006.魔法適性測定(1)
起きたら美羽はまだ寝ている。
話相手もいない柚希は地面に置いてあった本の山から、一冊の本を取って開く。
それは魔法に関する書類だった。読もうと思ったけれど、外国語で書いた文章なので、まったく読めない。
他に面白い小説でもあるのかと探していたら、『魔物大全』という日本語の本が一冊見つかった。
魍魎の魔物も気になる柚希は、おあつらえ向きと思って、その本を読むことにした。
■魍魎について――
山奥の水辺の瘴気から生まれる精霊。普通は黄昏と夜の時間帯に生まれてくる。群棲。人を襲う。
瑠楠の魔物は普通は繁殖できない、瘴気から生まれるものが多い。
……
魍魎は水と山の精霊と言われたが、水でも山でもないところでも生まれる。
一番普遍性のある魔物だが、衰退の徴候とも言われて、遭遇したら逃げた方がいいと思う。
西洋の魔物であるゴブリンと同じ外見で、習性も似ている。
……
村の中に魍魎が生まれたら、その村は廃墟化の一途をたどるのだろう。
魍魎は倒してもどんどん湧いてくるから、もし、瘴気の濃度がLV2に達した場合、村を出て他の居住地を探すしかない。
魍魎が生まれるのは前兆で、時間が経つにつれ、もっと強力な魔物が生まれてくるだろう……
■瘴気から魔物が生まれる現象について――
普通は夜や黄昏の時に起こる現象。
夜は危険だからあまり調査していないが、魔物の生成過程は、泥濘状態→土偶状態→生命状態という階段を進めていき、最終は魔物の形になるということだそうだ。
柚希は驚いた表情をして、本を閉じる。
楽指村が廃村になり、村人が麓で新しい村を作った原因は……
瘴気のせい、なのか?
廃村になったから魍魎が入ったのではなく、魍魎が生まれたから廃村になった。
美羽にも聞きたいのだが、こいつはまだ寝ている。
そう思って柚希はベッドの方へ目を向ける。彼女はもう起きた。
寝坊でもないし、彼女はすっと立ち上がり、「ぱんっ」と、頭がベッドの上の柱にぶつかった。
「痛いっ!!!」
そう叫ぶ。
柚希は、彼女の方へ寄っていく。
「気を付けろよまったく」
柚希は痛々しげに彼女の頭のこぶを見て、なでなでする。
ドジをした彼女は少し恥ずかしそうに頬を赤らめた。
「何を読んでいるのです……?」
しばらくすると、彼女は言った。
「魔物についての本を読んでいたんだ。でも、もっと知りたいからさ、少し、魔物のことも教えてくれないか?」
「本を読んだのなら分かった通りよ。私もそれくらいしか知りません。お風呂に入るから、適当に読んでいいのですわ」
美羽はそれ以上詳しいことは知らないと言って、浴室に入る。
「それにしても、その用事って一体なんなんだ? 結構遅いから今日は起きないと思ったよ」
「別に何もありません」
そう言って、彼女は服を脱ぎ、魔法を使って大量の水を出して、湯船に入る。
柚希が目の前にいるにも関わらず、入浴する。
「そう~?」
「異世界の時間の流れは元の世界より1.8倍くらい長いの。その原因で時間が長く感じたのかもしれないのですわ。あちらの一日24時間は、こちらではほぼ二日になっているのです」
彼女は解釈する。
なるほど、時間の概念が違うのか。それなら筋が通る。
「なんか寝すぎて餓死してしまうかもしれないな…。ふむ、注意しておこう」
「そんなわけがないでしょう。この世界の人が寝ている時、少しくらいの栄養補充として身体がマナを吸収しているのです。寝すぎて餓死なんてそんな烏滸がましいことは起こらないから安心して寝ていいのですわ」
それにしても身体も洗わないで直接にお風呂に入るのか? あれを省略してはやはりよくないと思うが。
「ぼくもお風呂に入るから、何が着替えの男の服とかあるのか?」
「そんなのあるわけないのです!」
彼女は言う。
そう言われると、もうどうしようもなくなる。
確かに女の子の部屋に男の子の服があるはずがない。
「……」
「ちょっと、淑女の裸身をじろじろ見ないでくださいのです! いつまでここにいるつもり? お風呂に入っているから、出ていなさいのです! もう!! このスケベ!!!」
いや、子供の身体に興味がねえっつーか……、スケベとか、そういう単語を並べ立てても、柚希は特に何も思わなかった。
まったく色気のないシチュエーションなのである。
それもなかなか唐突で、言いにくい光景だ。
柚希は幼馴染と一緒にお風呂に入ることがあって、今の年齢では、それは気まずくなるから幼馴染に裸を見せたくなくなったし、彼女が強引に一緒にお風呂に入らせることもあって、そういう場合は彼女の裸を積極的に見ないようにするのだが、こいつでは、なぜだろうかそういう感情はなかった。
まあ、子供だからちょっとあり得ないと言えば確かにそうだろう。
いや、きっとその聖なる光のせいじゃないと思う。
「何期待しているのです? 私は魔法使いよ」
彼女は平然と言った。
「光魔法も使えるのか! すごいなあ、その聖なる光、完璧に身体の重要部位を遮っているじゃないか」
そう、魔法使いの彼女は光の魔法も使えるのだ。
不自然な光束が、身体の18禁部位を全部遮っていて、柚希の角度では何も見えない。
少女の貞操を守っているその光の裏は、つまり、神聖なる不可侵領域だ。
何という神々しい一筋だろう。
ちなみに汚らわしいロリコンたちには溶けちゃうから、その光は邪なる者には触れてはいけないことになっている。
ていうか光線が強すぎて、目がちょっと痛い。
柚希は手を前に伸ばして、彼女の胸の前のその光に突っ込む。
ふむ、ちょっと暖かい。
「ぎゃあああ~~、何するのです?? 止めなさいのです!!」
「いや、あれは何なのか、ちょっと研究したいなあ……なんちゃって」
からかうつもりで柚希は言った。
「私の術式を破壊するつもり?! こ、この変態ロリコン!!」
「これくらいで変態呼ばわりするなよ同い年!」
「こんなことをするまで私の身体を見たい人は、ロリコン以外の何者でもないのです!!」
「子供のくせに馬鹿言うな! ぼくは年上のお姉さんが大好きなんだ。お前なんかぼくのタイプじゃねえ!! ぼくに好かれたければまずその胸のボリューム感を出せ!!」
そうは言ったものの、思春期もまだ踏み入れていない柚希はただの屈託のない少年で、年上が大好きというのも嘘だ。
「なんだと??! 仮にも私は貴方の命の恩人なのですわ。命の恩人になんの口の利き方!! 鶴の恩返しの物語は知らないのですか貴方は? 本来なら貴方は恩返しのために私と結婚する立場なのです! そして私は『小っちゃい男に興味ありません、てへっ』とか言って、貴方を泣かせるのです! そういう落ちなのです!! 立場が逆になっているのですぅ~~……」
「鶴の恩返しはぜんぜんそういう結末じゃねえんだよ!!」
「がう!!」
「い…痛ってええええ、わああああ~~~」
噛まれた。
すごい勢いで美羽は柚希に噛みつく。
「うぐぐ……」
「手が、手があああ~~!! やめろおおおおお~~!! 狂犬病に感染されちゃううううう!!」
「感染ひへやふほへふ(感染してやるのです)!!」
もう何を言っているのか分からない。
柚希は手を強く引っこ抜くと、美羽は放してあげた。
自分は狂犬であることは否定しないみたい。
「ち、畜生。この世界には狂犬病のワクチンはないぞ。感染されたらどうすんの……」
涙目になった柚希。
それこそがざまを見ろだ。
ちょっとからかうだけで怒ってしまった。まさかそんなすぐに怒るとは……
「日本には狂犬病がほぼ絶滅したのです」
「ここは日本じゃないし、異世界だし!」
柚希はふーふーして、噛まれた赤いところを吹く。
魔法使いの攻撃手段は剣術と“噛むこと”だそうだ。なんてことだ!
揶揄の意味も含めて褒め称えてやろうか?
最高だぜ! この魔法使い!
「そんなに暇なら、私の服でも洗って行きなさいのです! 今夜からここに住むのだから、これからは私の面倒もちゃんと見るのです」
彼女はスッとお風呂から立ち上がり、自分の服を柚希に投げつける。
下着まで柚希に任せるつもりだ。
柚希はため息をつくと、ばら撒いた服を地面から拾あげる。
「まあ、いいんだけど、でもぼくも水浴びがしたいんだ。効率面を考えて、二人の分をまとめて洗う方がいいかもしれないよ」
「ここは私の服しかありません。女の子の服が構わなければあげますわ……」
「いや、お前の服は、男でも女の子でも着れるじゃないか。Tシャツと短パンって、ぼくでも着れると思うよ。むしろお前が構わないのならという話だが」
「別にいいわ。服くらいどうってことないのです」
言って美羽は爽やかに笑った。
その時、彼女は何を考えているのか、その腹積もりも何も、柚希はまだ分からなかった。
分からないから、まだ笑える。
「分かったよ。でもあまり湯船に浸りすぎるなよ」
「心配ございませんのですわ。今は夏です。冷水でもへっちゃらなのです」
「いや、水の心配じゃなくて……、えっと、冷…冷水?」
「そうなのです」
柚希は湯船の水に指先を浸す。
彼女の言う通り冷水だった。
なぜか彼女が憮然とした表情で柚希を見ている。
柚希はため息をする。
「ほら、風邪ひいちゃうだろう?!」
「あら、私の心配をしてくれるのです? 残念です。私は風邪をひかない体質なのです」
「馬鹿は風邪を引かないから馬鹿に付ける風邪薬はないということわざまで生み出したんだよ!! まったく、明日から、ぼくはちゃんと、しっかり、お前の面倒を見るから、そのつもりでいろよ!!」
◯
風呂上りの美羽が浴室から出て柚希が入る。
およそ五分後……
「ぱっーー!!!」と、すごい勢いで浴室のドアが開けた。
そこには、黒く沈んだ表情をしている柚希が立っている。
浴室は美羽の部屋に直結しているので、美羽はすぐに目の前にいる。
「着替えが速いのです」
美羽は本から顔をあげた。
彼女は魔法に関する書類を机の上に並んで研究するように読んでいる。
書斎としての一角は、魔法の資料と実験道具がいっぱい積み込んでいる。
魔法使いの彼女は、そういう魔法研究用の書斎があるのも頷ける。
しかし書斎とはいえ、それは的確な一室ではなく、美羽の部屋の中の一部を利用して、本棚と机を置いていて、書斎の意味を持たせただけの偽物で、そこは、寝室とも言えるし、玄関とも言える。ダイニングルームとも言えるし、リビングルームとも言えるのだ。
差し出がましいようだが、インテリアはまるでなっていない。
リフォームするならどれくらいお金がかかるのかね。
異空間をリフォームする。それもなかなかシュールなことだ。
異空間のことをつべこべ言うと、誰に文句を言っているのか分からないものだ。
でも今回は内装問題ならず服装問題だ。
「なななななんじゃこれは?!?!」
ドアのところに立ている柚希は大声を出して詰問する。
それはもう、泣きそうな声だった。
柚希を見る美羽は、なぜか冷静さを失い、ソファーから立ち上がる。
「うん、これこそが、我が理想、なのです!!」
美羽はやや息が荒い。
はあはあしているくらいだ。
目の中には、酩酊の色が確実に露に出ている。
やばいぞ、こいつ!
「何が理想よ!! これは、これは、メイド服じゃないか?!!」
目の前の柚希は、メイド服を着ている。
靴下は黒色のソックスで、靴はストラップシューズ。ちなみに下着は彼女の趣味に合わせた白色のカボチャパンツだ!
どんな服だったのか事前にチェックしていなかった。着ていたらメイド服だった。
「いいじゃない! 可愛いは正義なのです。柚希は男だからちょっと残念なところもあるけれど、それくらい大丈夫なのです。ほら、はやく、ご主人様と呼んでくださいのです!」
「い~や~だ~! 他の服を、ていうか正常な服をくれ!」
「むむ、なんで呼ばないのです! ご主人様を呼んで、早く、早く……」
メイド服を着ている柚希にエキサイトする美羽は、柚希の声が聞こえなかった。
「そんな恥ずかしい言葉は使えねえよ」
柚希は強く拒絶した。
男としての尊厳があるのだ。勝手にそうさせるものか!
「どうしてこうも聞きわけが悪いのです? 話を聞かない下僕は要らないのですわ!」
「どうしてぼくが下僕になっているんだよ!」
「オトコノコにメイド服を着させるとは、私も罪深い女になったのですわ」
鼻血を出した美羽は血を拭きながら言った。
そんなところで鼻血を出すな。
でも無理もない。柚希のメイド服姿は、どの女の子よりもかわいい。そりゃもう女の子に鼻血を出させるほどだ。
「ぼく、元の服を着るからね。男用の服がないなら仕方がない」
柚希は再び浴室に入るように、踵を返す。
「いいの? 私のことを聞かないで」
美羽は微笑みながら言った。
なんだ? その図々しい小娘の様相?
「何よ?」
恨めしげではあるが、躊躇いがちのその視線を柚希は美羽に向ける。
クリティカルヒットだ!!
やばい、そのような眼差しで見つめられたら、ひとたまりもなくなっちゃう。
鼻血がまだ出たので、美羽は拭く。
「その可愛さで私を殺すつもりか? 何という卑劣な手段を使うやつですの!」
「お前のせいだろうが!」
ともあれ今柚希は美羽の領域にいる。
領域という言い方では、ちょっと変な感じではあるが、概ね間違っていない。
こうして生きているのも、魔法使いの美羽に守られているおかげだ。
美羽の暮らしているこの空間から外に出たら、あるいは追い出されたら、自分は生きていけなくなる。
まあ、残酷な言い方は好きではない。ならば言い換えよう。つまり、生きることに精いっぱいになってしまうのだ。
そのようなことにならないように、彼女の指図は、そんなにひどくなければ、ある意味では従わなければいけない、ということになっている。
十一歳の少女が自分の命の恩人になったわけだし、彼女に遊ばれているその未来も、予定通りに来るのだろう。
こうして彼女の手のひらの上で踊らされているわけだ。
いや、いじめられているほどのことではなく、ただ遊ばれているだけだ。
それくらいならどうってことはない。
むしろ、ちょっと楽しいかもしれない。所詮子供の戯れだ。
「ふむ。でも貴方は、魔法が習いたいでしょう」
魔法? 何の話だ?
えっと、ええ?! 魔法を教えてくれるのか?
「そ、そりゃあ、まあ、別に……、そんなことはあるでもないでもないが?」
反抗期の子供みたいに、柚希のそう言った。
「そうですか。残念ですわ。教えてあげたかったのにね」
彼女はあっさりと、翻すことの許されない態度で言った。
「ちょ……、諦めるな! 根性を見せろ! 粘り強く説得すれば、ぼくが思い直すかもしれないじゃないか!!」
何を言っているのか、もはや柚希自分自身ですら分かっていないようだ。
「何を言っているのです? まったく天邪鬼なのです。ひねくれ者は好きじゃありませんよ」
「前言撤回してください。お願いしますから」
土下座する。
「面倒くさい人ね! じゃあ、柚希、魔法を教えますから、いい?」
「いいよ」
即答する。
「……」
「なんだよ、ぼくをじっと見て」
「いいえ、拒絶しづらくなっていて、どう断るのか考えていますのです」
「どうかされましたか。ご主人様、顔が真っ赤ですよ」
柚希は全力で媚を売る。
「ご、ご主人様……、があああ~、貴族令嬢になった気~分~…………」
「魔法を教えてください~、ご主人様~」
柚希の瞳の中には、魔法の二文字が見える。
羞恥心より、魔法を勉強したい心が勝っている。
それ以外のことはもう考えていない。
「ぬぬ……、それは柚希には難しいかもしれません。魔法は知力と才能に厳しいのですよ」
「知力? 美羽はそんなに知力があるのか? そうには見えないが……」
「なんだと?! 私を馬鹿にするつもり?」
「い、いや、ご、ご主人様はすごいですね。才色兼備というか、ぼくなど足元にも及びませんよ」
「当たり前です!」
愉悦に笑う美羽。
その様子はまったくもってちょろすぎるカモの女の様相そのものではないかと考えて、柚希は少し残念そうな表情をする。
「ぼくは頑張るから、魔法を教えてくれ、美羽」
「だから知力と才能が……」
「そんなものは知らん! ぼくなら根性で行ける!」
「根性で行けるものではありません」
「臥薪嘗胆で行く!」
「臥薪嘗胆してもいけません! 大体臥薪嘗胆はそういう意味じゃありません!」
「そうなのか?」
「まったく、私の決めることじゃありませんわよ。才能のありなしも測定の必要があるのです。才能があると言ったらあるものではないのです」
「馬鹿な! あると言ったらあるじゃない、だと!!」
「そんなに驚くか……」
「だって、魔法は格好いいし」
投げやりな態度で柚希は言う。
アニメや漫画の中によく出てくる異能、男なら誰しも使いたいと思っているその能力、それが、目の前の少女に頼めば、使えるかもしれないのだ。頼まないわけがない。
「ふむ、貴方に観念するには、なるほど、測定に頼るしかありませんわね」
「測定?」
「適性測定の魔道具で才能を測定するのです。測定すれば、貴方も諦めますから」
「いや、諦めないよ」
なんでも根性で行くという粘り強さは、確かに柚希にはある。
しかし、時々現実を見る必要があると美羽は教えてあげた。
「諦めるのです。この世界の異能は魔法だけじゃありません。測定値が学習に適した数値まで達していない場合、他の異能を選んでくださいのです。時間の無駄使いになっちゃうのです」
「そ、そんなに魔法のことがお勧めしないのか」
「当たり前です。才能はともかく、魔法理論は、この世界の全異能の理論の中に、最も難しいと言われたのですわ。私もそれで一苦労してしまって、結局今もまだ毛の生える程度でしか魔法が使えないのです。研鑽に時間を空費していて、むしろ剣術の方が、すぐに上達になっているのですわ」
「へえ……それは大変だね」
「なんだその対岸の火事みたいな感想」
美羽は柚希に一瞥した後、一ため息を入れる。
「何を言っている。お前はそんなことで悩んでいるのか? 大体お前はまだ十一歳だろう! マセた小娘ってもんだな、ったく」
「柚希こそマセた小僧です。何も知らないのです」
喧嘩腰で美羽は言った。
柚希では彼女と喧嘩したくない。
「で、その適性測定の魔道具何とやらはどこにあるんだ?」
「異能関連の組合や国家管理機関、冒険者ギルドなどの組織にあるのです。そんなに頻繁に使うものでもないから一般人は持っていませんのです」
「冒険者ギルド?」
「ええ、そこへ行くのです」
小気味のいい口調で言って、彼女は不敵な表情を浮かべるのだった。
誤字脱字や誤用などがあれば、ぜひ教えてください。
良かったら高評価お願いします。