研磨職人
翌朝、アメリスたちはクオリタスの街を探索し始めた。まだ早朝だが、職人たちはすでに各自の作業場で仕事に取りかかっている。鉱石の切削音や研磨機が動く音が響き、街全体が活気に満ちていた。
ラピスがふと足を止め、興味深そうにある店を見つめた。「ここ、見てみないか? ‘研磨職人’がいるみたいだ。」
アメリスも興味をそそられ、仲間たちと共にその店へと足を踏み入れた。
工房の中には、加工途中の鉱物や研磨用の道具が所狭しと並んでいる。作業台の上には、様々な鉱石が磨かれるのを待っているかのように置かれ、棚には見事な石細工が置かれていた。
奥から職人が現れ、アメリスたちを迎え入れると、彼はすぐにシトラに目を留めた。驚いた表情を浮かべながらも、職人は興味深そうにシトラをじっくりと観察していた。「なんと珍しい…君は鉱獣か?」
シトラがにこにこしながら答えた。「そうだよ。わたしはシトラ。守護石を持つ仲間たちと旅しているんだ。」
職人は少し驚いた表情を浮かべながらも頷いた。「なるほど、そういうことか。わたしの名はトシ。この街で鉱物の研磨をしている。」
アメリスは、シトラへの驚きを落ち着かせるトシを見て、質問を投げかけた。「トシさん、私たちの守護石を強化する方法があるって聞いたのですが…」
トシは考え込みながら、やがてアメリスの持つアメジストをちらりと見た。「守護石を強化するには、二つの方法がある。一つは、守護石に関係性の強い鉱物と『共鳴』することだ。たとえば、アメジストならスモーキークォーツやローズクォーツと共鳴して力を引き出せる。」
彼は続けて言った。「ただし、共鳴は簡単じゃない。心身の調和を取るための深い集中と精神統一が必要だ。特に祈りの方法については、また今度教えてやる。共鳴が成功すれば新たな力が目覚めるはずだ。」
アメリスたちは、共鳴の難しさとその価値について理解しながら頷いた。
「そしてもう一つの方法が『活性化』だ。」トシは彼らを見渡しながら説明を続けた。「活性化は、エンハンスストーンを職人の技術で加工して行うんだ。共鳴ほどの強化にはならないが、守護石の力を確実に引き出すことができる。」
トシはさらに言葉を続けた。「エンハンスストーンは、この街を東に出た先の森にある鍾乳洞の奥で採取できる。岩で覆われた入り口が目印だ。ただし、そこは足場も悪いし、鉱獣も出るので普通の人は危険で入れない。」
アメリスは頷き、「鍾乳洞に行くことになりそうだね。もしそれで私たちの力が引き出せるなら、行く価値があると思う。」
ラピスも同意し、「俺たちならできるさ。準備を整えて行こう。」と、意気込みを見せた。
アメリスが興味深そうに尋ねた「今、私たちの守護石に何かできることはありますか?」
トシは一瞬考え込んでから、穏やかに頷いた。「そうだな。エンハンスストーンはなくても、守護石の再研磨ならできる。これでも少しは力が引き出せるはずだ。」
「再研磨をお願いしてもいいですか?」と、アメリスが即座に頼んだ。
「もちろんだ。」トシはにっこりと微笑み、アメリスたちから守護石を受け取った。「ただ、研磨には少し時間がかかるから、その間街の他の場所を見てくるといい。」
アメリスは一言、「ありがとうございます。お願いします。」と伝えた。
ラピスとルビスもそれぞれ「よろしく頼む」とトシにお礼を言ってから、街の探索に出かけた。
スモーキークオーツ
•灰色や茶色がかった色合いを持ち、透明感のある美しいクォーツ(石英)。
•精神を安定させる効果があるとされ、ストレス緩和やリラックスに役立つと信じられている。
•主にアクセサリーやインテリアとして使用され、落ち着いた色合いが特徴
ローズクォーツ
•淡いピンク色が特徴のクォーツ(石英)で、愛と癒しの象徴とされる。
•心を穏やかにし、他者との調和や自己愛を育む効果があると信じられている。
•主にジュエリーや装飾品として使用され、柔らかい色合いが人気。




