18(赤の世界)
惨憺たる赤の世界が幕を開ける。
人、動物、魚、虫、あらゆる生物が死に絶え、世界にはその血である赤だけが残った。
その赤は次第に星々へと伝播し、終には太陽さえも赤く染まったのであった。
「遠かったな」
「まさか300年もかかるとは⋯⋯」
300年前、遥か彼方の星で我らの小さな悲鳴を聞いたうんこ星人がとうとう地球に降り立った。
「なぁ、この星赤すぎね? もしかしてもう手遅れか?」
「てか、周りの星も赤くね? 他の星ごと手遅れなんじゃね?」
2人のうんこ星人は人を探して歩いた。
誰にも会うことなく1日が過ぎ、2日が過ぎ、3日目が過ぎようとしていたところで1人が口を開いた。
「腹減ったな」
「そうだな、でもここには食べ物がないぞ」
あらゆる生物が死滅したこの星には食べ物がなかった。
「くそ、生き物がいないと俺たちの飯がないってのに」
彼らの主食はうんこなのだ。あらゆる生物のうんこを摂取し、自らの栄養にすることが出来るコスパ最強の生き物である。
「仕方がない、自給自足作戦でもやるか」
そう、実は彼らもうんこをすることが出来るのだ。生物に平等に与えられた力である。
1人は見事なほどに滑らかで健康的な1本グソを、もう1人は完全な下痢をこの地に生み落とした。
「なんてこった、これじゃ腹に溜まらねぇ⋯⋯」
下痢をした方のうんこ星人が嘆いている。
「うんこフォンデュにして2人で食べようぜ」
もう1人のうんこ星人が助け舟を出した。自分の1本グソを下痢にくぐらせてコーティングして、それをうんこフォンデュとして食べようと言っているのだ。
「すまねぇな⋯⋯恩に着る!」
1本グソの生産者のうんこ星人はそのへんに落ちていた割り箸に1本グソを刺し、容器に入った下痢にくぐらせた。
「これ、フォンデュっていうよりチョコバナナだな」
「カラフルなシュガーをかけて食いたいな」
1人が半分まで食べ、残りを相方に差し出す。
「久しぶりの飯はうめーなぁ⋯⋯あっ! これって!」
自分たちが間接キスをしたということに気がついた2人は恥ずかしさにより、その後一切会話をすることなくこの地で生涯を終え、赤の一部となったのであった。
中学生かよ。




