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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第七章 新たな出会い
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地獄で積んだ経験

 横転したトラックの中で俺達は抱き合うような形で向き合い、助手席側のドアに横向きに倒れていた。

 こうなったのは横向きに建物に突っ込む前に俺が反射的にエリカを守るために抱き締めたからだ。

 彼女の様子からして体は無事のようだが、顔が赤くなっていた。


「大丈夫か?……何処も痛めてないか?」


「は、はい、なんとか……あの……ありがとう……ございます」


「そうか、良かった。さっさとここから出るぞ」


 俺はフロントガラスに蹴りを何回か入れてフロントガラスを壊して外へ出た。

 外へ出ると雪が降っていて地面には雪が積もって、周りは銀世界になっていた。


 横転したトラックからシャッターの方を見ると少数の兵士達が大勢の実験体と戦っていた。

 数は圧倒的に実験体の方が多く、兵士達も頑張っているようだがもう少しで押し負けそうな様子だった。


「ジョンさん、ついてきてください。車があっちに置いてあります」


「あぁ、わかった」


 エリカについていき、車へと向かっていると早くも後ろから大勢の実験体が追いかけてきた。

 恐らくさっきまで食い止めていた兵士達がやられてしまったのだろう。

 実験体は足の速さが異常なほど速く、すぐに追い付かれることは明白だった。


「ジョンさん!こっちへ!」


 突然、腕を引っ張られて建物と建物の間に入るとすぐに後ろから爆音が聞こえ、そのすぐ後に兵士達の声と銃を撃つ音が複数聞こえてきた。


 建物の間を通り抜けて再び広い道に戻ろうとするが、兵士達が大勢駆け回っていた為、建物の間から抜けようにも抜けることができなかった。

 出られそうな道を求めて建物の間を走っているとエリカが倉庫のような建物の裏口の前で足を止めた。


「ここは確か………ジョンさん、少し待っててください」


 そう言うとエリカはドアに鍵がかかっていることを確認するとポケットから針金のような物を取り出して鍵穴に差し込むともう一つ針金のような物を取り出して鍵を開けようとしていた。


 しかし、上手くできないのか針金の擦れる音がするだけで中々開くことはなかった。

 唸りながら何回か試行錯誤している様子だったが、手を止めるとこっちを向いて俺に助けを求めるような目を向けた。


「大丈夫か?」


「ごめんなさい、ピッキングをしようと思ったのですが、普段使わなくて……」


「日常的に使うようなものじゃないからな、代わろう」


「お願いします」


 エリカと変わって針金を一旦引き抜いて形状を変えて鍵穴に差し込み、手の感覚からどんな構造なのかをまずは確認をする。


 簡単な構造だとわかると俺はもう一つの針金を使って鍵を開けた。


「凄く速いですね。もしかして泥棒だったんですか?」


「前の世界では毎日のようにやっていた」


「……生活が苦しかったんですか?」


「……苦しいなんてもんじゃない、毎日が地獄だった」


「……ごめんなさい、冗談で言ったつもりだったのに……」


「気にしなくていい、早く中へ入ろう」


 扉を開けて中へ入るとバイクや車が保管されていた。

 端に小さい小屋のような建物がある場所を見つけ、扉に近付くと鍵ではなくパスワードで開くタイプの扉だった。


「パスワードか、わかるか?」


「いいえ、確かここは乗り物の鍵を保管している場所ですね」


「なるほど、ライトを貸してくれ、少し時間がかかるが開くか試してみる」


「わかりました。私は何か使えるものを探します」


 俺はエリカからライトを受け取り、しゃがんでライトで小さい十個のボタンの中からどのボタンを順番に押すことで開くのかを見つける。


 ボタン式の為、新しい物に変えていないのならボタンを押した時に少しだけ違和感があるはず、俺はボタンを奥まで押さない程度に押して違和感のあるボタンを探す。


 何回か繰り返してボタンを軽く押して違和感のあるボタンがわかったら、今度は順番だ。

 ボタンの違和感では順番はわからない為、慎重にやらなければドアのロックが解除できなくなってしまうこともある。


 見たところ古いタイプに見える扉の為、恐らく失敗して繰り返しても問題は無いだろうが、油断はせずにしっかり考える。


 ゆっくりと順番にボタンを押していく、二回間違えたが三回目でようやく扉が開き、中に入った。


 中にはいると鍵の他に武器や替えなのか服があり、俺はまず外に出る前の準備として服を着替えることにした。

 上下両方とも着替えたが女性に合わせた服のためか、少しおかしいような気もするが気にしないことにした。


 中にあった武器を適当に掴んで同じような形のした弾倉を取って防弾ベストポケットにしまう。


「動くな」


 弾倉を取ろうとした手を止めて顔だけを動かして後ろを見るとライダースーツを着た金髪の女性がリボルバーをこちらに向けていた。







 彼が小屋を調べている間、私は小型のライトを使って使えるものがないか探していた。


 しかし、視界に入ってくるバイクが気になってしまい、必死に気持ちを抑えてなるべく視界にバイクが入ってこないようにする。


(うぅ、あれは確かBMW・R75……この世界ではとても珍しい異世界のバイク……じっくり見たいけど今は……)


 しかし、やっぱり気になってしまい自然とバイクにライトを向けて照らし、見てしまう。

 今はこんなことをしている場合ではないと頭でわかっていてもバイクのことが気になってしまい、無意識にバイクに近付いてじっくりと見てしまう。


(少しだけなら……)


 私は目の前のバイクにすっかり魅了されてしまい、ライトでバイクを照らして隅々までじっくりと見てしまう。


「乗って走らせてみたいな……」


 やっぱりどんな音を出して、どれくらいのスピードが出るのかが気になる。


 私は使えるものがないか探すことを止めて彼のいる小屋に向かった。

 あの小屋は鍵を保管している場所、きっとあのバイクの鍵もあるはずと思い、少し興奮気味に足早に小屋へと向かった。


 小屋に着くと扉が開いたままになっていた。

 私は足のホルスターからガバを抜いてライトを持っている方の手首に上から重ねてクロスを作るように構える。


 構えたまま音をなるべく小さくして小走りで小屋の壁に張り付く、恐らく敵ならもうすでにこっちの存在に気付いているはず、私は深呼吸をして半開きの扉を蹴り開けて素早く中へ入ると銃を掴まれると同時に顎を下から押されて力が抜けて後ろに尻もちをつき、ライトは落として銃は奪われてしまった。


「ふふ、まだまだ…だな」


「その声は……」


 聞き覚えのある声に顔を上げると、そこにはライダースーツに身を包んだボスがいた。


「久しぶりだな、エリカ」


「ボ、ボス!?」

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