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異界物流を独占したら、王も神も頭を下げてきた件 ~戦わずに世界の補給線を握ってます~   作者: 金木犀の夢華


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4

白い空間に、異質な存在が現れた。


玉座も、軍勢も、威圧もない。

ただ一人の存在として立つ――魔王。


「……ここが、お前の領域か」


声は低いが、この世界を“押し潰す威圧”はない。


俺は頷いた。


「そうだ」

「世界と世界の“間”だ」


魔王は周囲を見渡す。


「何もないな。だが……何もないからこそ、力が通らぬわけか」


理解が、追いついたらしい。


「俺は、奪うことで世界を支配してきた。だがここでは、奪う対象そのものが存在しない」


「正解だ」


仁王立ちする魔王に俺は淡々と答える。


「物の流れは、奪うものじゃない。守ると決めた相手にしか、流れないし流さない。それが俺の信条だ」


魔王は、しばし沈黙した。


そして――

ゆっくりと拳を胸にあて、軽く頭をさげる。


配下もいない。

見栄を張る必要もない。虚勢をはる必要のない今、軍をまとめるただの1人の武人だ。


魔王としての判断は、屈辱なのかもしれない。だがこれはーー


「……敗北ではないな、これは」


「違う」


俺は即座に否定する。


「敗北じゃない」

「選択だ」


魔王は、僅かに口角を上げた。


「なるほど」

「だから神どもは、お前に従ったのか」


俺は、契約書を展開する。


光の文字が、空間に浮かび上がった。


「条件は三つ」


魔王は視線を逸らさない。


「一つ。物流への不正干渉は永久禁止」

「一つ。侵攻時の補給は、事前契約制」

「一つ――」


俺は、魔王を見据える。


「世界を滅ぼす侵攻には、物流を通さない」


魔王は、短く笑った。


「合理的だ」

「無差別破壊では、結局、奪うものが消える」


そして、はっきりと言った。


「――契約しよう」


その瞬間、

魔王領域への物流が、限定的に再開される。


武器は最小限。

糧食は軍規模に応じて制限。

魔力供給は、上限付き。


「力は残るが、無限ではない」


俺は告げる。


「それでいい」

「無限など、管理できん」


魔王は立ち上がった。


その背中は、

もはや“力だけの王”ではない。


「教えてくれ」


魔王は、初めて質問をした。


「なぜ、お前はこの座にいる?」


俺は、少しだけ考え――答える。


「世界が、物語だけで回ると思われるのが嫌だった」


神も、勇者も、魔王も、

皆“派手な役割”ばかりだ。


だが実際に世界を動かしているのは――

目立たない流れ。


「誰かが、そこを管理する必要があった」


魔王は、静かに頷いた。


「ならば我は、その方の行動を静観させてもらおう。契約成立した祝いに一杯どうだ?」


魔王はそう言うと、何処に隠し持っていたのか、酒とグラスを手にしていた。



「おいおい、ここは基本飲食禁止なんだけどな…。

まあ、今日だけはいいか」


俺は魔王からグラスを受けとり乾杯した。


これにより契約は、成立した。



白い空間に、配下の報告が届く。


「魔王領域、安定しました」

「他世界の神々から、問い合わせが急増しています」


俺は、息を吐く。


「だろうな」


神に続き、魔王。

この二つが揃った。


これで世界は、はっきり理解する。


――逆らってはいけない存在が、どこにいるのかを。


俺は、新たな注文通知を眺めながら呟いた。


「さて……次はどこが、契約を学ぶ番だ?」


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