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最近、娘の友達が…


 最近、娘の友達が頻繁に家へ来る。





 娘は、思ったほど化粧をしなかった。

 いや、全くでは無いのだが、他人と比べれば少ない方だろう。

 化粧品も大事にしてくれているようで、買った側としては嬉しく思う。

 ただ、それが理由かは解らないが、娘の友達が頻繁に家へ遊びに来るようになった。休日だけでなく、平日にもだ。

 一緒に遊ぶ友達がいる。

 喜ぶべき事なのだろう。

 しかし、何故か素直に喜べない。

 と言うのも、娘は友達から何かを教わっているらしい。

 詳しくは教えてくれないが、食事の時にそれっぽい事を喋っていた。

 考え過ぎだろうか……?


 あ、いらっしゃい。ゆっくりしてってね。


 …………………。


 とても礼儀正しい子だった。

 考え過ぎかもしれない。

 ……まあ、しばらくは様子を見ようかな。



「男、できたんじゃないですか?」


 会社の同僚にそう言われた。

 いやいや、友達と遊んでるだけだって。

 今迄、子供らしく遊んでいる姿をあまり見なかったからな。

 中学生とは言え、まだまだ子供だ。しっかり遊べば良いさ。

 ……おいおい、お前から聞いておいて「ふーん」は無いだろう。それ、聞いてない奴の反応だぞ。

 まあいいさ。

 あ、そう言えば、この間の化粧品の件、ありがとうな。

 そう、お前に聞いた店に行ったよ。

 ……入るのに抵抗が無かったとは言わないさ。しかし、娘の為だ。

 ちょっと懐に優しくないお値段だったけどな。

 ん?

 ああ…そうだな、一通り揃ったやつを購入したよ。

 そうそう、メイク道具も一緒になってるやつ。


 …………………。


 え?

 いやいや、そんなの知らないって。

 まず道具を理解していないからな。

 最低限とか言われても……。

 今度一緒に?

 いや、遠慮しとくよ。お前と行ったら変な目で見られそうだからな。

 もう良いから。

 それで、まださっきの話続けるの?

 もしかして、お前が娘に会いたいだけなんじゃないか?

 おい、目を逸らすんじゃない。

 ………はぁ。

 おっ、もう昼終わるぞ。

 お前、今日は午後から外回りだったろ?

 良いから、早く行けって。ゴミくらい方しとくよ。

 こんな事で礼は要らん。さっさと行け。


 やれやれ、やっと行ったか。

 それにしても、何でああも娘に会いたがるかね?

 年も離れてるってのに、何がしたいのやら……。



 家に帰ると、今日も娘の友達が来ていた。


 やあ、いらっしゃい。

 ん? もう帰るのかい?

 気を付けるんだよ。

 ああ、家は近いのか。

 でも、だからと言って油断はいけないぞ?

 それこそ、家を出た瞬間にガラの悪い連中に絡まれるかもしれない。

 あっはっは。


 …………………。


 いや、すまない。

 そんなに深刻にならないでくれ。

 この近くにそういった輩が出たとは聞いていない。

 注意するくらいで良いんだ。

 うん。

 気を付けてね。


 悪い事をしてしまったな。

 ん?

 ああ、今のは言い方が悪かったな。すまない。

 娘に怒られてしまった。

 慣れない事はするもんじゃないな。

 しかし、今日は平日なのに化粧をしているんだな。

 ああいや、変じゃない、変じゃないぞ。

 いつもより美人だとも。

 え? あっ…い、いつも以上に美人だぞ? 普段がそうじゃないとは思っていないとも。


 …………………。


 ふぅ……部屋に戻ってしまったか。

 言葉って難しいな。

 さっきの言葉も、個人的には同じ意味に思えるんだがなぁ。

 まあ良いか、着替えたら飯を作ろう。



 休日、娘の友達が3人遊びに来た。

 女の子1人、男の子2人。


 …………………。


 男の子2人(・・・・・)………2人ぃぃぃぃ!!?

 ど、どどどどういう事だ!?

 女の子は良い。いつもの子だ。

 だが男2人。お前らは誰だ。

 いや、冷静に…冷静になるんだ。

 もしかしたら、いつもの女の子の相手かもしれな―――――2人いるからなぁ……。

 片方がそうだとしても、もう片方はどうなんだという話になる。

 いや、聞きたくない。聞きたくないぞ!

 ……ん?

 ああ、ご丁寧にどうも。父です。


 …………………。


 挨拶は大事。

 くっ、礼儀正しいじゃないか!

 だがしかし、だからと言って娘は―――――え? クラスメイト?

 文化祭の出し物の打ち合わせ?

 そ、そっか……頑張って。

 あ、お茶…どう?

 ペットボトル買ってきてる?

 な、成程…準備万端だね。

 じゃ、じゃあ、ごゆっくり。何かあったら言ってね?

 どうやら勘違いだったらしい。


 …………………。


 何だ、文化祭の準備だったのか……。

 ん?

 何故うちで?


 …………………。


 いや、信じよう。

 何も悪い事をしている訳じゃないんだ。

 子供が頑張っているのなら、大人は黙って見守ってやらねばならないだろう。


 …………………。


 え? 邪魔?

 そ、そうだな。

 すまない、リビングに居るから。


 部屋を追い出されてしまった。

 心配だったが、同じ部屋に居るのはやりすぎだったか。

 まあ、取り敢えずお昼でも用意しよう。



 娘の友達とクラスメイトが帰っていく。

 その足取りは軽い。

 進捗は順調そうだ。

 しかし、中学生なのに自分達で準備するものなのだろうか?

 人数から考えて、今日集まったのは中心人物。実行委員とかそんな感じだろう。


 …………………。


 娘もそうなのだろうか?

 だとしたら、少し誇らしいな……。

 感慨に耽っていると、娘に怒られた。

 声に出ていたらしい。

 恥ずかしい?

 大丈夫、そんな姿も可愛いぞ。


 ……本気で怒られた。


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