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「それじゃあまぁ、その記憶回収しまー……」

「いや!」


 回収の作業を本人に拒否されてしまっている。それもそのはず、本人にとっては唯一の「光景」だから。

 

「ねぇ、カフネ。彼はどこ?」

「ん、手貸してみ。ほらここ」

「ひゃっ!?」


 お父さんが困り果てている所を説得しようとしているところに、不意打ちを食らった。脇腹は反則でしょうよ。弱いんですよ……。

 カフネ(?)がニシシと笑っていると、ニーナは脇腹から手をスライドし、肩に手を置き直す。


「……名前は?」

「……へ?」

「名前教えて」

「あ、ああ僕は……」

 

 自分の「小林理王」と言う名前を伝えようとすると、お父さんが遮ってくる。人差し指を左右に振り、チッチと歯を無駄に光らせると、僕の代わりに僕の紹介をし始めた。


「こいつは、俺様の息子、リオ・シビネルだ。お嬢ちゃん仲良くしてやってくれ」

「ちょっ……むっ」

「しー……旅の中で性を変えたんだ。理由はないけどな!」

「ないの!?」

 

 ニーナがリオの名前を噛み砕いている間、父子漫才を繰り広げる。


「にしても、あんたの瞳、綺麗なガーネット色してるわよね」

「へ、ガーネット?」

「カフネ、リオの目はガーネット色?」

「そうよ、私一時期宝石店でバイトしてたから、すぐわかるわ」


 これが、ガーネット色……と感動を覚える彼女。そういえば、僕もまだ、色とその名前は一致してなかったな。


「まぁ、お嬢ちゃん達、納得してもらえて何より。……だけど、この(・・)誰にも言わないように。じゃなきゃ……」

「じゃ、じゃなきゃ……?」

「…………まぁ、ここら辺にしておくか。ほれリオ、行くぞ。僕の世界一の妻がお腹を空かせているかもしれないからね」

「あ、うん……」


 そそくさと、この場を離れる僕たちと、不器用ながらに手を顔の横で小さく振るニーナと、べー、と舌をだしているカフネ。

 そんな二人に……二人に……




「ねぇ、ニーナの目見えるように出来ないかな」

「ブフォぉ!! な、な、何をいいんだすんだよ」

 

 お昼になって、起床したママと三人で昼食をたべている。お昼はシチューだか、お父さんは含んだものすべて、吹き出していた。幸い向かいには誰もいない。


「ちょっ、汚いわよ……。ほら、これで拭いて」

「あ、ありがとう〜マイハニー……」


 手元にあった布巾を手渡しているママ。その布巾が思いっきり机を拭いていたものってことは黙っておこう。


「それで、そのニーナって子はどんな子なの?」

「ああ、その子は………………」


 かくかくしかじかと、事情を話す。すると、ママはうーんと頭を抱えて悩む。


「一つ」

「?」

「一つあるわ」

「ほんと!?」

「ちょっ、ハニー!?」


 木製のスプーンを机の上に置き、こちらに向き直してくる。


「このセカイの中心の都市にある、ダンジョンの5階層に出現するレアモンスターが落とす、素材。それを使えばどんな傷でも癒せるの」

「このセカイ?」

「んっんっんっんっんっ!!!! いいか? ともかく、それがあれば、あの子の目が見えるようになるってわけさ」


 ……だいぶ、はぐらかされたような気がする。二人の焦りが隠せていない

 ていうか、ダンジョンってなんだ……?


「ダンジョンとか5階層とか、レアモンスターとかって何?」

「ああ、そうだな。そこからだよな。……まずは、モンスターからだな」

「あ、その話長くなるから、先に食器片付けましょ」

「ええ、ここからいいとこなのに…………」

今日はきちんと、余裕を持つんですねぇ〜!

いやぁ、見通しがきちんとしてますねぇ〜(23:27)

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