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097 魔物狩という名の暇つぶし

翌日、魔物狩り一行はエムロード大王国の宿泊施設(大使館予定の施設)の前に集まった、今回のメンバーで最上位者がエムロード大王国の王太子であるギルスバートだからだ。


「では行きましょうか。エル、セラフィムよろしく」


ヨネ子がそう言うとヨネ子、エル、セラフィムの3人はゲートをキューシュー地方の西の端の魔物領域へと繋げた。

この魔物領域はSランクのサバンナでラーテルやヤマアラシと言ったこの地方特有の魔物が多い事から、せっかくなので珍しい魔物を見せようと思い決めた。


「さあ、ここから魔物領域よ。パーティーはどうする?」


「俺は元々ハンターとしてグリードとミーシャとパーティーを組んでおるからな、今回は殿下を入れた4人でパーティーを組もうと思う。殿下、それでよろしいですか?」


「ああ、かまわん」


ルビー公爵の提案をギルスバートは快く受け入れた。


「私達はイリアを入れた6人でパーティーを組むわ」


セリーヌも提案した、もちろん返事はしていないがイリアも賛成している。


「そう。ギルスバート殿下、レーナも入れてくれない?」


「ああ、良いぞ」


「それからセラフィムは緊急事態に備えて監視をしてちょうだい」


「わかりました」


「それからセラフィム、レーナ、釣り道具を貸して頂戴」


「はい」

「どうぞ」


ヨネ子がセラフィムとレーナから釣り道具を受け取るとヨネ子、エル、メアリ、シェンムー以外の全員が狩りへと出発した。


「じゃあ私達も行くわよ」


ヨネ子はそう言うとメアリとシェンムーを連れてフィールマ大森林の洞窟にやって来た、ここの白いイワナに似た魚を釣るためだ。


メアリとシェンムーはよく『デザートイーグル』に付いて来るが毎回食事の準備や後片付けばかりしている。

なのでヨネ子はたまには楽しませようと考えたのだ、それには魔物領域外での釣りは安全で食料調達も兼ねられる最高のアクティビティだ。


「さあここの魚は美味しいからみんなで釣るわよ」


ヨネ子はそう言ってメアリに釣りを教える、エルもシェンムーに釣りを教えた。


ここは魚影が濃いのでメアリとシェンムーにもすぐに釣れた、なので連れた魚はメアリの分はヨネ子が、シェンムーの分はエルが収納に入れる事にしてそれぞれ釣り始めた。


「凄い、釣りって面白いですね」


「こんな楽しい事初めて」


メアリとシェンムーは初めての釣りをご満悦で楽しんでいる、しかし楽しい時間はあまり長く続かない。

よく釣れるので物の1時間もせずに全員が10匹以上釣ってしまった、今回全部で16人なのでこれ以上は釣りすぎてしまう、それに昼食の準備もあるので早くも釣りはやめて魔物領域へと帰って行った。


それでもメアリとシェンムーは満足したようで、食事の準備を楽しそうに始めた。

メインはもちろん今釣ったばかりの魚だ、それを塩焼きにして食べる事にする。


ヨネ子とエルは食事の準備が出来るまで優雅にティータイムで過ごす、2人だけで優雅に過ごす時間は初めてかも知れない。


昼過ぎ頃、食事が出来たのでセラフィムに連絡した、それを受けてセラフィムが2組のパーティーに知らせに行くと全員すぐに戻ってきた。

どこまで行っていたかはわからないがゲートで戻ってきたので集合は早い。


今回は魔物領域での狩りとは言っても気分的にはピクニックだ、なので全員狩りの成果にはあまり拘っていない事もゲートでサッサと戻ってきた理由の1つだ。


「さあ皆さん、私たちが釣ってきた魚です」


メアリが誇らしそうにそう言うとシェンムーと2人、テーブルに料理を並べ始めた。


「あーこの魚、美味しいんですよ」


その料理を見たレーナは大喜びでそう言った。


「この白い魚はなんだ?初めて見るが美味いのか?」


「これはフィールマ大森林の洞窟の中にある池の魚です。すごく美味しいですよ」


ギルスバートの質問に再びレーナが答えた。


「フィールマ大森林の?行ったのか?何が有った?」


レーナの言葉に最も食いついたのはルビー公爵だ、さすがは現役ハンターというところだろうか。


「まあそれはまた今度ね」


その質問にはヨネ子が答えた、というより答えなかった、まだエレンにも報告していないからに他ならない。


そして全員がその魚から食べ始める。


「「「美味い!」」」

「「「「「「「「美味しい!」」」」」」」」


男性陣も女性陣も揃って味を称賛した。


「良かった、釣ってきた甲斐があります」


「まあ連れて行ってくれたマーガレットさんのおかげですけど」


メアリとシェンムーが嬉しそうに答える、初めて自分たちが獲ってきた獲物を褒められたのだその気持ちはよくわかる。


「それで、貴方達の成果は上がってるの?」


ヨネ子が魔物狩りの方の成果を聞いた。


「おお、あの剥製の魔物、ヤマアラシとか言ったか、アレを狩ったぞ。いやあAランクの魔物だからどうかと思ったが思ったより簡単だったな。まあ普段よりメンバーが2人多いってのもあるんだが」


「そうそれは何よりね。セリーヌ達はどうだったの?」


「私達はラーテルの魔物を狩れたわ」


「良かったわね、ラーテルの魔物の革は最高の防具の材料になるわよ」


「ほう、そうなのか?」


「はい、この私が着ている革鎧がラーテルです」


感心したようなルビー公爵の質問にレーナが答えた。

ルビー公爵はそれを聞きレーナの革鎧をマジマジと見る。


「なるほど、これは丈夫そうなのに動きやすくもあるようだ。これは午後からの目標が決まったな」


「そうだな、出来れば俺の分も狩れると良いんだが」


ギルスバートもラーテルの魔物の防具を作りたいようだ、この世界では戦争等が有った時王族が前線で指揮する事も珍しくない、なので性能の良い防具は必需品と言える。


食事が終わると再び狩りが始まる、今度は全員ゲートで中断した場所に戻って狩り始める事にした。


ヨネ子とエルは再び優雅にティータイムを楽しむ、メアリとシェンムーは当然ながら後片付けだ。


「エル、私は建国記念式典後1度地球に戻って来るわ。貴方はどうする?」


唐突にヨネ子がエルに言った、本格的に地球とこの世界を往来出来るようにする準備をするのだ。


「行けるならもちろん行くけど、どうやって?」


「ファティマに地球へ帰還する魔法陣があるのよ。それを使って帰還するわ」


「それって私も使えるの?」


「帰還には条件が有ってね、魔力を持たない者か思考が日本語の者ってなってるの。貴方は魔法は使えるけど魔力ではなく神力でしょ?だからその条件通りなら大丈夫なはずよ」


「そうなんだ、じゃあ行くわ」


エルもヨネ子と共に地球に行くことが決定した、そしてみんなが狩りから戻ってくるまでエルに地球の事を色々とレクチャーした、さすがにあまりに文明も常識も違いすぎるので何も知らない状態で連れて行くのはリスクが高すぎるからだ。


夕方、全員がヨネ子達の元に帰ってきた、全員疲れた様子がないのは危険も無く楽しめたからだろう。


「どう?ラーテルは狩れたの?」


エルがギルスバートに聞いた。


「ああ、ミーシャのおかげで3頭狩れたぞ」


ギルスバートが答えた、3頭ともミーシャが索敵魔法で見つけたからだ。


「そう、ちょっと見せてみて」


ヨネ子がそう言うとミーシャがラーテルの魔物を収納から出した、ヨネ子は鎧の素材として十分な美品であるかを見てやろうと思ったのだ。


「なるほどね。この2頭は1人分の鎧の材料に丁度良いけどこの1頭は傷が多すぎるから1人分は取れないわよ」


3頭のラーテルの魔物の内2頭は綺麗に頭を切り落とされていたが、残りの1頭は全身に無数の傷が付いていた。


「そうなのか?それは俺と公爵の2人だけで狩ったやつだ。どれくらい強くなったか試したくて2人で狩ったんだが勿体ない事をしたな」


ギルスバートは残念そうに言った、3頭狩ったのはグリードの分も入れた3人分の鎧を作りたかったからだ。


「だったら私達の分と交換しましょうか?」


セリーヌが提案した、『デザートイーグル』は鎧を作る予定は無いのでイリア用の1頭を確保すれば後は必要無いからだ。


結局『デザートイーグル』の狩ったラーテルの魔物とギルスバート達の狩ったラーテルの魔物を交換する事にした、が、さすがに価値が違いすぎるのでヤマアラシの魔物も付けて交換した。


アルケオンに帰って来た一行はすぐにハンターギルドに向った、ラーテルの魔物を解体してその皮を受け取るためだ、もちろんラーテル以外の素材は全て売った。


ヨネ子達4人はハンターギルドでみんなとは別れた、そして蜘蛛の魔物と蚕の魔物の養殖場に行く。


ヨネ子はそこでマナ糸(魔石を織り込んだ蜘蛛の魔物の糸)とマナシルク(魔石を織り込んだ蚕の魔物のシルク糸)を受け取り町へ戻る、今度はそれを服や下着を作るための生地へ加工するのだ。


その日の夜は狩りへ連れて行った礼としてギルスバートとルビー公爵から夕食に招待されていたので向かった、場所はブレイザーの店『ゴールデン・ドーン』だ。


本来なら大使館に招待となるところだが、今回は護衛含め30人以内と同行者数が決められていたため料理人は最低限しか連れて来ていない。

なのでゲストを招待したくても料理人が足りず物理的に不可能なためレストランへの招待となった。


「お招きいただきありがとうございます、エムロード陛下」


『ゴールデン・ドーン』に着くと先に来ていたエムロード王に挨拶した。


「よく来てくれたなマーガレット。昼間は息子と公爵が世話になった」


エムロード王も気さくに返事する。


今日はエムロード大王国の貸し切りになっている、招待客はヨネ子達4人の他共に狩りに行った全員にエレン、流一、アスカの3人もいた。

エムロード王としてはエレンとアスカは『白金神龍』のメンバーだから招待したのだ、流一についてはまあ知らない仲では無いのでエレンのオマケだ。


メアリとシェンムーはさすがに少し緊張していた、国王や貴族と接する機会などそうそう無いので仕方ない。

それに対してミランダとシェーラはもう慣れたものだ、国王相手でも全く臆することがなくなっている、『デザートイーグル』加入当初が懐かしく感じるほどだ。

尤もそう感じるのは当時を知っている流一とエレンの2人だけだが。


全員揃ったところでエムロード王の挨拶がなされ食事が始まる、表向きは昼間の魔物領域での狩りの慰労だがエムロード王の心はドラゴニアについての情報収集がメインだ。


だからと言って焦って聞き出すほどのことでも無い、まずはワインで場を和ませた後世間話から入って行く。


そう思っていたところでタイミングよくイリアがエムロード王に挨拶を始めた。


「エムロード王陛下、本日はご招待ありがとうございます。改めましてご挨拶させていただきます。私はリシュリュー王国の騎士でバーニアの地を治めますイリア=ローランド=フォン=バーニア子爵と申します。ルビー公爵とは縁有って懇意にさせて戴いております事から本日も共に狩りへと参らせていただきました。今後ともよろしくお願い致します」


「おお、その方がバーニア子爵か。噂は聞いておるぞ、『デザートイーグル』と共にマンモスの魔物を討伐した英雄であろう。しかしルビー公爵と知り合いだとは思わなかったぞ」


「まあそこはマーガレット殿の引き合わせという他ありませんな」


エムロード王の疑問にはルビー公爵が答えた。


これをきっかけに話は『デザートイーグル』の事、『白金神龍』の事を経てドラゴニアの事へと発展していった。


そこからはエムロード王をはじめ王太子ギルスバートとルビー公爵、さらにイリアの好奇心が止まらずヨネ子とエレンは質問攻めに会った。


ルテナ橋の事や自転車の事はもちろん、紙幣や銀行に産業、果ては法体系についてまでさすが為政者と言えるほど多くのものに興味を持っていた。


ヨネ子とエレンは隠すような事は何も無いので全ての質問に丁寧に答えた。


質問がひと段落したところで、今度はエムロード王が提案して来た。


「ところでここから海へ行く道は有るのか?」


「はい、我が国は塩田も整備していますのでありますよ」


エレンが答えた。


「そうか、ではそこに港はあるか?あるなら貨物船を就航させてはどうかと思うのだが」


「港は近いうちに整備するつもりよ。その時には就航を歓迎するわ」


これにはヨネ子が答えた、その事に関連してルビー公爵が質問する。


「そう言えば漕ぎ手を使わず風だけで動く船を作ると言っていたが、それは貨物船なのか?」


「ほう?風だけでとな?それでは風下にだけしか動けぬのでは無いか?」


エムロード王もルテナ橋でのルビー公爵と同じ質問をして来た、なので同じ事を答えた。


「まあ、貨物輸送もするつもりだけど外洋航海が主な目的だから貨物輸送はそちらの船に任せるわ」


「それにしても本当に外洋航海など出来るのか?海の魔物は陸とは違い船の上からの戦いになるから不利では無いのか?」


エムロード王が聞いて来た、ルビー公爵もギルスバートも同じ疑問を持っている。


「そうね、確かに普通のハンターや漁師にとっては不利な戦いを強いられるでしょうね。でも船は頑丈に作るし戦い様はあるわ。そもそも魔物を寄せ付けない方法も考えてるしね」


「そうか、さすがと言うかなんと言うか。もしその船が出来たらワシも乗せて欲しいものじゃ」


「もしそんな時間が取れるのなら乗せてあげるわよ」


「「「本当か?」」」


エムロード王とギルスバートとルビー公爵の声が揃った、よほど気になるのだろう。


この後は予想通り『デザートイーグル』のみんなやイリアも帆船に乗せてもらう約束をした。


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