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はーふ&はーふ  作者: 味噌猫


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レイドイベント(不参加)

神敵出現の知らせがあってからは討滅戦の準備を始めた冒険者が増えたせいか、ギルド内はいつもと比べて人の出入りが少なくなっていた。


活動する冒険者が少ないので治療所を訪れる人も減り、嵐の前の静けさ⋯という雰囲気になっていた。


それから日が経つにつれて他所から人と物が集まり始め、普段見ないパーティーや沢山の物資を積んだ荷馬車が行き来するようになった。


外部の人間が多く出入りするせいか、宿が取れなかった集団が町の外で野営を始めたり、土地ごとのルールの違いで衝突するなど治安も少し乱れはじめた。


1人での外出は当面禁止となり、宿を出てから宿へ帰るまでリーゼさんが送迎と言う名の監視に付く事となった。


「町の中にいる冒険者さんの数が減ったような気がするんですが、近いうちに始まるんでしょうか?」


リーゼさんに送られながら見る町は、人の通りはあるものの一般人や商人とその関係者らしき集団がほとんどで、武器を持った冒険者達はあまり見かけなくなっていた。


「そうね、明日か明後日か⋯拠点も移し終えたみたいだし戦闘が始まるのは近そうね。相手が程度の知能を持つかわからないけど、この町から離れるように誘導しながら戦うそうよ」


(冒険者と言えば⋯あの3人組や他の人達、元気にしてるかな⋯)


ふと、講習会のメンバー達が気になったので聞いてみる。


「今回招集の条件から外れていたり、登録したばかりの冒険者はどうしてるんでしょう」


「参戦できない階級にも仕事はあるわよ。拠点の設営に参加してたり⋯あとは町の治安維持活動とか、他にも物資運搬の護衛や手伝いに回ったりもするわ」


「へぇ⋯それぞれちゃんと役目はあるんですね」


(拠点の移設や輸送に回ってるのかな?皆無事だと良いけど)


通りから見える町の外には数日前まであった仮の拠点は既に無く、街道に沿って火の明かりが遠くまで点々と続いていた。







眠りに落ちていた意識が何かの音で引き上げられ、何かが破裂するような音が何度も聞こえる。


(⋯花火⋯?)


一定間隔で届く音に、寝ぼけていた思考が定まってくる。


「⋯始まった?」


外はまだ暗いままで、眠りについてからまだそんなに時間が経っていないのだろう。


しばらく耳を澄ますと、外から聞こえるのは馬車や荷車が通る音と注意してやっと聞こえる程度の会話。


その直後に遠くでまた何かが破裂したような音が微かに聞こえた。


(さっきの音と違う気がするけど⋯やっぱり何かあったみたいだ、かなり遠いはずなのにここまで音が届くような何かが⋯)


気にはなるが外出は厳禁とされている、そもそもこの時間に1人で出歩くのも別の意味で危険だろう。


何かあったとしてもいつも通り過ごすように言われている、このまま寝直して朝を迎えるのが正解なのだろう。


しかし気になりだしてしまうと眠気がどこかへ行ってしまう、気にしないように目を閉じて脱力するも耳が微かに音を拾ってしまい、再び寝入るのに苦労することとなった。






翌朝になり、少し寝不足気味の身体でギルドを訪れると入口前に荷馬車が数台停まっている。


(荷馬車がこんなに⋯地下に何か大きな荷物を搬入したのかな?)


不思議に思いながら中へ入ると、治療所の方へ人の列が伸びていた。


入った途端に視線の集中砲火を浴びる事となり、リーゼさんが手招きしていたので慌てて机に向かう。


いつもの場所に辿り着くと治療所の配置が変わっていて、何故か机や椅子が豪華になっていた。


頭が?で埋まりかけ、状況を何ひとつ把握できていないが大勢の負傷者がいるので治療を開始する。


「お、お待たせしました⋯今から治療を開始します。注意点や料金を確認しながら順番をお待ち下さい、では前の方からどうぞ」


「団子でお願いします」


「はいどうぞ、次の方」


「同じく団子?で頼む」


「とうぞ、このまま患部に当ててください。次の方ー」


重傷者は居なくほぼ全員が前に倣って治癒団子を使ってくれたので、大きな混乱もなく無事に波を乗り越えることができた。


「ひぃ⋯疲れました⋯」


「お疲れ様⋯朝から大変だったわね⋯」


珍しくリーゼさんまで疲れているように見える。


治療所開設初日のようなラッシュを乗り切り、飲み物を一口貰ってようやく一息をつく。


朝の集団は治療が済むと荷馬車に詰め込まれて、再び戦いへ戻っていった。


個々で治療に訪れるとなるとここまで距離があり、バラバラに来られると休憩も取れなくなるだろうと空いている荷馬車を利用して定期便を作ったらしい。


(定期便というより護送車⋯)


頭の中で強面の集団がドナドナされる光景が浮かんでくる、詰め込まれた荷馬車は想像の中なので鉄格子付きだった。


「定期便を作る程って、結構長期戦になりそうなんですか?」


「単独とは言え神託で告げられるほどの相手だからね、出現してその日に終わりって事はそうそう無いかな」


「結構な人数が負傷して離脱したって事ですよね?戦線維持とか大丈夫なんでしょうか?」


タンクが倒れて決壊するなんてゲームではよく見た光景だ、流れたボスが後衛をなぎ倒してフィールドで暴れまくる場面を想像する。


「それは大丈夫よ、前衛も複数の組に分かれていて負傷者が出れば交代するから」


聞くところによると前衛だけではなく中衛と後衛も複数にチーム分けされていて、他にもサポート専用の部隊があるなど想像していたよりも本格的に組織されていた。


前衛のダメージの一部を軽減・肩代わりするスキルを持った聖騎士が複数、前衛と聖騎士それぞれを回復するヒーラーも複数組。


後衛は距離を置いた場所でボスを受け持っている前衛とは別の方向からひたすらにデバフと火力を叩き込み、交代した前衛がヒーラーの魔力節約のため定期便でこちらで治療を受けて復帰していくというゾンビ戦法のような流れになっているらしい。


(交代制でガチガチの戦略に即死防止スキルまであるとか、ここまでくるとボスが気の毒になってくるんだけど⋯)


今になって町の人達が大騒ぎしない理由がわかってくる、時間はかかるが単独相手に研究された戦略で済むならハイハイ神敵神敵⋯となるわけだ。


「そう言えば⋯夜になっていた音って何だったんですか?」


「あの音?出現を知らせる音だったり敵に合わせてどの戦い方をするかを伝えるための合図ね」


敵が出た、誘導OK避難は不要、この作戦で行くぞという意味だったらしい。


(⋯めっちゃ楽しそうじゃん、いつかは参加したいな⋯)


その後も定期便でやってくる負傷者を迎え続け、数日に及ぶ前衛のゾンビ戦法を支え続けた。

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