残り時間
三題噺もどき―きゅうひゃくごじゅうに。
テストというのは。
どうしてこんなにも。
「……」
眠くなるのだろう。
「……」
かさかさと聞こえる紙の擦れる音。
カチカチとシャーペンをノックする音。
ガタガタと何かを消している音。
「……」
遠くから幽かに秒針の音が聞こえる。
外からはパトカーのサイレンの音が聞こえる。
こんな時間からお祭り騒ぎを起こしたのはどこの誰なんだ。
「……、」
ガタ―と。
一際大きな音がしたと思えば、教師が立ち上がった音だった。
もう座るのに飽きたのか、巡回を始めたらしい。
「……」
ちらりと時計を見ると、残りは十数分程。
しかしこの時間があまりにも長い。
そしてとてもとても眠たくて仕方ない。
「……」
どれだけ早く寝ても、どれだけ睡眠を伸ばしても。
どれだけ起きる努力をしても、どれだけ集中しても。
気付けばあくびと眠気が襲ってくる。
「……」
国語のテストは、個人的には楽でいいのだけど。
早々に終わってしまうところが厄介なのだ。
他の教科でも眠くなるので国語だけには限らないのだけど、集中が切れるのが早い。すぐ終わるから。やることもないし。見直しをしても余る時間は沢山ある。
「……」
ようやく終わりが見えてきたのに、待ってましたとでも言うように更に強い眠気に襲われる。ヒツジを数えているわけでもないのに。暖かいわけでもないのに。むしろ暑くて寝苦しい夜を思い出しさえする。騒がしい馬でも数えていれば起きられるだろうか。
「……」
何をしても眠くなる。
瞼が重くて、頭が下がっていくのを何とか耐えながら、一応形だけは解答用紙に向かっている。こうしていないと、何かを言ってくる教師が監督なので。
寝ていると確実にここにくるし、何かを言われる。
「……」
殆ど脊髄反射でどうにかこうにか凌いでいるだけだ。
もう少しでも気を抜けば頭が落ちるのが目に見える。
コツコツと近づく足音に集中していればなんとかなりそうではあるけれど。
もう、眠くて眠くてしょうがない。
「……、」
なんか、後ろで止まったんだけど?
寝ても居ないのに。何か気に障る事でもあったんだろうか。
机に向かっている以上、多少俯いているのは当たり前だし。
舟をこぐようなことがなければ大丈夫だとは思うのだけど。
この教師はなんというか、目敏いのですぐにばれる。
「……」
おかげで目は覚めたし、心臓はバクバク言っている。
まるで悪戯がばれた子供みたいな心境である。
調子に乗って取り返しのつかないことになったようなあの時の気分にもなる。
何も悪いことしてないのに。
何かしたのか。それとも不正を疑われているのか。時計を見ただけで?そんなのずっと教師をしていたら分かるだろう時計見てるだけって。消しゴムも裸で置いてある。机の上に置かれている紙なんてない。解答用紙と問題用紙だけだ。両手はちゃんと机の上にある。右手でシャーペンをもって、左手は紙の上に添えてある。それとも一瞬落ちそうになったのがばれたとか?私もあとから気付いたことなのに?あ、落ちそうだったって今気づいたのに?
「……、」
とあれこれ考えていたら、後ろの席から声が聞こえてきた。
ひそひそと周りに聞こえない程度の音量だが。
どうやら、後ろの席の人が寝ていたらしい。
「……」
勘弁してほしい。教師に目を付けられるのはほんとに嫌なんだ。
ましてや、今、推薦枠に身を置いている。正直そこにこだわっているわけでもないが、落ちたら落ちたで面倒なのだ。残り一か月もないこのタイミングで何かがあるのは困るのだ。
「……」
ならば、気合で起きていろという感じだが。
嘘でも眠気と戦うとかするなっていう感じだが。
眠いものは眠いし、国語のテストは暇になる。
「……」
しかしようやくこの時間も終わりを告げる。
時計を見ればもう数分というところだった。
終わったら、またあの子とコンビニに行く。
楽しみだなぁ。
お題:馬・脊髄・お祭り




