチーズバーガ―、左手にポテト(M)を掴んでバクバク食べていた。
「圭吾、下品だよ。」
「うん。下品だよ。」
宏樹と実月が苦笑いしながら、ベーコンレタスバーガーを頬張っていた。
「そういや、新しい音源作ったんだけど…。」
兎蘭が照れくさそうにUSBを胸ポケットから取り出した。
作曲は兎蘭が担当。作詞は…。
「じゃ、歌詞考えとくね!」
私がやっている。
「今度はどんなふうにするんだ?」
「ん~。どんなのがいい?」
「俺、ラブソングがいい。」
「「「「「え?」」」」」
ラブソングと言い出したのは、いつもは静かでそんなこと言い出さない、樹龍だった。
「…おい、樹龍。いきなりどうした?」
「そうだよ。熱でもあるの?」
兎蘭とケイは心配そうに聞いた。
私と宏樹実月も、気になった。
「いやさ、香奈が俺たちのバンドを見に来るんだって。だからその時に、ちょっと聞かせてやりたいから。」
「「なるほど。」」
双子は縦にうなずいた。
樹龍には、かわいい他校の彼女がいる。
樋口香奈ちゃん。高校一年生。
香奈ちゃんと樹龍は、去年の夏に付き合いだした。
香奈ちゃんは可愛げがあって、人懐っこいから、モテモテだ。
それ故、いやな噂も聞かないわけじゃない。
「じゃ、急いで歌詞作んないとね!」
「おう。頼んだ。」
こんなこと言ってるが、本当は作りたくなんかない。
だって私は…。