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はーふ&はーふ  作者: 味噌猫


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12/25

理解

「これで処置は終わりです、怪我に気を付けてあまり無茶はしないでくださいね」


治療所が正式に開設される事になり料金と給与の相談が行われた。


「お支払いは隣でお願いします、次の方どうぞ」


料金は怪我の程度にもよるが冒険者の負担を減らすため一般的な金額よりもかなり低めに設定され、給与はお昼からの待機手当だけで宿代が賄える金額になった。


「では患部を⋯あれ?昨日も来ませんでした?」


薬草の納品が減る事が気になったが、冒険者が怪我で休養する日が減れば結果消化される依頼が増えて手数料で埋め合わせできるらしい。


「お腹が痛い?⋯ごめんなさい、それはちょっと対応できないので診療所へお願いします」


軽度の怪我なら誰でも格安で治療を受けられると話が広まり、ギルドの治療所は予想よりも忙しかった。







「はあぁ⋯終わったぁ」


「お疲れ様、とりあえず落ち着いたわね」


机に突っ伏して溶けていると、終了の看板に切り替えたリーゼさんが戻って来た。


「まさか一般の方まで来るとは思っていませんでしたよ⋯」


怪我をするのは冒険者だけではなく、普通の生活を送る人々にも怪我人は発生する。


さらに開設より前から怪我を負っていた人も居たため治療を求める人々が殺到し初日は大混雑となった。


「でもあれだけの数の人が治したくても我慢してたって事なんですよね」


「そうね、でも本来はそれが普通なのよ」


治療所が開かれていなければ傷口を洗い清潔な布を当てて包帯を巻き、後は自然に治るのを痛みに耐えながら待つのだろう。


その痛みから解放する事が出来たと思えばあの忙しさと疲れも報われる。


「ポーションがもう少し入手しやすくなればなぁ⋯」


「そうなれば良いのだけど、実際は無理でしょうね」


「例えば軽い切り傷ならポーション1滴だけ使うとかできないんですか?あと薄めて使うとか」


「1滴を取り出す為に蓋を開ければ短時間でもその分劣化が進むのよ、薄めて使うのも同じ理由でできないわ」


「うわぁ⋯鮮度命なんですね⋯無理かぁ⋯」


炭酸水から炭酸が抜けていくのをイメージする。


「うーん⋯蓋を開けても劣化しないポーションとかできないんでしょうか?」


「出来たら叙勲ものでしょうね、色々と相場や常識が変わるわ」


「血液と反応すると回復効果を持つ薬を作るとか?」


「⋯それは面白い見方ね」


リーゼさんが思案顔になる。


「そもそもポーションって薬草以外に何からできてるんでしょうね?」


「そこまではわからないけど⋯錬金術の本になら載ってるんじゃない?」


「その本読んでみたいな⋯」


「わかったところで錬金術のスキルが無いと意味がないわよ?」


(ある⋯はずなんだけど確証が持てないんだよなぁ⋯読む機会さえあれば何か反応があるかもしれない)


「そう言えば⋯少し前に錬金をやっていた方が引退したって話をした事ありましたよね?」


「ん?⋯どうだったかしら⋯?」


「えーと⋯、多分見守り隊の時?」


「あー、確かに話したかも?」


「その方が使っていた道具やレシピとかは引退後どうしたんでしょう?」


「家族と一緒に暮らすために別の街へ引っ越したらしいからその時に処分したんじゃない?」


「残ってないかぁ⋯」


(弟子入りイベントとか引退するからあんたにやるよ!ってのは無いのね⋯)


「なぁに?今度は錬金術に興味あるの?」


「あるにはあるんですけど、大きな釜とか用意するとなると高いですよね?」


「そうねえ、輸送費も入るし金貨が沢山必要でしょうね」


「き⋯金貨が沢山⋯」


宿代を先払いしたので今の手持ちは銀貨数枚程度。


ちなみに金貨は銀貨20枚、1枚で今の宿に20日泊まれる額だ。


「試すにはちょっと高すぎますね⋯うーん⋯」


「そんなに試したいの?加工の真似事はできてもスキルがないと素材が混ざっただけの廃棄物になるだけよ?」


「その⋯実は錬金術のスキルがある⋯かもなんです」


「⋯え?あるの?」


「かも?」


「⋯?」


「えと⋯スキルがあるかもしれないんですけどなんて言えばいいのか⋯、んー⋯あ、名前の時と同じでその⋯」


「⋯そろそろ事情を話してくれても良いんじゃ?」


「⋯その、突拍子もない話になるんですけど⋯」


多分大丈夫だろうと判断し、リーゼさんに自分は違う世界から来たことを説明する。


どのような世界だったのか、そして自分は本来男であったかもしれないと事細かく話していく。


リーゼさんは始めは真剣な表情で聞いていたが次第に優しい顔つきになりそのまま最後まで口を挟まず聞き続けてくれた。





「という訳なんです⋯」


「⋯そうだったのね、ずっと1人で抱え込んでたのね⋯」


「黙っていてごめんなさい。あの⋯リーゼさん⋯ボクの事変だと思わないんですか⋯?」


「思わないわよ、良くある事だもの」


優しい顔で抱擁され頭を撫でられる。


(⋯⋯ん?)


「⋯よく⋯あるんですか?」


「そうね、全員じゃないけど決して珍しくはないわよ」


(あれ⋯話が⋯?)


ふわりと包むようだった抱擁がきゅっと締められる。


「お姉ちゃん嬉しいわ、大切に練ってきて秘密にしていた設定まで教えてくれるなんて⋯大丈夫よ?笑ったりしないからもっと教えて?」


(設定!?)


「いや!あの!そういうのじゃなくて本当に違う世界から⋯!」


「うんうん、そうだね⋯違う世界から来た存在?だもんね?大丈夫よ、お姉ちゃんそういうのに理解あるから」


(こ、これはっ⋯オタ文化に理解のある家族目線!?)


「あの時は恥ずかしくて言えなかったのにやっと教えてくれたのね、なかなか外に出れない病弱な子が冒険や大英雄に憧れるような⋯。あぁ⋯何ていじらしい願いなの!」


「ギ⋯ギブ⋯ギ⋯ブ⋯」


抱擁する力が強まり、しばらく撫で回された。

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