表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/18

2


「んっ……」


 小林理王(リオ)は森の中に倒れていた。

 それは、現代日本のどこか――ではなく、そこは異界のものだ。

 要するに、地球ではない。ついでに別次元に存在する世界にいた。

 

「なんで、僕は倒れて………………………………眩しい(・・・)

「――え、え、……へ、え……う、そ……」


 人は本当の衝撃を受ければ、うまく声が出ないと言う。


 見える……見える!(・・・  ・・・)


 勢いよく飛び上がり、近くにあった樹を掴む。

 感触は知ったもの。だけど


「こんなにも、樹というものは、美しいのか……!」


 樹も、土も、草も、葉も、空も、光も、虫も。

 手も、足も、肌も、腕も、指も、髪も、細胞も!


 全部が見える。

 流れ出す涙は、正に滝のようだった。その涙さえ美しい。


「もっと……もっと見たい……宝物(視界)に入れたい!」


 気づけば走り出していた。状況把握も、食事も忘れて。

 目指めた時は、太陽よのうなものは真上に有ったが、一通り見終わった時には、夜になっていた。


「とんでもない。きれいだな。この……世界……は」


 宝物(視界)は地に伏せていた


「おやおや、こんなところに子が倒れてるとは。どこから迷い込んだのか。……そもそも、迷い込めるのか」

「よいっしょ、と。私の秘密基地に、ご案なーい」 




「入っていいか…………って、なんだその子供は。まさか、また攫ってきたんじゃないだろうな」

「違うわよ! このネオフォレストで倒れてたのよ。……あ・と・ね、その言い方だと、私がいつも、子を攫ってるみたいな言い方じゃない」

「ああ? 違うっけな? ……ってやめろやめろ! あちぃ!」


 女は、不満そうに顔を顰め、指先に青い炎を灯らせていた。


「私は一度っきりだって、子を攫ったことなんてないわよ。それより、私に用があるんでしょ?」


 部屋の中は燭台のお陰で、明瞭に写っていた。その童顔な顔がくっきり見える程に。

 女の隣の椅子に男が座ると、リオを指差した。


「いい、いい。そんなことより、この少年の事を知りたい。…………既に記憶を読み取ってるんだろ? ほれほれ」

「やめなさいよ、その指をくねくねするの。普通に気色悪いわよ。ただでさえ、剣術の特訓のせいで、指が太くなってのに」


 はぁ、とため息をつき、ズレていた掛け布団をかけ直す。


「それが困ったのよね。この子、どうやらこの世界の住人じゃないのよね」

「ハァ!? どういうことなんだ? そんなことあり得んのかよ」

「私も半信半疑なんだけどね。正直、記憶の混濁とかを疑ったんだけど……。そうなったら、もうちょっと深いところまで入ったんだけど……」


 頭を抱えて、ほんのりした後悔を滲ませる女に、男は首を傾げる。


「君ほどのヒトが困ることとは、相当なんだな。んー、病なら、君はなんでも治せるし…………なんだろ?」


 わかんなーい!と諸手を挙げる男。

 燭台の陽がゆらりと動く。


「この子のお母さん、その夫のせいで殺されちゃってね、そのままこの子も殺されちゃって……」


 悲壮感を滲ませる女と、引いてしまっている男。


「うわっ、それはひっどいな。って、なんでじゃあこの子生きてんの!?」

「そう、そこが一個目の問題。この子の魂は、いつのまにか、この体に入り込んだワケ」

「憑依ってことかよ! 魔法か何かかな?」


「……はぁ、薄情なんだが、魔法に熱心なのか……。流石に今のは幻滅したわ」


 嫌な顔のお手本と言わんばかりに、眉をひそめ、目を細める。


「とか言ってまたまた〜。君のその手にはもう引っかからないよー。何度も引っかかる程、アホじゃないからね〜」

「…………」

「…………え、本当? え、待って待って、ごめんなさい。だから嫌いにならないで! お願い!」


 すると、女は吹き出し手を口に当てる。


「見事に引っかかってるじゃない。学習しないのかしらね〜」

「ああ、騙したな〜」


 男は女をグーでポコポコする。ポコポコする。


「んっ……。ここは……?」

「あ、二つ目の問題は……」

「おっ、どう少年? 君はね、倒れてたところを、この麗しき僕の妻が助け…………ん?」


 リオは女に抱きついてた。そう、ぎっちりと。


「ナニシテルノカナ、ショウネン?」

「そう、これが二つ目の問題」


「ただいま! ママ、お父さん!(・・ ・・・・)


 女は満更でもないように、リオの頭を撫でながら、話す。


「この子の両親の声と私達の声が完全一致(・・・・)してるってこと」

「えぇー!?」

いやー、最近ゲリラ豪雨的なのに、悩まされてますねぇ。あ、評価宜しくお願いしとうこざいます。(2回目)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ