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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第十章 レジスタンス
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レーダー破壊

 メイソンを連れて上へ上る階段を見つけた俺は階段を上りながらメイソンにここまで来る間に聞いた話を確認しようと考え、隣で銃を持って警戒しながら階段を上っているメイソンの肩を叩いた。


「本当にここの最上階近くにレーダーを見ている奴らがいた部屋があったんだな?」


「はい、間違いありません。レジスタンスの全員で見ましたから」


「わざわざ全員で?」


「はい、リーダーが全員を集めてレーダーを見れる部屋へ連れて行ってくれたんです。大丈夫、場所は覚えてますよ」


「そうか、それは好都合だ。案内は頼む」


「任せてください」


 メイソンに先導してもらい、階段を上っているとピアスが振動して通信が入ってきた。


『ジャック、今ナタリアが無線機を手に入れてこっちに連絡してきてくれたよ。ナタリアとの回線を繋ぐね』


「ああ、わかった」


 階段を上って、通信を待っていると無線機から少しノイズが聞こえてきた。


『聞こえてるかしら?』


「ああ、聞こえてるぞ。そっちは大丈夫か?」


 気にならない程度のノイズに混じってナタリアの声が聞こえ、ナタリアの問いに答えた。


『えぇ、問題ない。部隊を率いるのは初めてじゃないから、心配しなくてもいいわ」


「そうか、わかった。隊長、レーダーを破壊したら当然だが敵が来るはずだ。爆発音がしたら外へ出て俺が言った場所へ向かってくれ」


『確か、城の裏側へ行って崖に行けばロープがあるのよね?』


「ああ、そうだ」


 確認するように訊いてきたナタリアに返事を返しているとメイソンが階段を上ることを止めて廊下の何かを警戒するように左側の壁に体を向けてそのまま張り付くと手招きをした。


『わかったわ。そっちの行動を待つ、なるべく早くして』


「了解だ」


 通信が終わり、メイソンが壁から少し顔を出して覗いているものを見ようとメイソンの後ろから左の廊下を見ると廊下で煙草を吸っている奴らがいた。


「あそこか?」


「はい、でもあの2人が邪魔で……」


 俺は麻酔銃を取り出して狙いをつけようとするとメイソンが銃を掴んで引っ張り、妨害してきた。


「やめてください、俺の仲間なんですよ」


「心配するな、こいつは麻酔銃だ。引き金を引いて出るのは麻酔針で、銃弾じゃない」


「駄目です。俺が引き付けますから、その内に……」


「はぁ……そうか、わかった。お前は少し寝ていろ」


 正義感というのか、こういう奴は何を言っても説得できない、協力的なメイソンには悪いが少しの間眠ってもらおう。

 俺はメイソンの首に銃口を当てて引き金を引くとメイソンが一瞬抵抗しようと銃を掴んできたが、すぐに力が抜けて銃を掴んだ手を離して俺の方に体を預けるように倒れてきた。


「な、なにを………」


「大丈夫だ。あとで起こしてやる」


 メイソンの肩を掴んでゆっくりとしゃがみ、メイソンを横にさせて眠ったことを確認してから立ち上がり、体を右へ傾けて銃を構え、体の向きからしてこっちに気付きそうな奴に狙いをつけて引き金を引いた。

 一人が首を気にするような仕草をしたことを確認するともう一人に狙いをつけて引き金を引いた。


 少し間を置いてから一人が倒れるともう一人が慌ててしゃがんで男の肩を揺さぶっていたが、段々と動きが鈍くなっていき、男の上に乗った状態で夢へと落ちていった。


 今のうちに部屋へ入ろうと廊下を走って部屋の扉の近くまで行き、部屋の扉を勢いよく開けると部屋には誰も居なかった。

 念のために部屋の隅々まで確認してみたが何処にも人はおらず、恐らくこの部屋にいたのはあの2人だけだったのだろう。

 部屋には画面とキーボード、箱のような機械が机に置いてあるだけだった。

 ポケットからC-4と信管なのか雷管なのかわからない物を取り出して部屋を見渡した。


「クラーラ、このパソコンとあとは何を破壊できれば良い?」


『なるほど、どうやら即席で作れるものを渡したみたいだね。パソコンは銃で破壊して、爆薬はアンテナを破壊するのに使おう』


「了解だ」


 俺は取り出した物をポケットへ戻し、一旦廊下へ出ていき倒れた男の近くに落ちていた銃を拾い上げて部屋へ戻り、腰だめでパソコンに向けて引き金を引いて弾倉の弾が尽きるまで引き金を引き続けた。

 弾が尽きて撃てなくなったAKを捨てて、次はアンテナを探すために部屋を出て、階段へ向かった。


 メイソンは起こさずに置いていき、階段を駆け上がって行くと上の階から雪が入ってきているのか階段が白くなって、下の階よりも温度が下がっていた。

 ゆっくりと滑り落ちないように一段一段慎重に上っていくと壁と屋根が破壊されて崩れた階へ出た。

 階段を上りきり、周りを見渡すと外は暗くなっていて、壁が残っている場所にレーダーと思われる装置があった。


『それだね、ジャック。それを吹き飛ばしちゃって』


「見た感じ、銃でも十分に破壊できそうに見えるな」


『それじゃ、面白くないでしょ?折角持ってきたんだし、使おうよ』


「まぁ、それもそうだな」


 ナタリア達は爆発を合図にして待っているはず、ならこいつを吹き飛ばしてナタリア達に伝えてやろう。

 再び、ポケットへ手を入れて、爆薬を取り出してアンテナの近くにある箱にC-4を置く前にC-4で軽く作品を作った。


『ちょっと、ジャック?』


「まぁ待て、普通に置いてもつまらないだろう?……よし、これでどうだ」


 俺はC-4で5枚の花びらが付いた花を作り、花の裏側に茎に見立てて信管をくっ付けた。

 信管をくっ付ける時に信管の先端が少し回ったが、気にせずにできあがった作品を箱の上に降り積もった雪に置いた。


『花?ジャック、花が好きなの?』


「そうだな、好きかもしれないな。いい匂いのする花に囲まれて、いい匂いに包まれて寝るのは気持ちが良かった思い出がある」


 と言ってもその思い出は前の世界でナタリアがイタズラで俺の部屋一杯に花を沢山置いたのが原因だった。

 あの時はよくも俺の部屋を棺にしてくれたなとナタリアに言ったが、意外と花に囲まれて寝るのは気持ちがよく、いい匂いに包まれて目を閉じると気持ちよく眠れ、次の日はよく体が動いた。


『へ、へぇ……』


「これで準備は終わったな。あとはどうやって爆発させればいい?」


 準備が終わった俺は立ち上がり、爆発させる方法を訊いた。


『えっと、その信管は時限式だね。信管の先端が右へ回せるようになってて、回すと時間を決められるんだけど……』


「ん?待ってくれクラーラ、先端を回すと時間が決められるのか?」


『うん、あんまり短く回すとすぐに爆発するから気をつけてね?』


 俺は血の気が引いていくのを感じ、すぐに振り返って崩れかけの壁を避けて階段へ向かって走った。


『ジャック?どうしたの?』


 クラーラの問いに答えることなく階段にたどり着いて階段を二段ほど下りた時、爆薬が爆発して俺は爆発の衝撃でふらついて雪で滑り、階段を横を向いて転がっていき、階段の踊り場まで転げ落ちた。


『ジャック!?大丈夫!?』


「あぁ、大丈夫だ。はぁ……あと少しで吹き飛ぶところだった」


 うつ伏せの姿勢から仰向けに変えて空を見上げた。

 仰向けになって休んでいるとピアスが振動した。


『やっとね、今から兵士達に崖を上らせて脱出させる。私は待っててあげるから、さっさと来なさい』


「あぁ、わかった……」


『ちょっと、大丈夫なの?苦しそうだけど』


「大丈夫だ……。気にしなくていい」


『そう、じゃあ待ってるわよ。女をあまり待たせないで』


 そう言ってナタリアは通信を切った。

 建物から出ずに待っているのかと思ったが、待ちきれずに既に崖へ行っていたようだ。

 俺はため息を吐いてから上半身を起こして、手をついて立ち上がった。


 ナタリアの元へ行く前にまずはメイソンの所へ行かなければならない。

 俺は階段を下りてメイソンが寝ている場所へ向かった。

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