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はーふ&はーふ  作者: 味噌猫


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火傷するぜ

翌日採取へ出かける前に女将さんに再度謝罪をする。


「思ったよりお転婆だったんだねえ」


と笑われた。


頭の中が魔法の実験でいっぱいなので黙々と採取を進める。


採取中に視線や人の気配を感じると、衛兵さんが街道の方に出ていてこちらを見ていたり珍しく冒険者さんが近くを通りかかる事もあった。





「今日採取をしていたら衛兵さんが街道の方まで出ていたり近くを冒険者さん達が通ったんですけど、何かあったんですか?」


査定をしているリーゼさんに聞いてみた。


「あー⋯何かあったって訳じゃないんだけど、ちょっと守衛やギルド関係者には近くで採取してる子を気にかけて欲しいとお願いしてあるわね」


「採取してる子?ボク以外に採取に出てる子供でも居るんですか?」


「⋯居ないわね」


(じゃあボクじゃないか)


「どうして急に?ボク魔法使えるし心配いりませんよ??」


「それを油断と言うのよ、あんな低⋯⋯あんなか弱そうな数値見せられたら心配にもなるわ」  


「今低いって言いかけませんでした?」


スイっと目を逸らされたのでカードを取り出し数値を表示させる。


「ほら、筋力と運勢は低いですけど敏捷と魔力はそこそこですよ?体力はまぁ⋯少し低めかもしれませんけどその辺の子供にも負けないと思うんですが」


「負けてるのよ」


「え?」


「⋯冒険者になる最低年齢の子供でも個人差はあるけど筋力なら20から30はあるし体力なら15から20の間くらいよ」


耳から入ってくる情報とカードの数値を比べてみる。


筋力・体力 共に完敗 


「⋯えっと⋯敏捷や魔力は⋯?」


「その2つは体型や素質に依るからね、貴女の数値なら十分高い方よ。運勢はわからない部分が多くて急に数値が変わったりするから気にしなくていいわ」


(負ける⋯?12歳くらいの子供にも⋯?)


「私も確認しなかったのが悪いんだけど女の子だとしてもある程度はあると思ってたの。その体力だとイノシシの体当たりでも良くて大怪我、下手すると命に関わるわ」


「えぇ⋯そんな⋯」


(脆くない?いや確かにイノシシの突進で人が亡くなるニュースとか記憶にあるけど、ボク吸血鬼だよ?)


「わかった?数値を知った以上心配するなって方が無理なの」


「⋯はい」






「リーゼさん、見守り隊ができたのは良いんですけどもしかして費用とか発生してません?」


「ミマモリタイ?何それ」


文字で書いて説明する。


「面白いわね、この名前にしようかしら」


「それで費用とかは⋯」


「特に無いわよ?守衛は持ち場から離れる訳じゃないし冒険者に強制もしてないしね」


「それなのにちゃんと見に来てくれるんですね」


「貴女人気者なのよ?品質の良い薬草を大量に集めてくれる存在は貴重なの、ポーションの供給量が増えて単価も下がるからね。」


「そうなんですか?」


「うん、この町はポーションを作れる錬金術師が引退しちゃって居ないの。だから隣の街の錬金ギルドから供給してもらうんだけど輸送とかの手間もあるし、ギルドが利益をギリギリまで削っても単価がね⋯」


「錬金⋯」


「だから品質の良い材料を錬金ギルドに売ってそのお金を資金に足してポーションを仕入れる。それをここで提供してるって仕組みなんだ。」


「なるほど⋯」


(錬金術のスキル⋯確か取ってあったような⋯)


「最近は遠出する人も増えてるしポーションの確保は大切な事なの、だから貴女に感謝してる人は結構いるのよ?」


「ボクはただお金を稼いでるだけなんですけどね⋯」


日々の労働が誰かの助けになっていて、それが感謝されていたとなると少しこそばゆい。


「後は単に可愛いからお近づきになりたいってのもいるかもね」


「近付き隊⋯」





薬草を引き取って貰い自由な時間になったので魔法の実験をすべく町の外へ繰り出す。


「上よし、周囲よーし、可燃物なーし」



指先に小さな魔力塊を形成する。


『火』


今までの苦労が嘘のように指先に火が灯る。


「⋯あっつ!?」


『みっ水!』


魔法抵抗のスキルを獲得し、指を火傷した。




痛む指先を水で冷やしながら後悔する。


(燃えれば熱い⋯確かに当たり前だよね。よく考えてから出すべきだった⋯自分も加害対象なのか⋯)


腕に炎を巻きつけてとか掌に特大火球なんて嘘っぱちだと知りがっかりする。


(目からビームとか逆に目が焼き尽くされそうだ、絶対やらないでおこう)


そんな事を考えるが指先が痛んで仕方がない。


(パッシブが有効ならそのうち治るんだろうけど今すぐ治したい⋯魔法で治せるか試してみようかな)


痛む指先を魔力塊で包み、回復に繋がりそうな単語を思い浮かべる。


『治す⋯治る⋯回復⋯⋯治癒⋯お』


治癒が当たりだったようで指先の痛みが引いていく。


「あー良かったぁ、魔法様々だなぁ⋯」


すっかり綺麗に戻った指を見ながらふと疑問が浮かぶ。


(どの程度まで治せるんだろう?ちょっと試して⋯でもわざわざ痛い思いしてまで怪我するのも嫌だし⋯もし治せる範囲を超えてたら怖い⋯うーん)


出した魔力塊を持て余しながらしばらく考えに耽っていた。






(怪我をするのが怖いなら怪我人を探せば良いのだ!)


そう思い立ち、町の中で病院のような施設を探すことにした。


見つけるのに苦労するかもと覚悟はしていたが道行く人に尋ねてみるとあっさりと見つかった。


建物は病院というよりも診療所と言った感じで、老年の医師に話を聞かせてもらうとこの施設は民間人相手がメインの風邪などの病気に対処する場所なようだ。


怪我を治すのはポーションや魔法が主体で重傷者がベッドを使う時に場所を提供する事はあるが軽い怪我人はまず来ないとのこと。


(残念に思ってはダメだ、怪我人が居ないのは良いことだよね⋯)


行く当てを無くした足はギルドの方へ向いていた。




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