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Unlucky  作者: 碧眼の黒猫
第六章 囚われの身
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旧知の仲

ハンク達が逃げ延びた先のお話になります。


暑くてずっと高いテンションのままで話を書いてしまうので、水分補給を忘れてしまいます。おかげで口の中と喉がカラカラになりました。こまめに水分補給はしましょう!。

 ヘリがジェーンの指定した目的地点へ着陸すると扉が開き、私は外へ出た。

 外へ降りると向こうよりも外は暑く、日差しが強かった。

 リーナが降りたことを確認し、前を向くとジェーンが誰かを連れてこっちに歩いてきていた。


 こちらからも歩いていこうと歩を進めるとリーナが私の横を走って行き、ジェーンのところまで行くと抱き付いた。


「久しぶりだなぁジェーン!何年ぶりだ!?」


「おっとと、走ったら危ないだろリーナ。そうだな、五年ぶりくらいだな」


 リーナを受け止めたジェーンはリーナの肩に手を置いて微笑んだ。


「久しぶりだな、ハンク」


「ああ、久しぶりだなジェーン」


 ジェーンとの久しぶりの再会に自然と微笑む表情になり、私が右手を出すとジェーンは左手をリーナの肩に置いたまま右手で私の手を握り、私達は握手を交わした。

 握手を交わしているとジェーンの後ろに居た女の顔に目が行き、その女と私は目が合った。


「ジェーン、彼女は?」


「ああ、私の弟子だ。名前は……」


「いや、名前は聞かなくともわかる。ソフィだろう?」


 私が女の名前を口にすると女は私を睨んで口を開いた。


「貴女が捕まえた彼は何処ですか?」


 ソフィが聞きたいのは間違いなくジャックのことだろう。


「悪いが私はなにも知らない」


「とぼけないで……!」


 今にも掴みかかってこようとするソフィをジェーンが手を出して止めた。


「ソフィ落ち着け、ハンク私もその男の居場所を聞きたいんだが……本当に知らないのか?」


 ソフィはわかるが、何故ジェーンがあの男の場所を聞きたいのだろうかと疑問に思いながらもジェーンの質問に答える。


「すまない、途中までは一緒だったが……ヘリに乗る際にガスマスクをした少女に邪魔をされて男はあっちに残したままここへ来たんだ。殺されいるのか捕まっているのかは、私にはわからない」


「そうか……わかった。ソフィ、予定通り作戦を行う、準備してくれ」


 私の答えを聞くとジェーンはソフィに何かを準備するように言った。


「はい!今すぐ準備します!」


 ソフィが走って何処かへ行くのを見た私はジェーンに何をするつもりなのか聞くことにした。


「ジェーン、作戦とはなんだ?」


「それはテントで話そう、ここは暑い」


 彼女はそう言うと離れようとしないリーナと手を繋いで歩き始めた。

 私はその後ろを歩いてついて行った。


 テントへ着くとリーナを椅子に座らせて彼女は冷たい飲み物を用意してくれた。


「紅茶か……久しぶりに飲む気がするな」


 出された紅茶の入ったコップを手に取り、コップの中に入っている紅茶の香りを楽しんでから紅茶を少しずつ飲む。


「サンドイッチも用意してある。ゆっくりしてくれ」


 綺麗に長方形になっているサンドイッチが皿の上に乗せられて出されるとリーナはすぐに手に取って食べ始めた。


「うん、やっぱりジェーンの作るものは何でも美味しいな!」


「そうか、ありがとう」


 ジェーンは美味しそうにサンドイッチを食べているリーナを少し見た後に私と顔を合わせた。


「ハンク、さっきの話の続きだが……実はその男を救出するための作戦が計画されている。その作戦に私も参加することになっている」


「……そうか、だがジェーンになんの利益があるんだ?何もないと思うが……」


 疑問をジェーンに言うと彼女は腕を組んだ。


「疑問に思うのはわかる。ハンクの言う通り何も私にとって利益になることは何も無い、だが彼女にしつこく頼まれた上、私としても放っておくことができなかったからな」


「ジェーンらしい、それで作戦の内容は?」


 私は持っているコップを机に置くとジェーンに作戦の内容を聞いた。


「ソフィが単身で男の捕らわれていると施設へと潜入し、男を確保した後施設から脱出、二人が施設から脱出した後はガンシップによるフルトン回収を行い、二人をガンシップに乗せて国外へ脱出して作戦終了………これが作戦の内容だ」


「……彼女は民間人じゃないのか?」


 作戦の内容を聞いてから引っかかる点をジェーンに聞く。


「半年前まではな、まだ半人前だがソフィは兵士だ。それに素質もある」


「……ジェーン、たった半年訓練しただけの兵士を単身で敵地へ潜入させるなんて正気の沙汰じゃない………この作戦、誰が考えたんだ?」


 どう考えてもおかしい作戦に私はジェーンに聞くと彼女はコップを持って紅茶を少し飲んだ後に口を開いた。


「この作戦を立案したのは元大魔王のハルバードだ」


「なっ………ハル……バードだと?」


 ハルバードと言う名前を聞いた私は驚きを隠せなかった。

 大昔に魔法使いに倒されてから姿を見せなかった大魔王が何故今頃になって現れたのだろうか。


「大魔王が何故……人間など眼中に無いだろうに……」


「そうでもないらしい、ソフィの教官として私もソフィの訓練に参加したが、私が教えたのは近接戦の仕方だけでほとんどはハルバードが教えていた」


「昔の奴とは違うのか?……奴が人間に戦い方を教えるなんて私には考えられない……」


 昔の奴は勇者達があらゆる手段を使って倒そうとしていたが、奴の強さに勇者達は次々とやられていくほど強かった。

 それに人間を支配下に置こうとは考えず、邪魔な存在と言って人間を滅ぼそうともした。


「確かに昔のハルバードを知っていれば、想像もできないだろうが……今のところは協力的なようだ。恐らく姉の影響だろう」


「奴の姉?……初耳だ」


 奴については詳しく知っているつもりだったが、姉がいるという情報は初めて聞いた。


「ハンク、フリーダム王国の国王フレデリカは知っているな?」


「ああ、あの変わった魔王のことか?……まさか、あいつが?」


「そうだ、フレデリカはハルバードの実の姉だ」


 フレデリカは人間と魔族の共生を望む変わった魔王だ。

 魔王は基本的に人間とは敵対関係にあり、ハルバードのように滅ぼそうとしてくるのが当たり前だが、そんな魔王達の中で唯一人間と魔族の共生を望む変わった魔王がフレデリカだ。


「奴の姉があいつとは……」


「半年前にフレデリカの国が襲撃を受けて国は崩壊、国民を避難場所へ逃がしてフレデリカ自身も避難場所に逃げてきたようだが、国民の過半数を失い、兵士も使用人も多く失って精神的に追い詰められて今は休んでいる。その間、フレデリカの代わりにハルバードが国王代理として業務をしている」


「………ジェーンならもうフレデリカの国を襲撃したのが誰なのかはわかっているか?」


 私がそう言うとジェーンは頷いた。


「………そうか………ジェーン、私は………何処へ行けば良いんだ?」


 私はこの国に居られないことは分かっていた為、行き場所の無い私はジェーンに聞くとジェーンは優しい笑顔を見せた。


「心配するな、しっかり考えてある」


 彼女は笑顔でそう言ってくれた。

 その笑顔は私の心を救ってくれる天使にも思えるような優しい表情、これがカリスマと言うものなのだろうかといつも思わされる。


「…………助かるよ、ジェーン」


「気にしなくていい、私とお前は旧知の仲だ。困ったときにはお互い助け合うのが友だ。そうだろう?」


「………ふふふ、昔から変わらないな………本当に」


 私はコップを持つとコップに入っている紅茶を少し飲んで置いた。

 昔から変わらない、性格も紅茶の味も昔のまま変わらず、昔から私の知っているジェーンのままだ。


「嬉しそうだな、ハンク」


 今まで静かに紅茶とサンドイッチを飲んだり食べたりしていたリーナが私の顔を見てそう言った。

読んでいただきありがとうございました。

次回はジョンの方へと戻ります。


熱中症にはお気をつけください、水分補給大切です。

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