表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第十章 レジスタンス
92/115

救出開始

 階段で下へと下りていく、階段で下りていると女性の悲鳴が聞こえてきた。

 悲鳴が階段に響き渡る中、ゆっくりと歩を進めて行くと階段が終り、道が分かれていた。


 悲鳴が聞こえるのは右側、つまり右側は尋問をするための部屋があるのだろう。

 俺はランタンで照らされた薄暗い左側の通路を進み、牢屋を探すことにした。


 音を立てないように歩いていると後ろから銃声が通路中に響いて聞こえてきた。

 聞こえた銃声は一回だけだった為、恐らく尋問が終わって処刑したのだろう。

 つまり、尋問を終えた奴らがこっちへと来るかもしれない、俺は先を急いだ。


 通路を歩いていると少し広くなった場所にに辿り着き、独房がいくつかある場所に出てた。

 先にも道が分かれて更に奥へと続いていることを確認し、俺は銃を構えて警戒しながら近くの独房へ近付いた。

 中には人が居た痕跡はあったが、独房の中には誰もいなかった。


 隣の独房へ行くと肩までくらい伸ばした金髪の女性が独房に地面に寝ていた。


「おい、起きているか?」


 俺が声をかけると女性は身体を起こしてこっちを見ると立ち上がってこっちへと近付いてきた。

 鉄格子を挟んで向き合う形になると彼女が鉄格子の隙間から手を通して俺の肩を掴んだ。


「……貴女、ここの奴らじゃないわね?……お願い!……早くここから出して!」


「待て、俺はまだやることがあるんだ。出してはやるが、まだ外に出られないぞ」


 彼女の手首を掴んで離すと彼女は驚いた顔をしていた。


「お、男?……貴方、男なの?」


「ああ、男だ。少し待て、鍵を開ける」


 鉄格子の扉の前でしゃがみ、博士から渡された解錠道具を取り出して、素早く扉の鍵を開けた。


「貴方、凄いわね……。鍵無しで開けるなんて……」


「慣れてるからな」


 扉を開けて彼女を外へと出すと誰かが歩いてくる音が俺の来た通路の方からの聞こえてきた。


「マズイ、見張りよ。どうする?」


「武器がなくても相手を倒せるか?」


「えぇ、できるわ」


「よし、聞こえてくる音からして通路から来ているのは2人だ。もう一人の方を頼む」


 彼女は頷き、俺と彼女は通路の出入り口で壁に張り付いて待ち構え、見張りが出てくるのを待った。

 徐々に近付いて来る音を聞いていると通路から男が2人出てきた。


 男が出てきた瞬間に手前の一人に飛びかかると同時に、彼女ももう一人に飛びかかって首に腕を回すとそのまま絞め落とした。

 俺は男を投げ飛ばして地面へと叩き付けると男は気絶し、持っていた武器を手放した。


「良い動き……とは言えないけど、やるじゃない。私はアンジェラ、貴方は?」


 彼女は男が持っていた銃を拾い上げ、銃を軽く確認しながら話しかけてきた。


「ジョンだ。……こいつは確かAKだったか?」


 名前を言ったあと、拾い上げた銃を両手で持ち、銃を傾けて横を見たり、右側にあるレバーを引いたりしながら言った。


「そうみたいね、これはAK-12。奴らがこの武器を使い始めたってことは……厄介なことになってきたわね……。急ぎましょう」


 彼女は反対側の独房へ近付くと中にいた女性に声をかけていた。


「スーザン!起きなさい!」


「うぅん……?……アンジェラ?どうやって独房を?」


「ジョン、お願い」


「ああ」


 スーザンと呼ばれた女性が入れられている独房の扉をピッキングして鍵を開け、扉を開けた。


「凄い……解錠するなんて……」


「未熟者にはできない技ね。貴方、もしかしてスペツナズの隊員だったりするの?」


「いや、違う」


「そう、もしスペツナズだったら握手とかしたかったけれど、残念ね」


「悪いな」


 スーザンが独房から出てくるとピアスが振動して通信が入ってきたことを知らせた。


『ジャック、その城の独房は奥に続いてるけど、そこで終って行き止まりなんだ。そこで確認できる独房は6つだね。奥にも6つの独房があるはずだから、エリカとナタリアを探して』


「了解だ。ここには2人を含めて6人居たのか?」


「えぇ、だけど4人は連れていかれた」


「その中にエリカか、ナタリアは居たか?」


「エリカは奥にいるはずだけど……、ナタリアは連れていかれた。今頃どうなってるかわからないわ」


 どうやらナタリアは既に連れていかれたようで、エリカは奥に居るらしい、できればナタリアの方へ行きたいが、冷静に考える。


「……解錠はできるか?」


「無理よ、そんな技術は無いわ。ナタリアの方へ行きたいの?」


「できればな、だが仕方ない。俺はエリカの方へ向かう。2人は俺と来るか?」


 2人にどっちへ向かうか訊くと2人は小声で相談し、どっちに行くか決めた。


「じゃあ、私達がナタリアの方に行ってくる。連れていかれた他の仲間の事も気になるから、そっちは任せたわ」


「ああ、任せろ。これはスーザンが持ってくれ、俺は苦手なんだ」


「良いの?」


「あぁ」


 俺はスーザンにアサルトライフルを渡し、彼女達と別れて奥へと迎い、エリカの元へと急いだ。

 緩やかに曲がっている通路を進んでいると男性と女性の話し声が聞こえてきた。

 女性の声は聞き覚えのある声で、どうやら男性と意気投合して楽しそうに映画か何かの話しをしているようだった。


 ゆっくりと通路から顔だけを出して独房のある場所を見ると男が銃を抱えて鉄格子に寄りかかり、独房にいる女性と夢中で話をしていてこっちは見ていないらしく、俺はその隙に男へ近付いていった。

 男に近付きながら独房を見るとエリカが独房の中に入れられていた。

 エリカがこっちに気付き、顔を向けると男もこっちを向いて鉄格子から離れて持っていた銃を向けてきた。


「誰だ?……アンタ、確かあの屋敷で会った」


 男にそう言われて男の顔をよく見ると屋敷が襲われた時にリーナを追いかけてきたレジスタンスの一人だった。


「なるほど、新入りと呼ばれていた男か。震えているが、人に銃を向けるのは初めてじゃないだろう?」


 俺が新人が両手で持っている銃が震えていることを指摘すると震える手を抑えようとしているのは伝わってきたが、それが更に手を震えさせていた。


『ジョン、相手の銃はセーフティーがかかってる。撃てないことに気付いてないみたいだから今の内に倒しちゃって』


 クラーラからの通信を聞いた俺は銃を下ろし、構えるのを止めた。


「セーフティーがかかってるみたいだぞ。それじゃ撃てない」


「……えっ?」


 男は銃の横を見るとセーフティーに気が付き、セーフティーを解除した。


『ちょ、ちょっとジョン!?なに考えてるの!?撃てるようにするなんて!』


「大丈夫だ。あいつには人を殺す勇気はない」


 俺は銃を下ろしたままゆっくりと近付き、男の銃口を俺の胸に突き付けさせた。

 男は引き金に指をかけたまま汗を大量に流し、銃を震わせていた。


「どうした。撃てないのか?あの時のように撃てばいい、今度は確実に殺せるぞ。今、お前が銃口を突き付けているのは胸の中心、心臓だ。俺は少し苦しむだろうが、確実に死ぬ。さぁ、引き金を引け、一度命を奪えば後は楽に人を殺せるようになる」


「駄目です!引かないで下さい!その人は貴方を殺そうとしていません!」


 エリカがそう言うと銃を下げようとした男に麻酔銃の銃口を額に突き付けた。


「いや、俺がお前を殺さないとは限らない」


「ジョンさん!待ってください!この人は悪い人じゃありません!」


「さぁ、どうする。引き金を引くか?それとも俺に殺されるか?殺るか殺られるかだ。どっちを選んでもいい、お前の好きにしろ。だが、悩むようでは守りたいものも守れない」


「お、俺は……」


 徐々に引き金を引こうとし始め、引き金にかけている指を震わせながら少しずつ引き金を引いていたが、引き金から指を離すと銃を手放し、手放された銃は地面に落ちた。


「お、俺には……できない……人を……殺すなんて……」


「メイソンさん……」


 メイソン、どうやらこの新人の名前のようだ。


 俺は突き付けていた麻酔銃をしまい、男の銃を拾い上げて独房の隙間からエリカに渡した。

 銃をエリカに渡した俺は扉の鍵を開け、扉を開いてエリカを外に出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ