第1話 プロファイル
この世界のシステムは、実に単純明快だ。
「えっと…それで、なにが…」
「だーかーら!どうして消えてんだお前!」
「本当に、お前椿なの??」
「プロファイルが消えるなんて
もしかして新しい身体トラブルなんじゃ…」
「…はぁ…?」
俺の名前は椿 秋乃。
…だそうだ。
今が一体どんな状況かって?
それは俺が1番知りたい。
秋乃は自分を取り囲み全身をベタベタと触る男たちを見下ろしながら
ただひたすら適当に返事を繰り返し、情報を探っていた。
とりあえずこの3人がずっと口にしている言葉はこうだ。
椿 秋乃の "プロファイル" が消えている、と。
プロファイルってそのまんまの意味なのか?
だとしたら俺のプロファイルってなんだ。
つうかどうしてこんな見ず知らずの男たちに
いつまでもベタベタ触られ続けなくちゃいけないんだ。
(あ、いや、俺の名前を知っているということは
一応は知り合いって事なのか)
秋乃は心中で呟き、そう自己解決する。
ここは裏路地のようだ。
薄暗くて静かすぎる。
どうして俺はこんな所で寝ていたのだろうか。
秋乃は服に着いた汚れをはらいながら自分の格好を調べる。
(間違いない。これは俺が通ってた高校の制服だ)
そう確認できたところで、秋乃は突然しゃがみこみ
自分が肩にかけていたバックの中を漁り始めた。
3人は「おっ」とそれぞれ驚いた声をあげる。
視線を集めていることを感じながらも
秋乃はそれを無視しつつバックの中を漁り続けた。