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はーふ&はーふ  作者: 味噌猫


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花開く姉属性

「リーゼさん、怪我人は居ませんか?」


何言ってるの?この子、という感じの顔をされたが戻って来たと思ったらこの発言なのでそう思われても仕方がない。


「怪我人⋯どうして?」


「ちょっと魔法で試してみたいことができたんです」


「怪我って事は回復系?ヒールが使えるの?貴女聖職者じゃないわよね?」


(吸血鬼です)


「ヒール?とは別なのですけど怪我が治せるっぽい魔法があったので、でもどの程度まで有効なのかわからないんです」


「それで怪我人相手に試したいのね、うーん⋯ちょっと奥に来て」


カウンターに離席中の立て札をして別室へ招かれる。


促されて椅子に座るとリーゼさんも対面に座り、魔法で手を綺麗にして小物入れからナイフを取り出す。


そして流れるような動作でスっと指先を撫でた。


「ちょっ!」


「はいこれ、試してみて」


「こんな事しろって言ってないでしょう!?あぁ⋯血が」


傷と思われる線から少量の血が出ているのを見た瞬間、急に喉が渇く感覚を覚える。


「⋯⋯血が」


「ステラちゃん?」


周囲の音が遠くに聞こえ、赤い雫から目が離せない。


「⋯⋯はむ」


「ステラちゃん!?」


無意識に目の前にあった指を口に含んでいた、舐め取った血液が唾液とともに喉を通り体内へ取り込まれた瞬間。


背中から首と耳の周りをゾクゾクとした痛みのような快感のような何とも言えない感覚が走り抜けた。


(もっと⋯もっと欲しい⋯)


傷を舌でなぞる行為を繰り返すが、傷は浅かったようですぐに出血が止まる。


「⋯はぁ」


「あの!?擽ったいんだけどっ⋯試さなくていいの!?」


「⋯は!?」


リーゼさんの声で我に返る、指を解放すると ブラッドポイント獲得 と表示された。


(⋯ブラッド⋯ポイント?)


「あ⋯」


気になる情報が出てきたが今自分が行っていた事を自覚すると血の気が引く。


「あ⋯あの⋯リーゼさん⋯」


(初めて⋯血を吸ってしまった⋯)


恐る恐るリーゼさんを見ると顔が紅潮していて目を合わせてくれない。


「⋯りよ」


ぼそっと何かを言ったが聞き取れなかった。


「あの、リーゼさん?」


「⋯いわ⋯」


「⋯リーゼさん?あの、傷を⋯」


「何これなんの実験?私の理性を試すのかしら差し出した指を紅潮した顔で口に含んで傷口に舌を這わせながら蕩けた顔と潤んだ目になって夢中でしゃぶるなんてノーマルの私を試しているんでしょ?そうよね?そうだわそれに何よあの舌遣い試すんじゃなくて誘ってるわよね私は構わないわもう押す?押せばいけるのかしら」


「リーゼさん!?」


早口の小声で何かを詠唱していた。


「⋯は!?」


リーゼさんは正気に戻った。






気まずい雰囲気の中、自分の方から話を切り出す。


「あの⋯急にごめんなさい、傷から血が出てるのを見て驚いてしまって」


(変に思われただろうな⋯もしかして吸血鬼って事にも気付かれた可能性だって⋯)


「⋯ステラちゃん」


「は、はいっ」


「ダメだからね?」


「え?」


両肩を掴まれる。


「他の人には絶っっ対にしちゃダメだからね!?男になんて以ての外。間違いなく勘違いされるし付き纏われるかもしれないそんなの許せないし女だって油断できないわあの威力だし扉が開くかもしれない現に私は」


正気に戻ってなかった。





「ごめんなさい、取り乱したわ⋯」


「いえ⋯ボクのせいなので⋯」


両者落ち着いたので切り傷も治癒し、出された飲み物に口をつける。


「改めてごめんなさい、傷を舐めるなんて事をして⋯その⋯」


いざ自分のした行為を口に出すと恥ずかしさで目線が下がり顔が熱くなる。


「ふへっ⋯⋯」


(ふへ⋯?)


空気が抜けるような声に目線を上げると涼しい顔のリーゼさんと目が合う。


「⋯ん゛んっ⋯ちょっと驚いたけど大丈夫よ⋯私は大丈夫よ?」


(何で2回言ったんだろう⋯?)


少し様子がおかしく感じたが原因が自分なので何も言えない。


「こちらでは⋯もしかすると違うかもしれませんが、傷を負った時に舐めて応急処置するという知識があったので⋯でも何も言わずに舐めたのは⋯ごめんなさい」


(我ながら苦しい言い訳だ⋯)


再び頭を下げて言葉を待つ、少し経つと軽く息を吐く音がした。


「⋯もう気にしてないわ、急に指を切った私の方こそ悪かったの⋯ごめんね」


「いえそんな、怪我人を求めたのはボクですから⋯」


「この話は終わりにしましょ?お互い損をした訳じゃないんだからいつまでもこんな雰囲気なのは嫌でしょ?」


(指を切って怪我をした分は損じゃ⋯?)


「でもそれでは⋯」


「お詫びをしないと気が済まない?なら⋯そうね、そろそろその硬い喋り方をやめてほしいかな?」


「え?」


「ここへは良く通ってくれてるのにいつまでも他人行儀なんだもの、そろそろ慣れてくれても良いと思うんだけど?」


「いえ⋯まだ数日ですよ?」


「もう数日なのっ」


(最初から思ってたけど距離感が近い⋯)


リーゼさんは演技と分かるようなしなを作って


「お詫びしたいと思う気持ちがあるのならもうちょっと親しげに話してほしいなぁ」


「⋯ちょっと⋯急には難しいです」


「舐めあった仲じゃない」


「舐められてはいませんよ!?」


「照れ屋だなぁ、じゃあまずは呼び方を変えてみない?」


「呼び方を⋯ですか?」


「そう、今でこそ私はステラちゃんって呼んでるけど貴女はリーゼさんのままじゃない?そこから変えてみましょう?」


「はぁ⋯でも何て呼べば⋯」


「お姉ちゃん」


「⋯え?」


「お姉ちゃんがいいなぁ、私弟か妹が欲しかったんだよね。だから⋯お姉ちゃんって呼んでみて?」


「え⋯嫌です」


「そんな!?」


萎れるように身体を丸めたリーゼさんが嘘泣きを始める。


「もっと仲良くっ⋯したいだけなのにっ⋯1度でいいからお姉ちゃんって言われてみたかったのにっ」


よよよと付きそうな泣き真似を続けたまにこちらをチラ見してくるが諦める気配は無い。


「⋯⋯1度だけ⋯でいいなら」


「呼んでくれるの!?」


バネ仕掛けのようにガバっと起き上がりキラキラした目で見つめてくる。


「⋯呼びます」


「じゃあこっちで」


ソファの方へ移動を促される。





「あの⋯どうして対面じゃなくて隣に?」


「⋯?近くで聞かなかったら損でしょう?」


(損なの?)



リーゼさんがずいっと近くに寄ってくる、こちらが仰け反るとその分接近するので逃げ場が無くなる。


「さぁっどうぞ!」


「⋯⋯ぉ」


「⋯⋯」


目を合わせ全集中するリーゼさんの鼻息と自分の心音が耳につく。


恥ずかしさに負けてつい視線を逃がしてしまい観念する。


「⋯ぉ⋯⋯お姉⋯ちゃん」


顔から火が出そうになりながら言い切った直後、見えないリーゼさんの方から息を詰まらせたような高音が聞こえ視界が回る。


「可愛いぃぃ!私の妹!あぁあ我慢できない!」


一瞬で押し倒され頬擦りされたり吸われたりともみくちゃにされた。

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