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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第八章 過去、忘れることのできない記憶
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エリカの過去・1

 私はボロボロの身体を無理矢理動かしながら川の音がする方向を目指していた。

 もう周りは暗くて何も見えないけど、せめて水を飲んでから休みたい、そんなことを考えていると足を何かに引っ掻けて転んでしまい、私は強く地面に倒れた。


「………うっ……くぅぅ………」


 立ち上がろうとしてももう限界だった身体は言うことを聞いてはくれなかった。


 私はここで終わってしまうのか、とそんなことを考えてしまう。

 しかし、もう身寄りの無い私が死んでも誰も困らない、それにここで死んでしまえば、やがて私の身体は土へと還り、骨が残るだけだ。

 それなら自然の役にたてて死ねるのだから、生きていても意味の無い私はここで死んだ方がいいのかもしれない。


「本当にこっちに女が走ってたのか?」


「間違いねぇ、いい女がこっちに走って行ったのを見たんだ」


 遠くからライトを持った男二人組の声がした。

 こんな山奥に居るのは山賊しか居ない、よく山に行く際には武装をするようにとあの人も言われていたことを思い出し、再び逃げようと考える。


「……逃げないと…うっ…ぐぅ……」


 しかし、立ち上がろうとしても足首が痛くて立ち上がることができず、音をたててまた同じ場所に私は倒れた。


「ん?……おい、居たぞ!」


「女だ!ハハハ!」


 立ち上がろうとして音が出てしまったことで気付かれてしまい、男達がすぐに駆け寄ってくると私の身体を仰向けにさせて馬乗りになり、逃げられないようにされてしまった。


「おお、こいつぁいい女だな。今日はツイてるぜ、へへへ」


「確かにいい女だな。楽しめそうだ、早く連れ帰ってお楽しみといこうか?お嬢さん」


「や、やめて……」


「女の体の喜びを教えてやるってんだ。すぐに俺達が居ないと生きていけない体にしてやるよ」


 一人の男が私を担ぎ上げると私は何もできないまま、男達が拠点にしている基地の跡地に運び込まれ、大勢の男達が私の体を目当てに取り合いになった。


 男達の乱闘で服は破かれ、所々肌が露出していき、それが更に男達の興奮を駆り立てて奪い合いは更に激しくなっていき、殴り合いになった。


「すまない、パーティー会場はここか?」


 男達が私を取り合っている時に聞こえてきた女性の声に男達は手を止めると声のした方向へ一斉に視線を向けた。


「おっと、随分と賑やかだったが、どうやらここはパーティー会場ではなく、動物園の猿コーナーだったようだ」


「あぁ?なんだ?わざわざ犯されに来たのか、お姫様」


 男達の足の隙間から見えたのは綺麗な女性がガタイのいい男性と向き合って話していたところだった。


「フフ、お姫様と呼ぶのなら、まずは跪くのが礼儀じゃないか?今からでも遅くないぞ?」


「どうやら回されてぇらしいな、おいお前ら!!この女が俺達を楽しませてくれるらしい、楽しませてもらおうぜ!!」


 私の周りの男達が私から離れていくと男達の壁ができあがり、男達の足の隙間から見えていた女性はあっという間に見えなくなってしまった。


 私は今のうちに逃げられると考えて這いずって跡地から出た。

 跡地からは男達の怒号のような声が聞こえ、山に響いていた。


 這いずって跡地から離れていると偶然、流れが穏やかな川に辿り着いた私は川で水を飲んだ後、服を脱いで川の中へと入って汚れた身体を洗い落としていた。

 膝まである深さの川の中に座り、這いずっているうちに汚れた身体を水をすくって身体にかけて汚れを落としていった。


「身体は大丈夫か?」


「えっ?……」


 突然、後ろから聞こえた声に振り向くとさっきの女性がいつの間にか腕を組んで立っていた。


「貴女は……」


「ああ、私はジェーン、行商人をしている。そっちの名前は?」


「私はエーリカ、エーリカ・ベッケラート……です」


「エーリカ?……そうか、それじゃエリカと呼んでいいか?」


「……お好きなように」


「そうか、わかった。好きなようにさせてもらう、替えの服はあるか?」


 私は首を横に振って替えの服は無いことを示すと彼女は元々持っていたのかはわからない背負っていたバックパックを下ろして、タオルを取り出して私に渡してくれた。


「そうか、替えの服は私が用意しよう。それで身体は大丈夫なのか?何処か痛めているところは?」


「……足を……捻りました」


「足か、それじゃ立つのが辛いだろう。手を貸そう」


 ジェーンと名乗った彼女は私に手を差し出し、私は躊躇いながらも差し出された手を握った。

 すると彼女は引っ張り上げて肩を貸してくれ、私は彼女の肩を借りて川の中から出た。


 彼女から受け取ったタオルを身体に巻いて、私は彼女に足首にテーピングをしてもらっていた。


「この程度なら魔法を使えば良いのでは……」


「ん?……あぁ、そうだな。確かに魔法を使った方が良いだろう、だがテーピングをして済ませれば、エリカが突然逃げ出したりすることができないからな」


「逃げるなんて……そんなこと考えていません」


「だが私はまだエリカのことを信用できていないからな、保険のようなものだ。できたぞ、とりあえず私のテントまで連れていくが、それでいいか?」


「……はい、お願いします」


 私は彼女に背負ってもらい、彼女のテントまで連れていってもらった。

 彼女のテントは旅をする人達がよく使うタイプの小さく、ごく普通のテントだった。


「待っててくれ、着替えを用意する」


 私はテントの中に入ると彼女が着替えを持ってくるまでの間、テントの中を見渡しているとホルスターに入れられた古い銃を見つけた。


「シングル・アクション・アーミー?……凄い、本物かな?」


 無意識に銃の入ったホルスターを手に取り、ホルスターから銃を取り出して眺めた。

 SAAは有名な名銃で、世界を救った英雄が使っていたとされ、ガンコレクターにも人気な銃だ。


 しかし、本物を持っているの人は数少なく、ほとんどがレプリカや観賞用のモデルガンで価値が低いものばかり、一度は本物を見てみたい。


「うーん、観賞用のモデルガンか……でも、綺麗な彫刻」


 ホルスターに入っていたのはモデンガンだったけど、彫刻はとても綺麗なものだった。

 綺麗な彫刻を色々な角度から見ていると外から歩いてくる音がし、私は持っていたモデルガンを慌ててホルスターにしまって元の場所に置いた。


「着替えを持ってきた。……ところでそこにあるホルスターの位置がズレているんだが、触ったか?」


「えっ?ズレてます?」


 完璧とは言えなくても気付くように置いたつもりはなかった私は振り向いてホルスターを見た。

 ホルスターを見てみるが、取った時と同じように置いているはずなのに何故、彼女は一瞬でズレているとわかったのか、と不思議に思いながらジェーンさんの方に視線を向けた。


「フフ、正直なんだな……」


 すると彼女は顔を横に向けると着替えを置いて座り、笑いを堪えていた。

 彼女の仕掛けた罠だったと思い、私は自分からやったことを認めたことに恥ずかしさを感じた。


「だ、騙しましたね……」


「いいや、ズレていることに気付いたのは本当だが、正直にズレているかと聞き返されたのは初めてでな、フフフ」


「だからって笑うこと無いじゃないですか!意地悪ですね!」


「すまない、フフフ……駄目だ。堪えられない……フッフフフ」


「そんなに笑わないでください!恥ずかしくて死んじゃいそうです!」


「笑いを誘ってるのか?なんだ恥ずかしくて死ぬって……クフッ……アッハハハハ」


 私は顔が燃えているのかと感じるほど熱くなり、両手で顔を隠した。







「なるほど、それがジェーンとの出会いか……フフ」


「はい、とても意地悪な人なんですよ。……ジョンさん?」


「フフ、すまない……話がおかしくてな、フフ」


「……お二人は気が合いそうですね。何処に笑うところがあるんですか……」


「すまない、本当に……フッ……フフフ」


 睨み付けてくるエリカに謝罪の言葉を言おうとするが、彼女の純粋さに笑いを堪えることができなかった。

 兵士は堅い奴らばかりと聞いていたが、彼女のような純粋な兵士も居るようだ。


「もう、続き話しますよ?いつまで笑っているんですか?」


「はぁ……久しぶりに笑わせてもらった。ありがとう」


「何故か、お礼を言われたのに全然嬉しくないです」


「落ち込むな、笑わせてもらった礼に俺の過去も教える。エリカが喋り終わった後にな」


「本当ですか!?……それじゃあ、続きをお話ししますね」


 俺は彼女の話を引き続き聞くことにして、彼女の過去の話に耳を傾けた。

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