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「ほな、とうちゃーく。ここが、最寄りの街である、その名もオリジンさ。お、八百屋のおじちゃん、うーす!」
「ふっ、憎たらしい小僧め。わしの前から今すぐ立ち去れ!」
「いやー、そんなこと言わずにさ。今日はこれと――」
町の名前を紹介すると同時にもう、買い出しを始めてしまっていた。当然、街に慣れてもいない僕はぽかーんと、町の風景を眺めるしかなかった。
けれども、それは僕にとっては一番のご褒美だ。
「わぁ、すごい光景だ……」
街は少しの高低差があり、遠くの麦(?)畑らしきものが見える。ちょうど収穫の時期なのか、農家の人達が刈っているが。
「なんだあれ、手も何も使わずに収穫してる? もしかして、あれが魔法なのかな?」
その光景は、晴天下によく映える。
その横にあるのは大きな風車。大きすぎないか?軽く150mはありそうだ。
「わぁ、なんだあのお店……………………行ってみよう!」
聡いといっても、まだ中1レベルだ。好奇心には勝てないのだろう。ましてや、視覚的な欲求は誰よりも大きい。、
「すみません、ここどんなお店ですか?」
書いている名札がよく読めない。
「お、なんだ坊ちゃん。見ない顔だな」
「お父さんは良くこの街に来るんですけど、僕は初めてきました!」
「おお、そうか。なら特別に見せてやろう。このお店はな、いわば、幻影魔法を埋め込んだ腕輪を売っていてな」
首を傾げると、少し微笑み優しく説明してくれる。
「幻影魔法を投写魔法で空中に映し出して……ほらいかにもそこに果物があるみたいだろう?」
「わぁ、すごい! 魔法…………」
「どうだい、坊ちゃん買うかい? いまなら、特別にお安くするよ?」
「うっ…………すみません、お金が無くて…………」
魅力的なものである分、悔しさが胸一杯に広がる。若干の涙目になりそうになる。
「そうかい……それじゃあな、よっこらせっ。確かこの中に……あった。これなら、特別にタダであげるよ」
「本当!?」
「ああ、これはなかなか売れなかったんだ。なぜかは全く知らないが、気味が悪かったんだ」
「ありがとう!」
力一杯のお礼を言うと、嬉しそうに顔を歪ます。
「いいって。むしろ、在庫処理みたくなっちゃって悪いな」
「全然! 大切にするね! ありがとう!」
「おお、気をつけろよ、坊ちゃーん!…………ふっ」
「ここどこ?」
あれはなんだ、あれはなんだ、と次から次に好奇心が映ったせいで、すっかり迷子になってしまった。
不幸中の幸いといったところか、人の通りは多く、危険ではなさそうな場所だ。故に、一人とても目立ってしまっている子がいた。
「あの子、杖を持ってる……もしかして、目が見えない?」
白状らしきものを使い、足元を探り探り歩いている女の子がいた。見た目は髪がボサボサして、伸びきっており、目元が完全に隠れてしまっている。
服も、所々の汚れが目立つワンピースで、身長は159と高い。
「なんだ、その感覚。脳が騒ぐ……!! 危ない!」
「!?」
僕の後ろから、女の子を狙った矢が飛んできたのを見て、咄嗟に飛びついてしまった。
「あ、ご、ごめん! 大丈夫?」
「………………」
「ど、どうしたの?」
何も言わずに、座り込んでいる。ん? どうしたんだいきなり口元に手を当てたりして…………
「痴漢でーす! 助けてくださーい!」
「え、ちょっ、君!?」
どうやら、正義のヒーローとは行かないらしい…………
日付が変わる15分前に気づき、至急作成しました。
いや、焦りましたね。ギリギリセーフです。(0:11)