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仲良く食器片付けをした後、お父さんは洗濯も頼まれていた。
「まずね、リオ。モンスターってのは、怖いものなの」
「怖い?」
そう、と頷き続ける。
「彼らは、人の命をいつも狙っている。人類とは敵対する存在なの。姿形も声も、すべてが異形の存在。そんな彼らが湧き続けるのが、ダンジョンよ」
「湧き続ける? 産まれ続けるって事?」
洗面所からは、俺も混ぜてくれヨォ、という悲鳴が聞こえる。
「そう、無限に。私たちがいくら倒しても、ダンジョンがある限り、生き続けるの」
「な、なるほど……。じゃあ、どうやってモンスターを倒すの?」
手作業でゴシゴシと洗うお父さんに終わりは見えない。
「そうね……魔法だったり、武器を使ったり……あ、素手で戦う人もいたわね」
「素手!? モンスターって、実は弱い?」
「まさか。とても強いわ。言ったでしょ? 命を狙ってるって」
「オラァ! 終わった!」
ガッツポーズをしながら、こちらにやってくる。腕にかすかな匂いを漂わせている。
「あ、あんた……やってくれたわね!」
「いいだろ、汚れを浄化できたじゃないか」
「色まで浄化してどうするの!? 罰として、部屋掃除も追加!」
「えぇぇえ!」
情けない顔と声しながら、ほうきを手に取る。シャッシャッとほうきと床の擦れる音がする。
「ともかく、そこは集合住宅をひっくり返したような構造をしてるの」
「?」
「ほら、普通上に登るでしょ? それの逆、降りてくの」
「???」
超高速で、掃除を終わらせたお父さんは、同じ机に向かう。
「ともかくだ。そこの5階層にいくには、モンスター達をバッタバッタと張り倒すしかない。それには、強さが必要だ」
「魔法の練度だったり、剣の腕だったり。最初はそれが必要ね」
小学生が、高校数学を習うように。そんな感覚で二人の話を聞いていた。
「おっしっ、てことで中庭にでろ! お前に剣術を伝授してあげる!」
「ん、何を言っているの?リオには魔法を覚えさせるのよ? あなたの物騒な戦い方はいらないわ」
「なぁにぃぃ? 男たるもの、剣術だろ!」
「いいえ、聡明なリオには魔法の戦術をおしえるの!」
いまにも、顔がぶつかりそうな程に、競り合っている二人。ばっといきなり、こちらを振り返り鬼気迫った表情で問いかける。
「「どっち!?」」
「ええと……ええと……」
「ど、どっちも?」
すみませんでしたぁぉぉぁぁ!(0:48)
内容もこれで許してぇぇぇ!