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はーふ&はーふ  作者: 味噌猫


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17/25

講習会 1

ようやく迎えた講習会当日。


早めに起きて準備しておいた服に着替え、支度を済ませギルドを訪れる。


午前に行われる座学の会場はギルド2階にある会議室のようで、そこを目指して階段を上る。


初めて立ち入る2階部分に少しわくわくしながら通路を進むと、以前話に出た資料室や保管室という部屋も存在していた。


(会議室は突き当たり⋯結構広いな、1階部分とほぼ同じだから当たり前か)


目に入ってきたさらに上の階へ続く階段を横目に奥へ進むと、今回の会場となる会議室が見えてきた。


会議室へ入るとまだ人は来ていないようで、机の上に今回の座学で使われるであろう書類が並べられていた。


(3⋯6⋯11か、思ったより少な目だな⋯)


今回の受講者は自分を含めて11名のようだ。


当たり前だがプロジェクターのような物は無く、学校の教室のような黒板も無い⋯全て机の上の書類を見ながら進行されるのだろう。


(元の世界の要素は⋯無いか⋯)


室内をぐるりと見回すも変わった所は発見できず、そうしていると人の歩く音が近付いてきた。


「お、早いな。」


職員の服装で背が高い茶髪の男性が書類を手に入ってきた。


「おはようございます、今日は宜しくお願いします」


「あぁ、担当のマーグだ。席は決まっていないから好きな場所に座るといい」


そう言われたので配置を見て、後ろの列の端の席に決めた。


(ここなら左に1人だけで済むね、出来れば同性のほうが気楽だなぁ)


「すみませんマーグさん、今日参加する方に女性は居ますか?」


「ん?⋯あぁ、そうか⋯⋯残念ながら居ないようだ」


名簿らしき紙に目を通したマーグさんが答える。


(うぁ⋯マジか⋯この席にして良かった)


顔に出ていたのかマーグさんが苦笑する。


「心細く思うかもしれんがそうそう問題を起こす馬鹿はいない。ここで仲間を見つけようとする者もいるが目に余るようなら注意はするから安全してくれ」


少し質問をすると今回の受講者は普段よりも少な目で、いつもなら数名女性も居るが今回は偶々居なかったようだ。


マーグさんは時間まで一服してくると言い残し会議室を出ていった、その直後に年若い冒険者やその候補が数名入室してくる。


(うえぇ⋯何か居心地悪いぞ⋯)


入室の一瞬で判断する限り当然だが見知った顔はなく、急に人が増えてその全てが初対面となると窮屈になる。


目線を書類に固定して話しかけないでオーラを放ち、座学の開始を待つ事にした。


「⋯隣、いいかな?」


(⋯は?嘘でしょ?他の席全然空いてるのに何でピンポイントでここに来るんだ⋯)


オーラに効果は無かったようで、机の上に鞄が置かれ椅子を引きながら声をかけられた。


(先に荷物を置かれたら断われないじゃん⋯)


「ど⋯どうぞ」


引き攣ってないか心配になるができる限り笑顔で答える。


視界に入ってきたのは言葉にするなら容姿端麗、言い換えれば超イケメンで⋯金髪翠眼などう見ても主人公格としか思えない青年。


(うん⋯絶対モブじゃない、関わってはいけない気がする⋯。頼むからこんなところから始まるなよ、物語)


承諾した後は再び書類に目を通す振りをし、ひたすら時間が過ぎるのを待っていた。





「では⋯これから座学となるがこれを頭に入れておく事で応用力と生存率に違いが出てくる、寝ても構わんがそれによる損失は自己責任でな」


受講者全員が揃い時間となったので座学が開始された。


初心者向けということでまずは基本的な事からはじめその応用例などを通して教えられていく。


(これ、リーゼさんと話してる時に教わったやつだ)


僅かではあるが知っている事もいくつか含まれていて、ちょっと予習をしてきた気分になる。


今回の座学で特に記憶に残ったのは神の加護というもので、簡単に言えばHPであるがゼロになったその時点で死ぬわけではないらしい。


ゲーム的に言えばダメージを極力減衰してくれるシールドで強度は体力と魔力に依存。


HPが減っていくと減衰する力が薄れて身体へ直接伝わるダメージが大きくなっていくようだ。


加護が無くなれば身体を保護する効果も無くなり、その時点で身体へのダメージも深刻なので大抵行動不能になる。


(途中までは即死しないなら便利かもと思ってしまったけど、結局ゼロから死に繋がる事に変わりはないか⋯)


そういった世界の仕組みを少しずつ知りながら、午前の座学は終了した。





(まさか詰め込みで途中の休憩無しとは⋯ちょっと疲れたしお昼にしよう)


途中休憩が無かった反面、お昼の休みは長めとなるようで食事を確保するために席を立つ。


「これからお昼かい?良かったら一緒にどうかな?」


(げ⋯イケメン)


席を立つと隣から声がかかり、一瞬顔に出そうになったが何とか耐えた。


「えっと⋯ごめんなさい、ちょっと他に用事もあるので⋯」


無難に断りを入れると、青年は特に気にした様子もなく


「そっか、残念だけどそれなら仕方ないね。」


とすぐに引き下がってくれた。


(嘘ついてごめん、こういうイベントはヒロインとどうぞ)


1階へ向かおうと会議室を出て歩き始めると後ろから人が歩いてくる音がする。


追い抜いてもらおうと端に寄り速度を緩め待っていると追い抜いた人が2人、前と斜めへの進路を塞ぐように寄せてきた。


「ねぇ、これからお昼でしょ?一緒に食べに行こうよ」


「俺らこの辺の事、まだ詳しくないからさ。良かったら案内してくれないかな?」


(何だこの2人⋯妙に馴れ馴れしいな⋯初対面の相手にかける言葉じゃないだろ⋯)


「ごめんなさい、これから用事もあるのでご一緒できません」


少し下がって進路を変えようとすると2人はそれに合わせて動いてくる。


「用事?じゃあ待つからさ、用事の後ならいいでしょ?」


「初対面だから緊張してる?別に怖がらなくていいからさ」


(くぅ⋯邪魔だぁぁ⋯)


押し通ろうにも体格差があるので無理だろう、進んでは止まりを繰り返しながらどう切り抜けるか悩んでいると


「君達、その子は急ぎの用事があるようだから通してあげてくれないか?」


声に振り向くと先程の青年がすぐ後ろに立っていた。


「ん?いや、だからその用事が済むまで待つって」


「そうそう、なんなら一緒に行くか?」


一緒に行く事が決まったかのようにへらへらとする2人組に少しイラっとしながら青年の方へ視線を送る。


すると青年は2人組との間に入り


「君達は気にしないかもしれないけど初対面の人が苦手な人だっている、実はさっき僕も振られてしまってね。お昼なら良ければこの3人で食べに行かないかい?町に来たばかりだけどおすすめの店を1つ見つけたんだ」


そう言いながら2人からこちらへ視線を返す。


行っていいよの意味だと解釈し、頭を下げて逃げるように階段へ向かった。


用事があると言った以上、外で会うのも残ってギルドの中で見つかるのも困るので降りてすぐにハンナさんに話しかけて職員の休憩室をお借りすることにした。


(悪い事したかな⋯でもいきなりあの距離感はなぁ⋯ほんといきなり近すぎるんだよ⋯)


逃げ込んだはいいものの食べ物を持参しておらず、休憩に来たハンナさん達から貰った焼き菓子がご飯となった。

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