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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第八章 過去、忘れることのできない記憶
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古い吊り橋

 俺達は森の中を歩いて俺を尋問した女の街を目指した。

 ジェーンが言うにはそんなに遠く離れている訳ではないと言っていた。


「しかし、雪のせいで歩き辛い」


「こればかりはどうにもならない、火炎放射器でもあればな」


「火炎放射器……じゃあ、炎の魔法を使えば道が作れるんじゃ無いでしょうか?」


 エリカの提案にジェーンと俺は振り返った。

 炎の魔法を使える奴がいるのか俺にはわからないが、エリカはさっきの俺を治療したこともあって疲れている様子だった。


 その為、ジェーンかソフィの2人に魔法を使って貰うしかない。


「エリカの提案は良さそうだが、ソフィは炎の魔法は使えるか?」


「すいません、炎の魔法は習っていたのですが、適性が低くてライターぐらいの火しか……」


「適性があるのか、ジェーンは?」


「悪いな」


 どうやら使えないらしい、となるとエリカしか居ないのだが、エリカには適性はあるのだろうか。

 もしあったとしても無理をさせるわけにはいかない。


「仕方ない、他に何か方法は無いか?」


「ああ、無いんじゃないか?私ができる魔法はこれだからな」


 ジェーンは燃料が入れられている缶を叩いた。

 正確には入れられていたと言った方が正しい、何故ならジェーンはその缶から燃料を撒いてここまで歩いて来た為、もう缶から燃料は無くなっていたからだ。


「あぁ、さっきからそれを垂れ流しながら歩いているが、そのおかげで道に迷わずに追ってきてくれそうだ。奴らがな」


「もう燃料も無くなったか、もう十分だろう。離れていろ」


 ジェーンはマッチを取り出すとマッチに火をつけようとしたが火がつかず、諦めたのかライターを取り出すと火をつけて燃料でできた窪みに投げ…………入れずに葉巻を取り出して葉巻に火をつけた。


「おい、早くしてくれないか?」


「まぁ慌てるな、吸わずに投げ入れては勿体ないだろう」


 ジェーンは葉巻を吸って煙を吐き出した後、葉巻を投げて燃料を流してできた窪みに入れると一瞬にして燃料が燃え、俺達が通ってきた道を戻って行くと遠くで大爆発が起こり、黒煙があがった。


「フフフ、大赤字の花火は綺麗だな」


 ジェーンは笑いながら爆発を見ていたが、エリカは目を細めて小さく何かを呟いていた。

 弾薬が誘爆した音でエリカの言っていることは聞こえなかったが、恐らく勿体ないと思っているのだろう。


「さて、進むぞ。いつまでも花火を見ているわけにはいかないからな」


 ジェーンは銃を両手で持って先頭を歩き、俺達はその後ろを歩いてジェーンに付いて行った。


 しばらく歩いていると古い吊り橋があるところに来た。

 吊り橋の下は流れが速い川が流れていて、吊り橋と川までは高く落ちたら無事では済まなそうだ。


「よし、私とソフィが先に向かい側へ行って安全を確保する。私が向こう側に着いて手を降ったら2人も来い」


「了解です、ボス」


「ああ、わかった」


「はい、わかりました」


 俺とエリカは木に隠れてさっきの奴らが来ないか警戒し、ジェーンとソフィは揺れる吊り橋を小走りで渡っていった。


「ソフィさんっていい動きをしてますね。ボスに付いていける人ってなかなか居ないですよ」


「そうなのか?」


「えぇ、ミラーシャ陛下の直属の精鋭部隊でもボスに付いていける人は少ないです。さっきの格闘術も手際の良さと反応速度がとても良かったので、いいセンスを持っているんじゃないかって思ってはいましたが」


 走って向こう側に着いた2人は周りを確認するような動きをすると、ソフィがこっちに大きく手を振った。


「大丈夫みたいだな」


「私達も行きましょう」


 エリカと俺が橋を渡ろうとした瞬間、無数の銃声と弾が飛んでくる音が聞え、俺とエリカは木の陰へ隠れた。


「くっ、もう追い付いてきたのか」


 木の陰に隠れて銃を撃ち、光が光った場所を頼りに撃っていくが、弾が多く飛んできて隠れている木が瞬く間にボロボロになった。


「このままではやられてしまいます!ジョンさん!私の動きを真似て付いてきてください!」


 応戦していたエリカは銃を両手で持ったまま伏せると足と腕を使って這うように移動し始めた。

 俺もその動きを真似てエリカの後を付いていく、付いていきながら向かい側を見るとソフィとジェーンが銃を撃って援護してくれていた。


 吊り橋の近くまで這ってくると立ち上がり、俺が立ち上がるまでエリカは援護してくれた。

 立ち上がったらエリカを援護するために俺は銃を撃ってエリカを先に行くように手で合図した。


 エリカは姿勢を低くして吊り橋を走っていき、俺も後に続いて姿勢を低くしながら後を付いていった。


 ソフィとジェーンが援護してくれている中、吊り橋を渡っているとエリカが通っている場所の近くの縄が切れ、エリカはバランスを取るために一旦止まった。


 俺も揺れる吊り橋の上でバランスを取りながら後ろを向いてエリカが立ち上がるまで応戦した。

 しかし、エリカが再び歩こうとした時エリカの背中に銃弾が当たり、エリカは前に倒れると縄が切れたことで斜めになった橋の上を滑って橋から落ちる寸前だった。


 俺は撃つことを止めてエリカの腕を掴んで間一髪のところでエリカが落ちるのを止めることができた。


「エリカ、手を離すなよ」


 俺は引っ張り上げようとするが上手くバランスが取れない中、引っ張り上げるのは難しく、俺は引っ張り上げることができずに無駄に腕の力を使っているだけになっていた。


「ジョンさん、もういいです!手を離してください!」


「エリカ、言うのが遅いな。今更手を離しても、もう手遅れだ。俺が掴まえてすぐに言ってくれればな」


「し、仕方ないじゃないですか!だって……だってまだ死にたくないですから!」


「それもそうだな。……誰も死にたくなんかない、俺もエリカを死なせたくはない」


「で、でも、それではジョンさんが!」


「俺のことはいい」


 俺は握る力を強めて絶対に離さないようにしてかり再び引き上げようとすると俺が足を掛けていた縄が弾が飛んでくる音と共に切れて俺は橋から滑り落ちてしまい、俺は銃を手離してエリカと抱き合いながら川へと落ちた。


 川の温度はとても低く、体が凍り付きそうなほど冷く流れも速くて浮いているのが難しい、エリカを抱き抱えて何とか顔を水面上に出して空気を吸いながら流されていき、俺は流されながら浅い場所を探した。


 しかし、浅い場所が見当たらず周りを見渡していると流されている先が岩や段差で流れが急になっていた。

 俺はエリカを強く抱き締めて流れに備え、岩にぶつからないように避けるために片手と片足を使って少しずつ移動して流れが速くなってきたらエリカを抱き締めて目を閉じて岩にぶつからないように祈る。


 そして、流れが速くなり俺とエリカは水中へと押し込まれて俺達は流れに飲み込まれた。

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