四月に風
軒先を彩る
アマリリスのプランターは
列をなして
ちょっとした花道をつくり
君の背を見送る
胸中の不安とは裏腹に
憎らしいほど
空は青く
おろしたてのシャツは
眩しいほど白い
そんな四月に
連れ去られ
ここへやって来てしまった
君のひそかなため息を
無作法なつま先が
蹴散らしていく
手垢のついた
寄せ集めの
励ましの言葉は
綺麗な響きのまま
何も残すことなく
君の耳を過ぎていく
君に吹き付けた
一瞬の強い風だけが
四月に揺蕩う君の輪郭を
目覚めさせている