80(ホラー墓)
「先に死んだ霊が呼ぶって言うじゃないですか」
そう言いながらSさんは机に1枚の写真を置いて、話を始めた。
確かに私の周りにも、死んだ夫が夢に出てきたという話をした翌日に亡くなった人がいる。科学的には有り得ないが、実際にそういうことがあるのかもしれない。
「先に死んだ霊が呼ぶって言うじゃないですか。って言ってるんですけど」
返事をしない私に対し、不快感をあらわにするSさん。こんなキモい墓の写真持ってくるようなやつとなんて話したくないし、だいたい墓の写真撮るなよって思う。
「まぁいいや。んで、この墓おかしいでしょ? まず写真なんて普通飾らないですし、何人いるんだよっていう。あと写真の子9割がた笑ってるし」
確かに怖い感じはするけど、笑ってるのは別に普通なんじゃないか? だって生前の子どもの写真なんてだいたい笑ってるだろうし、送り出した親だって笑顔のほうが良いって思ってるんじゃないかな。それより白黒写真なのが気になるんだよな。こいつ自分が撮ったって言ってたんだよ。じゃあ加工して雰囲気出してんの?(笑)ってなるよね。
「この子たちね、全員が無縁仏なんですよ。こんなに小さいのに、身寄りがないんです。かわいそうでしょ?」
そもそもなんでこいつ勝手に俺ん家入ってきてんの? 誰なの? 一応自己紹介はされたけど、名前以外なんも知らんよ?
「こっちのほうが楽しいよ、こっちへおいでよ、って呼ぶんですよ」
「あの、帰ってもらっていいですか?」
「あ、ちなみになんですけど」
「無視するなら警察呼びますよ」
「この子たちの遺影、全部僕が置きました」
え、ヤバ⋯⋯
さっきめっちゃディスってなかった? 写真置きすぎとか、笑いすぎとか言ってなかった? こいつ。自分で自分をディスってたの? 自画自賛の逆? なんて言うの? 自虐? そうか、自虐でいいのか。
「それとぉ」
まだなんか言おうとしてる。さっきので終わりかと思ったのに。
「あれ全部、僕の顔なんですよ」
「⋯⋯なに言ってんの?」
「ていうかあなた」
「え?」
「うんちが銀色はさすがに病院行った方がいいですよ」
「⋯⋯は?」
うんちが銀色なんて一言も言ってないんだが? 銀色なわけないし。もしかして銀色だと思われてる? 失礼すぎんか? じゃあこいつのうんちは何色なんだ? 人のことどうこう言える色してんのか? てか、俺銀色じゃねーし! なんなんだこいつ!
「てめえのうんちはなに色だーーーっ!!」
「透明です」
「キモっ」
「キモくてなにが悪い!」
「悪いなんて言ってません!」
「ほんとだ! 帰ります!」
「ばいばい!」
「ばいばい!」




