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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第十章 レジスタンス
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転移者VS転生者

サブタイトルこんなので良いのだろうか………。

 階段を下りてメイソンの元へ向かうと、横を向いて寝ている彼の側に誰かがしゃがんでいた。

 そいつは俺の足音に反応して、振り向いた。


「転生者……」


「あんたはここを襲おうとしてた兵士の中にいた人だな。つまり、あの国の兵士って事でいいんだよな?」


 威圧するように言った少年は立ち上がるとこっちへ体を向け、右手に持っていた普通の拳銃よりも一回り大きい銃を向けてきた。


『デザートイーグルか……、気を付けてジャック。あの銃は一番口径が大きいタイプみたい、当たったらひとたまりもないよ』


「そうか、わかった……」


 俺は右足のホルスターへ手を伸ばし、銃に手を置くとピアスが振動した。


『ジャック、私だ。ジェーンだ』


『えっ?ジェーン?もういいの?』


『ああ、ジャック、お前の為に防寒着の裏側に早すぎるが、クリスマスプレゼントを用意してやった。それを使って、オモチャを振り回してる子供を倒せ』


 防寒着の裏側、そういえば気にしていなかったが少し右側の胸辺りが重い感じがしていた。

 俺はホルスターから銃をゆっくりと抜き、銃を転生者に向けるのではなく、銃を持ったまま両手を上げた。


「まぁ落ち着け、俺が持っている銃とお前が持っている銃では勝負にならない」


「だからどうした。お前達は俺の仲間達を殺したんだ。その罪を償ってもらうぞ」


 少年の目からは怒り、悲しみ、そして明確な殺意が伝わってくる。

 降伏すると今すぐにでも言えば、独房へぶちこまれるくらいで済みそうだが、そんな気は少しもなかった。

 その気がなかったのは、奴が言った復讐という言葉のせいだ。

 マーカスが嫌っていた言葉であり、良くないこととして俺は教えられていた。


「復讐か?くだらない、そんなことをしても無意味だ。復讐するのは勝手だが、俺を殺してもただの自己満足で終わるぞ」


「うるせぇよ……。もう黙れ、あんたに意味がなくとも……俺には意味があるんだよ!!」


 少年が銃の引き金を引くのが見えた瞬間に俺は上げていた手を前に出して銃を構え、狙いをつけて引き金を引いた。

 しかし、俺より僅かに速く向こうが撃った為、俺は反射的に体を低くした時、麻酔銃から火花が散ると共に黒い破片が飛び散り、銃を見ると銃の部品が欠けて壊れてしまった。


 幸い、銃弾は外れてくれたが、銃に当たった反動で手首が痛い、俺は階段を駆け下りて右へ曲がり、部屋の中へ扉を蹴り破って入った。

 部屋へ入るまで撃ってこなかったが、奴は怒りに任せて引き金を引いてしまったのだろうか。


「あんたの銃はもう使えないだろ、大人しく出てこいよ」


「ふざけたことを言うな、まぁ、お前が冷静で、落ち着いて話し合いができるならそうしてやる」


 奴の要求を断りながら、防寒着の前を開けて左手を防寒着の中へ入れて、防寒着の裏にあったポケットからジェーンのクリスマスプレゼントを取り出した。

 防寒着の裏に入っていたのはSAA、銃身の右側に″Peace Maker″と刻印された物だった。


「なかなかいい趣味をしているな」


『良い銃だろう?西部劇には欠かせない銃だ。私が愛用している銃でもある』


「なるほど、それで?これで奴と早撃ち対決をすればいいのか?奴には乗る気は無さそうだが」


『ハハハ、そんなことをする必要はないさ。普通に使ってやってくれ、大切にな』


 俺はピースメーカーに弾が入っていることを確認し、奴が歩いてくる音から位置を予測する。

 奴はゆっくりと歩いてこっちへ向かってきているようだ。

 俺は新たな銃を右手で握りしめて右手の親指でハンマーを起こし、部屋から廊下へ勢いよく飛び出し、飛び出した瞬間に撃たれる前に狙いをつけ、引き金を引いた。


 俺の突然の行動に驚くかと期待していたが、奴は冷静に銃の引き金を俺と同じタイミングで引いてきた。

 奴のデザートイーグルから放たれた銃弾は俺の右肩近くを通りすぎ、俺が放った銃弾は奴の銃に当たって奴の手から銃を落とすことに成功した。


「チッ……狙いが外れたか……」


 奴はそう言うと階段の方へ走っていき、俺は奴の後を追いかけて上の階へ上った。

 階段を上って上の階に着くと奴は上の階段の踊り場からマシンガンを撃ってきた。

 突然の攻撃に廊下の左側へ前転して攻撃を回避し、壁に背中をつけて攻撃が終わるまで待った。

 銃撃が止んだ瞬間に階段の踊り場に向けて銃を向けるが、そこに奴の姿は無く、更に上へと上っていくのが足音でわかった。

 後を追って階段を上り、奴を追いかけた。


 階段を上り続けていくと、レーダーがあった場所へ戻ってきた。

 階段を上りながら周りを警戒したが、奴の姿はなく、何処からかヘリの音が聞こえてきた。

 音がする方へ視線を向けると見慣れたヘリが横を向いて現れ、機体の横にある扉を開くとそこへ奴が飛び乗り、何かのスイッチを俺に見せつけるかのように左手で持ち、そのスイッチを押した。

 スイッチが押された瞬間に階段の踊り場が爆発し、俺は吹き飛ばされるようにして階段から投げ出された。


「お前を殺す!お前の仲間も全員!裁きを受けろ!!」


「うぐっ……まったく、まるで物語の主人公みたいな台詞を言う奴だな……」


 俺はゆっくりと立ち上がるとヘリは扉を閉めてこっちへ顔を向けてきた。

 ピアスが振動して通信が入ったが、通信を聞く前に俺は崩れかけの壁へ身を隠して通信を聞くことにし、壁に向かって走り、右足を伸ばして左足を曲げてブレーキの役割をさせながら壁の後ろへ滑り込むようにして隠れた。


『ハインドDか、厄介なヘリが来たな。空飛ぶ戦車なんて呼ばれ方もされるヘリだ。お前の視界から得た情報からすると、もうロケットを使い果たしてミサイルだけになっているようだな』


「そんなことがわかるのか……。それより、どうしてロケットの弾が無い状態なんだ?」


『さぁな、だからと言って侮るなよ。あれは独自の改良をされて20mmの機関砲が装備させられているようだ。ロケットやミサイルなんか無くても、生身のこっちには十分な脅威だ。気を付けろ』


 俺は壁から少し顔を出してヘリの動きを見てから顔を引っ込め、姿勢を低くしてヘリから隠れ続け、通信を続ける。


「逃げ道を失ったんだが、どうすれば?」


『クラーラ、ハインドの弱点を教えてやれ』


『わかった』


「おい、まさかあんなのと戦えなんて言うんじゃ無いだろうな?いくらなんでも俺に勝ち目は……」


『ジャック、諦めるには早すぎるな。窮地に立たされた時こそ、勝てると根拠の無い自信を持つことも時として必要だ。お前は今、追い詰められて戦うことしか選択肢がない、逃げ回りながら逃げ道を考えるのもいいが、そこはいつまでも逃げ回っていられるような場所じゃないだろう?』


「それはそうだが……、ピースメーカーでどうにかなるのか?」


 俺は自分の握っている銃を見ながら言い、横を向けてピースメーカーと刻まれている字を見た。


『ああ、十分可能だ。私もよくその銃でヘリを落とした。どんな強敵も必ず弱点がある。大丈夫、お前なら勝てる。最後まで諦めないことだジャック』


「ああ、了解だ」


『ナタリアもお前の為に待ってくれている。頑張れよ』


「ああ、女をいつまでも待たせてはいけない」


 俺はピースメーカーを握り、ヘリと戦う覚悟を決めて深呼吸をした。

 外の空気は冷たく、相変わらず雪は降り続けて止んでいない。

 吐いた息が白くなるほど寒い為、防寒着があるとは言え、長時間こんなところに居るのはまずい。


『ジャック?いい?ハインドは兵員室を作るためにエンジンが並列で兵員室の上にあるんだ。前から見た時にコックピット、つまり操縦席の上に見える二つの大きな穴が空気を吸い込むところなんだけど、そこに1発銃弾を撃ち込めばエンジンが壊れて、もう片方のエンジンも巻き添えにして落とせるはずだよ』


「クラーラ、そこにはカバーのようなものがある。あれだと攻撃が通らないと思うぞ」


『大丈夫、弱点はもう1つあるよ。テイルローター、でも爆発物じゃないと破壊できないと思う。なにか持ってない?』


「…………なにも持っていない」


『ふーん、じゃあ無理』


「おい、他になにか無いのか?」


『無理無理、そこ以外に弱点なんてないから。そもそもジェーンは人間離れした技術でヘリを落とすし、しかもハンドガン一挺で』


 ジェーンめ、自分基準で考えないでもらいたいものだ。

 そんな人間離れした技術なんて俺は持っていないし、初めからわかっていた事だがあんなのとリボルバーで戦うなんて馬鹿げている。


「クラーラ、逃げ道を考える。何かあったら言ってくれ」


『わかった。考えてみるよ』


 俺は壁に隠れながらヘリの動きを見て移動しているとヘリが機関砲を撃って壁を壊し始めた。

 次々と壁が撃ち抜かれて崩されていき、俺は伏せた状態になって攻撃をされて壁を崩されたとしても攻撃は避けられるようにした。

読んでいただき、ありがとうございます。

ハインド戦になるかと思いきや、逃げ道を考えることに、そもそもハインドにSAAで立ち向かうのは自殺行為といって良いでしょう。

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