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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第八章 過去、忘れることのできない記憶
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エリカとの雑談

 ソフィと2人きりで話をしたいと言われ、トラックにエリカと一緒に乗り込んで待っているとさっきからエリカが目を輝かせて銃を触っていた。


「凄いなぁ、新しい銃がいっぱい!」


 ジェーンの商品を勝手に触っているエリカだが、銃に何かしているわけではないため、俺は彼女の嬉しそうな顔を見て止めずに眺めていた。


「あっ、この銃はHK416、本来より軽くなってるみたい、それにサイトが違うみたいだし、マズルはフラッシュハイダーかな?」


 俺はエリカの独り言を聞きながら近くにあったカタログらしき本を手にとって見てみる。

 銃の名前が沢山イラスト付で載っていて、銃のことがわからなくても説明が書いてあった為、なんとなくは銃のことがわかるようになっていた。


 俺はカタログを見ているとセールと書いてあるところを見付け、俺はそのページで何か良いものは無いかと探した。


「キョウコク製武器・兵器が30%引き、サンハチシキホヘイジュウ……ん?さ、サンハチ……」


 何故かここだけ読もうとすると片言のようになり、俺は何故ここだけ片言になるのか考えているとそもそも何故エリカやソフィ達と会話ができるのかと疑問が出た。


「エリカ、少し良いか?」


「はい?なんでしょうか?」


 銃を色々触っているエリカを呼んで俺が片言になった銃を見せて名前を言わせてみることにした。


「この銃の名前を言ってみてくれないか?」


「ええっと……サンハチシキホヘイジュウですね」


「片言になったな」


「えっ?……あっ、なるほど、片言になる理由を知らないんですね」


 エリカはそう言うと中に置いてあった大きい箱から何か本を取り出した。


「えーと……あった。キョウコクの人達の言語はこの石の効果が届かない場所にあるからなんです」


 エリカは本を開いてその石の事が書かれているページを見せてくれた。


「エカテリーナ石、この石を発見した行商人のエカテリーナ・ジェシカ・ヴェジェルニコヴァはこの石の効果で仲間とのコミュニケーションにおいて相手の言語が母国語になることを発見、この石の効果範囲を拡大する為、当時天才少女と呼ばれていたクラーラ博士に効果範囲の向上を依頼し、クラーラ博士が開発したランゲージ・フリー装置により、大陸では言語の壁に当たることは無くなった。……なるほど、この石と装置のおかげで何処までかはわからないが言語の壁が無くなっていると言うことか」


「そういうことです」


 エリカは本をしまうと何か思い付いたように顔を上げた。


「あっ、そういえばジョンさんはソフィさんとどういう関係なんですか?」


 突然、そんなことを聞かれた俺はカタログを見ようとしたのを止めて顔を上げてエリカに視線を向けた。


「関係か?……特に何もない」


「本当ですか?少なくともソフィさんはジョンさんにのこと好きなんじゃないですか?」


「……気付いてはいる。だが、彼女には悪いが俺は彼女のことを好きになれていない」


「どうしてですか?綺麗な人じゃないですか」


 俺はカタログを閉じて横に置いた。


「彼女は俺を誰かと重ねて見ているからだ。それも親しい誰かと……俺のことを見てる訳じゃない」


「えっ?……そんなことがわかるんですか?」


「前の世界では人を見る目が大切だった。裏切る奴や狂人と仕事をすると問題が必ず起こったからな、自然と相手が何を考えているのかわかるようになった。性格次第でなに考えてるのかわからない時もあるが」


 俺がそう言うとエリカは俺の隣に座って俺と顔を合わせて見つめてきた。


「……何してるんだ?」


「ジョンさん、今、私が何を考えているのか当ててみてください」


「ん?……何も考えてないだろ」


「よくわかりましたね」


「フッ……フフフ」


 俺は何も考えていない上に何を考えているのかわからない彼女に俺は笑いを堪えられず、笑ってしまった。


「な、なんで笑うんですか?」


「いや、何を考えているのかさっぱりわからなくてな……フフ……フフフ」


「なるほど、私が何を考えているのかわからないんですね。じゃあ、今は何を考えているでしょうか?」


 俺は笑いを抑えて再び彼女を見ると彼女は、今度は何か考えているようだった。


「そうだな……何か好きな物のことを考えているな」


「おお、当たりです。本当にわかるものなんですか?」


「少しはわかるが、完璧にわかるわけじゃない」


「そうなんですね。あっ、今考えていたのは銃のことです。私、どちらかと言うと古い銃が好きなんですよ。今のも好きなんですけどね」


 そう言うと彼女は俺が置いたカタログを開いて古い銃が多く紹介されているページを開いて見せてくれた。


「いくつか紹介しますね。まずはこれ、M1911コルト・ガバメントです」


 彼女は銃を紹介し始め、俺は彼女の説明を聞くことにした。


「拳銃か、俺がこの世界に来て初めて持った銃だ」


「そうなんですか?ガバメントは良いですよ、自分もサイドアームとして持っていますし、さっきソフィさんが私に向けた銃もガバメントです」


「サイドアームとはなんだ?」


 俺はわからない言葉を使うエリカに聞いて、どういう意味なのか聞いてから銃の説明を聞こうと思い、質問した。


「へ?あぁ、サイドアームって言うのは副兵装、補助兵器のことで、メインアーム……つまり、主に使う銃が何らかの理由で使えなくなった場合に使用する武器です。緊急時用の武器と覚えれば」


「つまり、ナイフもそのサイドアームに入るのか?」


「はい、その通りです。それでは話を戻しますが、このコルト・ガバメントM1911は世界中で使われている信頼性の高い銃です。カスタムパーツも豊富で、コピー品なども多く出回っていて人気も高い銃なんですよ」


「なるほど、確かに威力はあったな……ん?」


 俺は何か気配を感じてトラックの中を見渡した。


「威力が高いのは、使用している弾薬にあるんですよ。45ACP弾と言いまして……ジョンさん?」


 俺は立ち上がってトラックの外に出てみると気配のするのは洞窟の入り口からだった。

 入り口が見えるようにトラックの後ろから頭だけを出して覗くと入り口には白く長い毛が全身から生えている奴が洞窟へ入ってきた。


「なんだ?あいつは」


 そいつは俺と目が合うと洞窟全体が揺れるような咆哮をあげて、こっちへ向かって走ってきた。

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