表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/42

第三十九話

 新婚初夜である。


 ヴィオレッタは、薄明かりの中自分を落ち着かせるために、アンナの用意してくれていた紅茶に口をつける。


 心臓がどくどくとして、バッセンに来てほしいようなそうでないような不思議な気分である。


 その時、部屋の扉がノックされ、バッセンが入ってきた。


 ヴィオレッタはバッセンの側によると、ふわりと石鹸の香りがして心臓が跳ねた。


 バッセンはゆっくりとヴィオレッタを抱き締めた。


「ヴィオレッタ。」


「バッセン様。」


 ギュッと抱き締められると、それだけで不安は消えていく。


 大丈夫。


 ヴィオレッタの唇にバッセンの唇が重なり二人はそのままベッドへと向かう。


 そして。




 ヴィオレッタは朝目を覚ますと、横で眠るバッセンの寝顔にそっとキスをした。


 ハッキリ言おう。


 夜のバッセンはすごかった。


 最高に、可愛かった。


 ベッドに行ったはいいものの、本当に大丈夫だろうかとこちらを伺ってくる姿は子犬のようであった。(他人が見れば野獣)


 何度もキスを重ねるうちに、その瞳に熱がこもっていく様子は見ていて色香がすごかった。(他人が見れば恐怖。)


 中々先に進まないバッセンに自分からねだるように身を寄せれば、とても大切に、ゆっくりとこちらの様子を見守りながら進めてくれた。


 もう一度ハッキリ言おう。


 最高であった。


 ヴィオレッタは昨日の様子を反芻しながら身悶え、そしてせっかく今バッセンが寝ているのだからとその美しい体を拝ませてもらった。


 ほう。


 何という肉体美であろうか。


 ヴィオレッタはごくりと喉を鳴らすと、そっとバッセンの逞しい腕の中に体をすり込ませて引っ付いた。


 心地がいい。


 ぎゅうぎゅうと抱きしめているヴィオレッタに、バッセンは身悶えたのち、ヴィオレッタはベッドから起き上がれないほどに抱きつぶしてしまうのであった。


 アンナからは初めてなのですから配慮して下さいと苦言を呈されるが、すかさずにヴィオレッタが言った一言によってバッセンはいたたまれなくなった。


「アンナ! 最高だったのよ!」


 その一言に、アンナは冷たい視線をバッセンに向けた。


 そして、どこから情報が漏れたのか、稽古場でしばらくの間それを揶揄するような言葉が飛び交うようになった。


「おお! 剣さばきが最高の仕上がりだな!」


「最高に今日は気分がいい!」


「いやぁ、今日も天気がいいなんて最高だな!」


 もちろんそんな事を言った騎士らは皆全てまるっと屍の山となっていくのだが、それでもバッセンが幸せになったという事に部下も喜びが隠せないのだろう。


 屍の山はしばらくの間築かれ続けるのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
コミカライズ連載始まりました!  1話無料公開中です!

img_f13f059679b249de89cae1c4b84edf7a2060
書籍特集ページはこちらから
書籍サイトはこちらから!

img_f13f059679b249de89cae1c4b84edf7a2060
書籍特集ページはこちらから
― 新着の感想 ―
[良い点] 本当に好きなんだな という所と 本当に好かれて嬉しいんだな という所 [一言] Bravi! (ブラボーは、男性に ブラーバは、女性に 片方だけの賞賛だと、もう一方がダメダメになっちゃうの…
[一言] くぅー!甘い…のか?(笑)
[良い点] ありがとうございます。 ベッドから朝のシーンで、え?もう朝?のあとのシーンが 最高でしたわ! ヴィオレッタが甘える毎日なんて、バッセンには幸せな毎日に間違いないです。 [一言] ヴィ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ